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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H2
管理番号 1041595 
審判番号 審判1999-15611
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2001-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-09-24 
確定日 2001-06-18 
意匠に係る物品 電気機器の扉用ハンドル 
事件の表示 平成10年意匠登録願第 16919号「電気機器の扉用ハンドル」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は、平成10年6月12日の意匠登録出願に係り、願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば、意匠に係る物品を「電気機器の扉用ハンドル」とし、その形態を別紙第1に示すとおりとしたものである。
2.引用意匠
原審において拒絶の理由に引用した意匠は、昭和56年3月23日付で特許庁資料館が受入れた、株式会社タキゲン製造株式会社のカタログ「タキゲンNEWS(69)昭和55年9月・10月合併号」第31頁上段右端に「品番A-240」と表示して写真図版により現した意匠(特許庁意匠課公知資料番号第JC56043715号)であって、同頁の記載によれば、意匠に係る物品を「機器の扉用ハンドル」とし、その形態を別紙第2に示すとおりとしたものである。
3.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠は、いずれも機器等の扉用ハンドルに係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態については、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。
形態の基本的な構成態様において、正面全体を縦長の略矩形状とし、その略中央にハンドル部とその下側の押しボタン部を収容する縦長の略矩形状の凹状部を形成し、その周縁を略額縁状の板状体に形成して飾り座金部とし、ハンドル部を縦長の略矩形板状に形成し、押しボタン部を正面視やや縦長矩形状とした態様が共通していると認められ、形態各部の具体的な態様において、飾り座金部の正面側は、略全面を平滑面状とし、周縁の縁幅につき、上下両側が左右両側よりもそれぞれ広い点、背面側は、凹状部が縦長の略扁平直方体状に突出している点、ハンドル部は、上端寄りの連結部を支点として起伏可能であり、縦横の長さを飾り座金部正面の縦横に対してそれぞれ1/2強及び2/3強とするやや広い面を構成している点、そして、押しボタン部は、前方にわずかに突出し、正面の略中央に浅い凹状部を形成している点が共通していると認められる。
一方、形態の差異点として、(1)ハンドル部の正面側の態様について、本願意匠は、全体が飾り座金部よりもわずかに突出し、正面を緩やかな甲丸面状とし、その略全面に破線状の陰刻部を略斜め格子状に配した模様を施しているのに対し、引用意匠は、略全面を平滑面状とし、下端寄りに小さな鍵穴を設け、下端を小さな段差状に形成している点、そして、(2)押しボタン部の凹状部の態様について、本願意匠は、下側を弧状とする略馬蹄形状に形成し、内側を平滑面状としているのに対し、引用意匠は、四方を縦長矩形状とし、内側の下方面に数本の横溝を施している点が認められる。
4.本願意匠と引用意匠の類否判断
前記各共通点及び各差異点を総合し、意匠全体として両意匠の類否について検討すると、形態の基本的な構成態様及び形態各部の具体的な態様において共通しているとした態様は、この種物品分野において本願意匠の出願前に普通に見受けられる態様であって、両意匠のみに格別の態様とは言えないものであるから、いずれも両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものにすぎない。そして、これらの共通点を総合した場合に相俟って生じる意匠的な効果を考慮したとしても、両意匠の類否判断を左右するほどの要素とはなり得ないものである。
一方、前記差異点について考察すると、(1)については、ハンドル部は、正面中央のやや広い面を構成し、使用態様等も勘案すると観る者の注意を惹く部位に係るから、形態の主要部を構成していると言えるものであり、また、この種物品分野において、本願意匠の出願前に、ハンドル部の正面略全面に模様を表した態様のものは普通に見受けられず、破線状の陰刻部を略斜め格子状に配した模様も日本国内において周知の模様と認められるものでもないから、模様の有無は形態全体の印象に相当大きな影響をおよぼすものと言わざるを得ず、その差異は、両意匠の類否判断を左右するほどの要素と認められる。(2)については、形態全体としては相対的に小さい部位であるが、ハンドル部と共に正面側を構成する態様に係り、使用時に注意を払う点も勘案すると、その差異は、両意匠の類否判断に影響を与える要素である。そして、これら差異点が相乗して生じる意匠的効果は、形態全体に与える影響が大きく、両意匠の類否判断を左右する支配的要素であると言うことができる。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品について共通するものの、形態については、共通点を総合したとしても両意匠の類否判断を左右するほどの要素となり得ないものであるのに対し、差異点は、両意匠の類否判断を左右する支配的要素であるから、差異点が共通点を凌駕し、両意匠は、全体として類似しないものと言わざるを得ない。
5.むすび
したがって、本願の意匠は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似しないものであるから、意匠法第3条第1項第3号に該当するものとすることはできない。
また、他に本願意匠を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2001-05-31 
出願番号 意願平10-16919 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 楽 勝広 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 伊勢 孝俊
鍋田 和宣
登録日 2001-07-13 
登録番号 意匠登録第1120211号(D1120211) 
代理人 鮫島 武信 

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