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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属さない(申立不成立) H3 |
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管理番号 | 1020923 |
判定請求番号 | 判定2000-60078 |
総通号数 | 14 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2001-02-23 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2000-05-26 |
確定日 | 2000-08-09 |
意匠に係る物品 | 携帯電話用アンテナ |
事件の表示 | 上記当事者の登録第1029356号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「携帯電話用アンテナ」は、登録第1029356号及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人代理人は、「イ号図面に示す意匠は、第1029356号登録意匠の範囲に属するとの判定を求める。」と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張した。 即ち、第1029356号登録意匠(以下、「本件登録意匠」と云う。)とイ号意匠とは、その基本の構成態様の各要素である接続片、アンテナエレメント、トップピースの何れもが同じ形態で同一意匠乃至類似意匠の範囲にあると認められ、特に主たる態様となるトップピースの構成は、外観が類似であり、イ号物品の意匠は本件登録意匠との類似性を免れないものである。 第2.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成8年11月18日に意匠登録出願し、その後平成10年10月30日に設定の登録がなされたものであって、意匠登録原簿及び出願書面の記載によれば、意匠に係る物品を「携帯電話用アンテナ」とし、その形態は別紙第一に示すものである。 即ち、細い丸棒状のアンテナ本体部の上端に、頂面が緩い弧面状をした略短円柱状のヘッド部を取り付け、下端寄りに、細幅の鍔を有する略短円筒形状のアンテナ支持部を形成した基本的な構成態様のものとし、各部の具体的な態様について、アンテナ本体部は上端寄りの部分を一回り太くし、ヘッド部は、全体の長さの約1/4の長さとし、下端を稍細くて低い段状に形成し、ヘッド部の下部約2/3を不透明部に、その上部約1/3のキャップ部分を透明(以下、「透明部」と云う。)にして、その割合を約2:1とし、アンテナ支持部は、鍔を除いた上部約1/2にねじを切ったものである。更に詳細にみると、ヘッド部は、透明部上端外周面を僅かに面取りし、内側中央に小さいドーム状の素子を設け、アンテナ支持部の下面中央から、アンテナ本体部の上端寄りの部分と略同径の極く短い棒状が突出しているものである。 2.イ号意匠 イ号図面によれば、意匠に係る物品を「携帯電話用アンテナ」とし、その形態は、別紙第二に示すものである。 即ち、細い丸棒状のアンテナ本体部の上端に、頂面が緩い弧面状をした略短円柱状のヘッド部を取り付け、下端寄りに、細幅の鍔を有する略短円筒形状のアンテナ支持部を形成した基本的な構成態様のものとし、各部の具体的な態様について、アンテナ本体部は上端寄りの部分を一回り太くし、ヘッド部は、全体の長さの約1/5の長さとし、下端を極く僅か細くて低い段状に形成し、ヘッド部の下部約1/3を不透明部に、その上部約2/3を透明部にして、その割合を約1:2とし、透明部内周面の頂面寄りに、上面視正六角形状のダイヤカット様の模様を、その下方全体に亘って極細の線条で螺旋模様を表し、アンテナ支持部は、鍔を除いた上部約1/2にねじを切ったものである。更に詳細にみると、ヘッド部は、透明部の内側中央に小さいドーム状の素子を設け、アンテナ支持部は、段落とし状に先細にし、下面中央から、アンテナ本体部の上端寄りの部分と略同径の極く短い棒状が突出しているものである。 3.本件登録意匠とイ号意匠との比較検討 本件登録意匠とイ号意匠とを比較し両意匠を全体として考察すると、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態については、細い丸棒状のアンテナ本体部の上端に、頂面が緩い弧面状をした略短円柱状のヘッド部を取り付け、下端寄りに、細幅の鍔を有する略短円筒形状のアンテナ支持部を形成した基本的な構成態様が共通し、各部の具体的な態様も、ヘッド部は、下端を稍細くて低い段状に形成し、全体を不透明部と透明部とで構成したものとし、アンテナ支持部は、鍔を除いた上部約1/2にねじを切ったものである。更に詳細にみると、透明部の内側中央に小さいドーム状の素子を設け、アンテナ支持部の下面中央から、アンテナ本体部の上端寄りの部分と略同径の極く短い棒状が突出している点も共通する。 他方、(1)本件登録意匠は、全体の長さに対するヘッド部の長さを約1/4としているのに対し、イ号意匠は、約1/5としている点、(2)本件登録意匠は、ヘッド部の不透明部と透明部との割合を約2:1としているのに対し、イ号意匠は、約1:2としている点、(3)イ号意匠は、ヘッド部の透明部内周面の頂面寄りにダイヤカット様の模様を、その下方全体に亘って螺旋模様を表しているのに対し、本件登録意匠は、それらを表していない点、更に詳細に観ると(4)本件登録意匠は、ヘッド部の透明部上端外周面を僅かに面取りしているのに対し、イ号意匠は、面取りしていない点、(5)イ号意匠は、アンテナ支持部の先端寄りを段落とし状に先細としているのに対し、本件登録意匠は、そうしていない点に差異がある。 そこで、両意匠を全体として考察し、共通点及び差異点の類否判断に与える影響について総合的に検討する。 先ず、共通する基本的な構成態様及びヘッド部の下端を稍細くて低い段状に形成し、アンテナ支持部の鍔を除いた上部約1/2にねじを切った各部の具体的な態様は、この種物品に於いて本件登録意匠出願前より普通に見受けられるものである。しかし、ヘッド部を不透明部と透明部とで構成した点は、この種物品の意匠としては創作を有し特色あるものと認められ本件登録意匠の特徴であり、イ号意匠もこの態様に於いては共通する。 しかしながら、この種物品は、需要者が常時繰り返し手にする物品であることから、その全体の形態もさることながら、とりわけヘッド部については需要者が特に注意を惹くところであり、その形態が意匠の特徴を表出しているとみることができる。 そこで、上記に照らしヘッド部について観ると(1)全体の長さに対するヘッド部の長さの割合の差異は、約1/4と約1/5と云う僅かなものである上に、この種携帯電話用アンテナの分野にあっては普通に成されている改変の域をでないものであるから、格別形態上の特徴として採り上げる程のものではない。(2)のヘッド部全体に対する不透明部と透明部の割合の差は、特に看者の目につきやすい部分での差異であって、本件登録意匠は、透明部を不透明部の約半分の大きさとしているのに対し、イ号意匠は、約2倍の大きさにしており、視覚的な影響は少なくないものと云える。したがって、この点の差異は類否を支配的に左右する要部と云わざるを得ない。(3)のダイヤカット様の模様の有無については、ヘッド部の透明部のうちの更に頂面寄りの内周面と云う極く限られた部位での差異であるので、特に該部のみを採り上げて対照したときに認められる程度のものであって、格別形態上の特徴として採り上げる程のものではなく、類否判断に影響を与えるものではないが、螺旋模様の有無については、極細の線条で表したものであっても特に看者の目につきやすい部分全体に表しており、類否判断を左右する一要素をなすものと云える。(4)の面取りの有無については、ヘッド部の透明部上端外周面と云う看者の注意を惹く部分ではあるが、該部を特に注視した場合に気がつく程度の極く僅かな面取りであるので、意匠全体としては限られた部位での微差に止まり、類否判断に何ら影響を与えるものではない。 その余の差異点である(5)のアンテナ支持部の先端寄りの差異については、何れも限られた部位での差異であり、意匠全体としては部分的な微差に止まる。 結局、全体として、本件登録意匠とイ号意匠とは共通する点があるものの(2)の不透明部と透明部との割合の差が、両意匠の看者に与える印象に影響を及ぼし、本件登録意匠は、ヘッド部の一部分を透明にした印象を与えるのに対し、イ号意匠は略ぼ全体を透明にした印象を与えることとなり、この差異は両意匠を非類似とする要因として充分である。また、(3)の螺旋模様もイ号意匠の透明部分を際立たせる一要素となっていると云える。 したがって、本件登録意匠とイ号意匠との共通点及び差異点を総合して対比すると、両意匠は、それぞれの意匠に於いて独自の意匠を構成し、前に共通するとした構成部分の態様が相俟って醸し出す印象を凌駕し、一定以上の差異感を奏し別異の印象を看者に与えていると云うことができる。 以上のとおりであるから、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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判定日 | 2000-07-17 |
出願番号 | 意願平8-35054 |
審決分類 |
D
1
2・
1-
ZB
(H3)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 森川 幸俊 |
特許庁審判長 |
瀬尾 和子 |
特許庁審判官 |
松原 至 伊勢 孝俊 |
登録日 | 1998-10-30 |
登録番号 | 意匠登録第1029356号(D1029356) |
代理人 | 瀬谷 徹 |