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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする L4
管理番号 1036727 
審判番号 無効2000-35353
総通号数 18 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2001-06-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-07-03 
確定日 2001-02-08 
意匠に係る物品 建築用接合金具 
事件の表示 上記当事者間の登録第1062964号「建築用接合金具」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1062964号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.手続きの経緯
本件登録意匠は、平成9年11月18日に出願され、平成11年11月19日に設定の登録がなされ、平成12年3月6日に意匠公報が発行された意匠登録第1062964号であって、願書および願書添付図面の記載によれば、意匠に係る物品を「建築用接合金具」とし、その形態を同図面記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第2.請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであり、また、その出願前に日本国内において公然知られた意匠に類似するので、意匠法第3条第1項第3号に該当する旨主張し、証拠方法として、甲第1ないし4号証を提出した。
甲第1号証:株式会社カネシン金井製作所発行のカタログ「建築金物」
甲第2号証:株式会社カナイの会社登記簿謄本写し
甲第3号証:株式会社カナイ発行のカタログ「カナイ・METAL-WARES /TECHNICAL-CATALOG」
甲第4号証(枝番を含む):株式会社カナイの売り上げ伝票
第3.被請求人の主張
被請求人は、平成12年9月12日付で答弁書を提出し、以下のように反論した。
1.請求人は、甲各号証の存在を理由にして本件意匠登録の無効を主張するが、請求人は所謂「審判請求の利益を有する立場になく、かつ、その事実を証する立証方法も提示していない。
従って、本件審判請求は「審判請求の利益」を有しない請求人に係るものであるから不適法なものとして却下されるべきである。
2.なお、本件登録意匠は、方形な平面板(請求人の用語に従う)と同幅な横長方形状の下部と略等辺三角形の上部を接続したような左右対称的な縦長五角形状の正面板(請求人の用語に従う)を備え、正面板の下部が略方形状の平面板と同幅と成すことにより正面板と平面板が形状的に連続しているものである。
然るに、甲第1号証および3号証の意匠(甲第1号証の意匠は、審判請求書第 3頁第27行目乃至第 4頁第12行目或いは同第 8頁第 1行目乃至第19行目で請求人が主張するような形態を具体的に備えていると認められないが)は、方形な平面板に略縦長等辺三角形状の正面板を連続させているもので、正面板と平面板は物理的に連続していても形態的な連続性はない(三角形板と方形板を連続させたにすぎない)。
従って、残余の点に敷衍するまでなく、本件登録意匠はこれら甲各号証の意匠に類似しない。
3.請求人は、この点について(おそらくは)「本件意匠において正面板における下部両側の垂直な線は、正面板両側の長い斜辺と平面板の水平線との強い印象によって、正面板が全体として三角形に印象付けられ、斜辺と錯覚されるほどにあいまいに見られ、意匠全体に及ぼす影響は、格別といえない」(同第9頁第8行目乃至第11行目)とする。
しかしながら、「正面板両側の長い斜辺と平面板の水平線」がなぜ「強い印象」なのか意味不明であり、請求人は、両意匠の正面板を「正面図」のみで比較しているように見受けられ、観察姿勢そのものが正しくない。
前述の通り、請求人のいう「垂直な線」の有無は、両意匠の正面板と平面板の係り合いを互いに違えさせるものなのであって、本件登録意匠は甲各号証意匠に類似しない。
4.従って、請求人が「請求の利益」を有する立場にあるとしても、本件意匠登録は甲各号証の存在を理由に無効にされるべき理由はない。
第4.当審の判断
まず、被請求人が、「請求人は、審判請求の利益を有する立場になく、かつ、その事実を立証する証拠方法も提示してない。」と主張する点について検討する。
甲第2号証は、株式会社カナイの会社登記簿謄本の写しであるが、その履歴事項全部証明書の(事業)目的欄に、 (1)建築金物製造及び販売業 (2)各種建築用工具及び治具の販売業 (3)建築用鋲打銃の販売業 (4)前各号に附帯する一切の事業、との記載があることより、請求人株式会社カナイが、業として、建築用接合金具類の製造及び販売に係わると認められ、審判請求の利益を有することは明らかであり、甲第2号証は、その事実を立証するものであるから、被請求人の主張は採用できない。
つぎに、本件登録意匠が、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるか否かについて検討する。
1.甲第1号証
甲第1号証のカタログ「建築金物」は、株式会社カネシン金井製作所が、平成元年4月1日付で顧客へ配布したとみられる商品カタログであり、同カタログは、本件登録意匠の出願前、その制作の目的上から平成元年4月中、あるいはおそくとも平成1年8月8日までの間に頒布されたものと認められる。なんとなれば、甲第2号証の会社登記簿謄本の写しによれば、株式会社カネシン金井製作所は、平成1年8月8日に、商号を株式会社カナイに変更した事実が明らかであり、株式会社カネシン金井製作所発行の商品カタログは、商号変更前の営業活動として顧客に頒布されたと認めるのが相当である。
2.甲号意匠
甲第1号証の意匠は、甲第1号証のカタログ「建築金物」第22枚目の表の中段に記載された写真版による「コーナープレート」の意匠である(以下、甲号意匠という)。
3.本件登録意匠と甲号意匠の対比
本件登録意匠と甲号意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については、以下の共通点と差異点が認められる。
[共通点]
(1)薄板を側面視L字状に折り曲げて、三角形状の正面板部と方形状の底面板部を連続して一体的に形成したコーナー金具であって、正面板の頂部を背面側へ直角に曲げて、平面視三角状の小さな係止片を形成し、正面板と底面板との境界折り曲げ部の中央部に、斜め上方へ押し出す膨出部を形成し、また、正面板部及び底面板部にビス用円孔を多数設け、左右対称形とした、全体の基本構成態様であること。
(2)正面板部について、縦長二等辺三角形とし、その両斜線下端部を垂直に形成し、頂部近くに1個と下辺寄りに2個のビス孔を設けていること。
(3)底面板部について、膨出部を囲んで複数個のビス孔を設けていること。
(4)膨出部について、正面板の略6分の1の高さとして正面板の垂直切り欠き部より高く形成し、また、略45度の角度で正面板から底面板に連なる扁平角丸のリブ状であること。
(5)ビス孔について、円孔の外周に、ビス皿頭を埋め込む程度の浅い同心円状の段落ち部を設けていること。
[差異点]
(1)正面板部について、本件登録意匠は、甲号意匠より僅かに縦長であること。
(2)正面板部のビス孔の配置について、本件登録意匠は、3個のビス孔の他に、略中央部にも1個のビス孔を設けていること。
(3)底面板部のビス孔の配置について、本件登録意匠は、膨出部を囲むビス孔が5個であるのに対して、甲号意匠は、3個であること。
(4)ビス孔について、本件登録意匠は、背面側にビス孔部が僅かに膨出しているのに対して、甲号意匠は、膨出しているか否か明らかでないこと。
上記の共通点および差異点について検討すると、共通点(1)の全体の基本構成態様は、建築用接合金具のコーナー部接合金具として、形態全体の基調となるところを形成し、 構成各部の態様の共通点(2)、共通点(3)、共通点(4)とも相俟って、看者に両意匠全体の共通の美感を強く感得させるものであり、これら共通点に基づく総合的な効果は、両意匠の類否判断を支配する程に大きいものと認められる。
これに反し、差異点(1)については、本件登録意匠の正面板部が甲号意匠の正面板部よりも縦長であるとしても、その差異は僅かであって、両意匠を凝視し定規をあてがってようやくわかる程度の微弱な差異であり、両意匠の類否を左右するほどの要素と認められない。差異点(2)、差異点(3)については、この種ビス止めする建築用接合金具においては、相手材の大きさや要求される強度に応じて、接合面の止めビスの数を適宜増減することが、常套的になされる技術的改変手段であることより、正面板部のビス孔を中間点にも1個増設し、あるいは底面板部のビス孔を僅かに密に設けた本件登録意匠の態様は、格別特徴ある態様として評価できず、意匠的特徴としても評価できず、その差異は微弱であり、両意匠の類否を左右する程の要素と認められない。差異点4)については、本件登録意匠のビス孔の形態は、極普通に見られるビス孔の形態であって特徴がなく、背面側が甲号意匠のビス孔と異なるとしても意匠全体としては細部における微弱な差異であって、両意匠の類否を左右する程の要素と認められない。そして、それらの差異点を総合し相俟って奏する効果を考慮しても、前記共通点によって惹起される類似性を凌駕するものでない。
すなわち、本件登録意匠は、甲号意匠に類似するものと認められる。
第4.まとめ
以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当し、同条同項の規定に違反して意匠登録を受けたものであるから、同法第48条第1項第1号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2000-10-18 
結審通知日 2000-10-31 
審決日 2000-12-13 
出願番号 意願平9-75473 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (L4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 須田 紳 
特許庁審判長 吉田 親司
特許庁審判官 岩井 芳紀
伊藤 栄子
登録日 1999-11-19 
登録番号 意匠登録第1062964号(D1062964) 
代理人 湯田 浩一 
代理人 手島 直彦 
代理人 魚住 高博 
代理人 土橋 秀夫 
代理人 杉山 秀雄 
代理人 江藤 剛 
代理人 竹本 松司 
代理人 塩野入 章夫 
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