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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする H1
管理番号 1020913 
審判番号 審判1999-35124
総通号数 14 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2001-02-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-03-18 
確定日 2000-06-30 
意匠に係る物品 装飾用電球ソケツト 
事件の表示 上記当事者間の登録第0793689号「装飾用電球ソケツト」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第0793689号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立て及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由を要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証及び検甲第1号証を提出した。
意匠登録第793689号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)は、その出願前に日本国内において公然知られた甲第2号証の1ないし4に示す「装飾用電球ソケット」の意匠(以下、「甲号意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に該当し、意匠登録を受けることができないものであるから、その登録を無効とすべきものである。
まず、甲号意匠が本件登録意匠の出願前に日本国内又は外国において公然と知られた意匠であるか否かについて、株式会社山七商店は、甲号意匠を具備する装飾用電燈器具について、昭和56年11月13日に型式番号(92-419)を取得した後、台湾の東仰産業股分有限公司に製造注文を行い、その後、台湾のKFK INDUSTRIAL CO.,LTDから、昭和56年4月16日付け注文確認書(No.820167)(甲第8号証)が株式会社山七商店に送付され、「輸入(納税)申請書」(甲第11号証の1)によれば、昭和57年9月24日には、通関済みとなり、こうして、株式会社山七商店によって輸入された甲号意匠を具備する装飾用電燈器具は、山七商店の顧客に販売され、遅くとも昭和57年暮のクリスマス頃には公然知られる状態になったものである。それは、本件登録意匠の出願日である昭和60年5月8日よりも約2年半も前である。
つぎに、本件登録意匠と甲号意匠との類否判断について、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態においても、その形態上の特徴を最もよく表す要部において一致するものであるから、本件登録意匠は、甲号意匠と類似するものというほかない。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由として要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
請求人が公知意匠であると主張する甲号意匠は、請求人の主張する理由及び提出された証拠では、本件登録意匠の出願前に日本国内において公然知られた意匠とはいえない。すなわち、まず、請求人は、甲号意匠を型式認可番号で特定しているが、型式認可は、電気用品の外観・形状に関しての認可ではないので、電球ソケットの外観・形状まで特定したことにならない。また、型式認可番号を取得するまでの申請関係書類に疑問点があり、さらに、輸入手続きに関する証拠書類を見ても甲号意匠を使用した電燈器具を輸入した証拠はなく、最後に、甲号意匠を使用した電燈器具が日本国内で販売された証拠が全く出されておらず、輸入しただけでは未だ日本国内で公然知られたことにならない。
したがって、甲号意匠が本件登録意匠の出願前に日本国内において公然知られた意匠とは言えないものであるから、甲号意匠と本件登録意匠との類否について言及するまでもなく、無効事由は存在しないものである。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、昭和60年5月8日に出願され、平成2年5月17日に設定の登録がなされたものであって、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「装飾用電球ソケット」とし、形態を別紙第1に示すとおりとしたものである。
2.甲号意匠
甲号意匠は、箱に納められたコード付きの装飾用電燈器具のソケットに係る意匠であって、その形態を別紙第2に示すとおりとしたものである。
3.甲号意匠の公知性について
(1)請求人提出の証拠によると、以下の事実が認められる。
ア)株式会社山七商店は、装飾用電燈器具を輸入販売するに当たり、甲種電気用品として電気用品取締法の適用を受けるため通商産業省に対し、昭和56年7月28日に甲種電気用品の型式認可の申請をした。この申請に対し、通商産業省は、昭和56年11月13日付けで、1.型式認可番号「第92-419号」、2.甲種電気用品名「装飾用電燈器具」として装飾用電燈器具の製造、販売の認可をした事実が認められる(甲第3号証及び甲第4号証)。なお、この認可証には、上記の他に3.型式の区分として「定格電圧125V以下のもの、定格電流0.5A以下のも」等の記載がある。
イ)箱体に納められた装飾用電燈器具をみると、そのコードにラベルが付されており、そのラベルには「〒第92-419号」と「100V 0.3A」、と表示されていることが認められる(甲第2号証の1及び2、検甲第1号証)。このうち「〒第92-419号」の表示は、前記株式会社山七商店に対し、通商産業省が昭和56年11月13日付けで認可をした型式認可番号「第92-419号」と符合するものである。また、電気用品取締法をみると、その第27条には、型式認可番号の表示されているものでなければ、販売し又は販売目的で陳列してはならないと規定されていることから、箱体に納められた装飾用電燈器具は、前記甲種電気用品の型式の認可に基づいて製造され販売されたものであると認めることができる。そうすると、甲号意匠は、その装飾用電燈器具を構成するソケットの意匠であって、当然前記甲種電気用品の型式の認可に基づいて製造され販売されたものであると認めることができる。
さらに、株式会社山七商店が京都税関支署長に提出した1982年9月24日付け輸入(納税)申告書(甲第11号証の1)は、貨物の個数・記号・番号の欄に、MASON PLASTIC MFG.CO.,LTD からの1982年9月11日付け梱包明細書に対応する、C/NO.1A-178Aの記載があり、入港年月日は、1982年9月19日で、昭和57年9月24日に通関が許可されたものと認められる。また、株式会社山七商店が京都税関支署長に提出した1982年10月8日付け輸入(納税)申告書は、貨物の個数・記号・番号の欄に、KFK INDUSTRIALO.,LTD からの1982年9月25日付け梱包明細書に対応する、C/NO.1-462の記載があり、入港年月日は、1982年10月2日で、昭和57年10月8日に通関が許可されたものと認められる。
そうすると、株式会社山七商店が甲号意匠を有する装飾用電燈器具について、型式認可を受け、それに基づいて台湾に注文し、輸入した事実を示す上記証拠を総合すると、輸入された20球のライトセットは、甲第2号証の1〜4及び検甲第1号証に示された型式認可番号第92-419の装飾用電燈器具であることが認められる。そして、その装飾用電燈器具のソケットである甲号意匠は、昭和57年(1982年)9月24日及び10月8日に通関しているから、その後、当該年のクリスマスシーズンの頃には販売されていると考えるのが自然であり、他に、それを妨げる証拠はない。よって、本件登録意匠は、日本国内において公然知られた状態になったものであるとするのが相当である。
(2)被請求人は、型式認可は、電気用品の外観・形状の認可ではないので、認可番号で甲号意匠を特定できない旨主張する。
しかしながら、株式会社山七商店は、型式認可申請時に、「輸入甲種電気用品に係る試験申請書」(甲第4号証の2)の別紙として型式認可された装飾用電燈器具を写した写真(甲第4号証の3)を添付していることが認められる。そして、その写真に現されているソケットを見ると、やや不鮮明ではあるが、甲号意匠と形態がほぼ同様のソケットが現れている。また、株式会社山七商店は、このソケットを使用した装飾用電燈器具の型式認可番号に基づいて台湾の製造事業者に注文しているが、その注文書に格別ソケットの形態を変更するような記載も見当たらないことから、型式認可の形態で製造されたものとするのが自然である。そうすると、本件において型式番号で甲号意匠を特定しても何ら差し支えないものである。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
(3)被請求人は、型式認可番号を取得するまでの申請関係書類(甲第4号証ないし6号証の各1ないし6)に信憑性がない旨主張する。
しかしながら、ア)昭和56年10月28日付けの申請書が存在しないと主張する点について、各「合格証」は、その受理番号が、「輸入甲種電気用品に係る型式認可申請書」又は「輸入甲種電気用品に係る試験申請書」の受理番号と一致するから、その申請に対する財団法人日本電気用品試験所の「合格証」であることが明らかである。そして、その「合格証」の日付が昭和56年10月27日であることからすると、その翌日付けで型式認可の申請がされ、「甲種電気用品の型式の認可について」において認可されたものと推認することができる。イ)財団法人日本電気用品試験所の受理印が、「輸入甲種電気用品に係る型式認可申請書」(甲第4号証の1)と「輸入甲種電気用品に係る試験申請書」(甲第5号証ないし6号証の各1)に付されており、その書類が一致していないと主張する点について、これは一連の書類を提出したときに最も上にあった書類に押されたものと推認することができるから、格別不自然ではない。ウ)申請時に提出された写真にホッチキスの痕跡がないため、他の書類との一体性がないと主張する点について、それは、他の書類との保管方法の問題に過ぎないものということができるから、そのことから直ちに写真が型式認可の申請関係書類ではないということはできない。
(4)被請求人は、甲号意匠を使用した装飾用電燈器具が、日本国内で販売された証拠がなく、輸入しただけでは、日本国内で公然知られたことにならない旨主張する。
しかしながら、一般的に、輸入したものを国内で販売しないことは、特別の事情がない限り、想定し難く、また、本件登録意匠の出願が、甲号意匠を使用した装飾用電燈器具が通関済みとなった昭和57年9月24日および同年10月8日から約2年半経過した昭和60年5月8日であることから、この間に少なくとも甲号意匠を使用した装飾用電燈器具が販売され、甲号意匠は公然知られた状態になったものと推認することができる。
したがって、被請求人の上記主張は採用できない。
なお、甲号意匠の公知性について、件外、平成9年(ワ)第4986号損害賠償請求事件判決(東京地方裁判所、平成11年8月27日判決言渡)において、同様の判示をしている。
4.本件登録意匠と甲号意匠の類否について
本件登録意匠と甲号意匠とを比較すると、意匠に係る物品は同一であり、形態において、全体形状を全体の高さと最大幅の比率を約1対0.4 とする筒体とし、その上部側で全体の高さの約3分の1の部分を円筒状とし、それから連続して下方部を正六角筒状とした基本的構成態様が共通しているものであり、具体的な態様においても、正六角筒部について、下方に向けて僅かにすぼませている態様が共通しているものである。これに対して、円筒部の上端隅部において、本件登録意匠は、角張らせているのに対して、甲号意匠は、僅かに丸みを形成している点に差異が認められる。
そこで、両意匠を意匠全体として観察した場合、この両意匠の差異点は限られた部位における僅かな差異にすぎないものであるから、本件登録意匠は、意匠全体として甲号意匠に類似しているものというほかない。
5.むすび
以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当するにもかかわらず、同条同項柱書の規定に違反して意匠登録を受けたものであるから、同法第48条第1項第1号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2000-03-29 
結審通知日 2000-04-11 
審決日 2000-05-10 
出願番号 意願昭60-18816 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 吉山 保祐 
特許庁審判長 前川 幸彦
特許庁審判官 伊藤 晴子
藤 正明
登録日 1990-05-17 
登録番号 意匠登録第793689号(D793689) 
代理人 清水 千春 
代理人 高橋 詔男 
代理人 清水 千春 
代理人 渡邊 隆 
代理人 尾股 行雄 
代理人 志賀 正武 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 尾股 行雄 
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