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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) K2
管理番号 1043424 
判定請求番号 判定2001-60020
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2001-09-28 
種別 判定 
判定請求日 2001-02-09 
確定日 2001-07-23 
意匠に係る物品 釣竿スタンド 
事件の表示 上記当事者間の登録第1083172号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「釣竿スタンド」の意匠は、登録第1083172号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第一 請求の趣旨及び理由
請求人は、「イ号意匠並びにその説明書に示す意匠は、登録第1083172号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める。」と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1.判定請求の必要性
本件判定請求人は、本件判定請求に係る登録意匠「釣竿スタンド」(甲第1号証、以下「本件登録意匠」という。)の意匠権者である。本件判定被請求人が現在販売しているイ号意匠の「ロッドスタンド」は、本件登録意匠の意匠権を侵害するものであるので、本件判定請求人は、特許庁による判定を求める。
2.本件登録意匠
本件登録意匠は、意匠に係る物品を「釣竿スタンド」とし、その形態の要旨を、次の通りとする(甲第1号証参照)。
(1)基本的な構成態様は、左右対称に2つの支持板を設け、その下端に逆凹状の足部を取り付け、その足部の少し上方に、複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板を左右の支持板に取り付け、支持板の上端には任意形状となる装飾橋架板を取り付け、その装飾橋架板に近接して、複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板を左右の支持板に取り付け、釣竿拘持板の少し下方で任意形状の支持橋架板を左右の支持板に取り付けている。
(2)具体的な構成態様は、左右の支持板に橋架する上方の複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板と、下方の複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板に、釣竿の後端の握り手部分を掛止橋架板に載置し、釣竿の上部を釣竿拘持板に定置する機能形状である。
3.イ号意匠
イ号意匠の形態の要旨は、次の通りとする(甲第2号証参照)。
(1)基本的な構成態様は、左右対称に2つの支持板を設け、その下端に逆凹状の足部を取り付け、その足部の内側に複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板を左右の支持板に取り付け、掛止橋架板に近接した上部に下部支持橋架板を左右の支持板に取り付け、支持板の上端には任意形状で中央部に楕円欠成孔をあけた上端橋架板を取り付け、その上端橋架板に近接して、複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板を左右の支持板に取り付け、釣竿拘持板の少し下方で、長方形状の上部支持橋架板を左右の支持板に取り付け、さらに、左右の支持板の外部となる側面に、複数個のリール掛け棒を取り付けて形成している。
(2)具体的な構成態様は、左右の支持板に橋架する上方の複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板と、下方の複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板に、釣竿の後端の握り手部分を掛止橋架板に載置し、釣竿の上部を釣竿拘持板に定置する。そして、左右対称となる2つの支持板の外部側面に、複数個のリール掛け棒にはリールを吊着できる機能形状である。
4.本件登録意匠とイ号物件との対比
[共通点]
(1)両意匠は、意匠に係る物品が「釣竿スタンド」で一致している。
(2)両意匠とも、基本的な構成態様は、左右対称に2つの支持板を設け、その下端に逆凹状の足部を取り付け、その足部の少し上方に、複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板を取り付け、支持板の上端には山形状となる上端橋架板を取り付け、その上端橋架板に近接して、複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板を左右の支持板に取り付けた機能形状である。
(3)具体的な構成態様は、左右の支持板に橋架する上方の複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板と、下方の複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板に、釣竿の後端の握り手部分を掛止橋架板に載置し、釣竿の上部を釣竿拘持板に定置する機能である。
[差異点]
(イ)本件登録意匠は、上端の装飾橋架板が一つの波型の欠成形状であり、その板の中央部は欠成孔は無いのに対して、イ号意匠は、中央部に欠成孔があく山形状の上端橋架板となっている。
5.イ号意匠が本件登録意匠に及びこれに類似する意匠の範囲に属する理由
(1)本件登録意匠に関する先行周辺意匠
公知資料1、刊行物名「月刊Basser 1999年3月号」、(株)つり人社、平成11年3月1日発行、第258頁全頁広告
公知資料2、刊行物名「月刊Bass・World 1999年3月号」(株)えい出版社、平成11年3月1日発行、第160頁全頁広告
(2)本件登録意匠の要部
本件登録意匠の創作の要点について述べれば、この種物品における意匠上の創作の主たる対象は、複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板と、複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板の構成態様にあることは明らかで、釣竿を載置した態様が相俟って、本件登録意匠全体の基調を表出している。
(3)本件登録意匠とイ号意匠との類否の考察
そこで、本件登録意匠とイ号意匠の共通点及び差異点を比較検討するに、両意匠の共通点は、基本的な構成態様に係るものであり、登録意匠全体を構成する左右対称となる2つの支持板と、その上端の装飾橋架板及び下端に設けた逆凹状の足部は共通となり、特に、本件登録意匠の要部である複数個の円形の窪みを設けた掛止橋架板と、複数個の凹溝を欠成した釣竿拘持板が全く共通しており、両意匠の類否の判断に大きな影響を与えるものである。
両意匠の差異点については、イ号意匠の上端橋架板は、楕円欠成孔をあけた山形状で現されているが、特に楕円欠成孔に関して用途及び作用は無いものと考えられ、左右の支持板の外部側面のリール掛け棒においても、本件登録意匠との類否を恰も創作しているように思われ、類否の判断に及ぼす影響は微弱なものである。
以上の認定、判断を前提として両意匠を全体的に考察すると、両意匠の差異点は、類否の判断に与える影響は微弱なものであって、共通点を凌駕しているものとはいえず、両意匠の類否の判断に及ぼす影響は、その結論を左右するまでには至らないものである。
6.むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
第二 被請求人の答弁
被請求人は、「結論同旨の判定を求める。」と答弁し、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠方法として乙第1号証を提出した。
1.請求の趣旨について
本件判定請求人は、「イ号意匠並びにその説明書に示す意匠は登録第1083172号の意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める。」と請求の趣旨を述べている。
しかしながら、判定を求める対象物を特定するための「イ号意匠並びにその説明書」の添付がなく、本件判定請求における「イ号意匠」の特定がなされておらず、本件判定請求自体が不適法であるともいえるが、本件判定請求人は、イ号意匠に関するものとして、甲第2号証を提出している。
この甲第2号証のカタログは、被請求人のものであるから、被請求人としては、甲第2号証の左上方部分に掲載されている「4ロッドホルダー」という商品名の物品に係る意匠を「イ号意匠」であると善解し、このイ号意匠について、以下の答弁を行うこととし、「イ号意匠」を特定するために、「イ号物件の写真及びその説明書」を添付する。
なお、甲第2号証は、不鮮明であるため、甲第2号証の「4ロッドホルダー」掲載部分を拡大したものを乙第1号証として提出する。
2.本件登録意匠
本件登録意匠は、意匠に係る物品を「釣竿スタンド」とし、その形態は次の通りである。
(1)左右一対の脚台の上面中央に立設された左右一対の支柱板と、この一対の支柱板の上端に、板面を垂直にして架け渡した上端板と、この上端板の下辺に沿って、板面を水平にして一対の支柱板に架け渡した上方板と、一対の支柱板の上方から約4分の1の高さ部分に、板面を垂直にして掛け渡した中間板と、床面から左右の支柱板の間隔の約3分の1の高さ間隔をあけ、板面を水平にして一対の支柱板に架け渡された下方板とからなる。
(2)左右の支柱板の間隔は、支柱板の高さの半分よりも少し狭く形成されている。
(3)上端板は、正面から見て上辺中央部が山形に湾曲し、その両側の左右幅の約4分の1の部分が下方に凹む形状をしている。
(4)上端板の下辺に沿う上方板の前方辺には、5個の切欠きが等間隔に形成されている。
(5)中間板は、正面から見て左右幅の約4分の1の部分の上下辺に、くびれが形成されている。
3.イ号意匠について
イ号意匠は、イ号物件の写真及びその説明書に示す通り、釣竿を立て掛けて陳列するために使用する、商品名を「ロッドホルダー」とする物品に係るものであり、その形態は次の通りである。
(1)左右一対の脚台の上面中央に立設された左右一対の支柱板と、この一対の支柱板の上端に、板面を垂直にして架け渡した上端板と、この上端板の下方に、上端板の上下幅よりも少し広い間隔をあげ、板面を水平にして一対の支柱板に架け渡した上方板と、一対の支柱板の上方から約3分の1の高さ部分に、板面を垂直にして掛け渡した中間板と、床面から左右の支柱板の間隔の約3分の1の高さ間隔をあげ、板面を垂直にして一対の支柱板に架け渡された下方板と、左右の脚台に、板面を水平にして架け渡した床面板とからなる。
(2)左右の支柱板の間隔は、支柱板の高さの半分と略同等に形成されている。
(3)上端板は、正面から見て上辺両側が下方に傾斜している。また、上端板の中央部分に、左右幅の約3分の1の長さの長孔が形成されている。
(4)上端板の下方に間隔をあげて設けられた上方板の前方辺には、5個の切欠が等間隔に形成されている。
(5)中間板と下方板の上下辺は、平行に形成されている。
(6)床面板の上面には、円形の窪みが等間隔で5個形成されている。
(7)左右一対の支柱板の外面には、上方板の少し下方と、中間板の側方と、高さの略半分の位置の計6箇所に、それぞれ一対のリール掛けを設けている。
4.本件登録意匠とイ号意匠との対比
本件登録意匠とイ号意匠とを対比すると、両意匠には次の共通点と相違点がある。
[共通点]
(1)両意匠は、釣竿を立て掛けて陳列するために使用する物品の意匠に係るものであり、意匠に係る物品が共通する。
(2)両意匠は、左右一対の脚台の上面中央に立設された左右一対の支柱板間に、上端板、上方板、中間板、下方板等、複数枚の板材を架け渡している。
(3)両意匠は、上方板の前辺に、立て掛けた釣竿を挿入するための切欠きを等間隔に形成している。
[相違点]
(イ)上端板の形状が、本件登録意匠の場合、正面から見て上辺中央部が山形に湾曲し、その両側の左右幅の約4分の1の部分が下方に凹む形状をしているのに対し、イ号意匠の場合は、正面から見て上辺両側が下方に傾斜し、上端板の中央部分に、左右幅の約3分の1の長さの長孔を形成している点において両意匠は相違する。
(ロ)前辺に切り欠きを等間隔で形成した上方板を、本件登録意匠の場合、上端板との間に間隔をあげずに下辺に沿った位置に設けているのに対し、イ号意匠の場合は、上端板の下方に、上端板の上下幅よりも少し広い間隔をあけた位置に設けている点において両意匠は相違する。
(ハ)中間板を、本件登録意匠の場合、一対の支柱板の上方から約4分の1の高さ部分に設け、正面から見て左右幅の約4分の1の部分の上下辺にくびれを有する形状に形成しているのに対し、イ号意匠の場合は、一対の支柱板の上方から約3分の1の高さ部分に設け、上下辺にくびれのない平行な形状である点において両意匠は相違する。
(ニ)床面から左右の支柱板の間隅の約3分の1の高さ間隔をあけて架け渡した下方板を、本件登録意匠の場合、板面を水平にして設けているのに対し、イ号意匠の場合は、板面を垂直にして設けている点において両意匠は相違する。
(ホ)イ号意匠の場合、左右の脚台に、板面を水平にして架け渡した床面板を設け、この床面板の上面に円形の窪みを等間隔に形成しているが、本件登録意匠の場合には、このような床面板を有しない。なお、本件請求人は、本件登録意匠には、上記相違点の(ニ)に記載した下方板の上面に円形の窪みが形成されているように主張しているようであるが、本件登録意匠の各図から円形の窪みを判断することはできない。
(ヘ)イ号意匠の場合、左右一対の支柱板の外面の計6箇所に、それぞれ一対のリール掛けを設けているが、本件登録意匠の場合には、このようなリール掛けは設けられていない。
5.本件登録意匠とイ号意匠との類否
本件登録意匠とイ号意匠とを対比すると、両意匠には、上記のような共通点と相違点がある。
上記両意匠の共通点として掲げた左右一対の脚台の上面中央に立設された左右一対の支柱板間に、上端板、上方板、中間板、下方板等、複数枚の板材を架け渡し、上方板の前辺に、立て掛けた釣竿を挿入するための切欠きを等間隔に形成しているという点は、本件登録意匠の出願前の公知意匠も備えており、かかる共通点を備えるということをもって両意匠が類似であるとすることはできない。
本件請求人が公知資料1、公知資料2として自ら提出する月刊雑誌「月刊Basser 1999年3月号」、「月刊バスワールド」は、いずれも本件意匠登録の出願前である1999年3月に発行されたものであり、この刊行物に「ROD STAND H-05」という品番で掲載されている釣竿スタンドの意匠は、左右一対の支柱板の外面の計6箇所に、一対のリール掛けを設けているという点が本件登録意匠と相違するだけで、上端板、上方板、中間板、下方板の形状、配置の全てが本件登録意匠と共通する。
したがって、公知意匠1、公知資料2の存在からして、本件登録意匠が保護されるべき意匠の範囲というものは、極めて狭い範囲に限られるものである。
そして、本件登録意匠とイ号意匠との間には、上記(イ)ないし(ヘ)に記載したように、左右一対の支柱板に架け渡した各板の形状、配置が大きく異なり、両意匠から受ける印象は全体として別異なものである。よって、本件登録意匠とイ号意匠は、非類似である。
5.むすび
以上のように、本件登録意匠とイ号意匠は非類似であるから、イ号意匠は、本件登録意匠の範囲に属さない。
第三 当審の判断
1.本件登録意匠
平成11年6月24日の意匠登録出願に係り、平成12年6月23日に設定の登録がされた登録第1083172号意匠であり、その願書の記載及び願書添付図面によれば、意匠に係る物品が「釣り竿スタンド」であり、その形態が、同添付図面に示されるとおりのものである。(別紙第一参照)
2.イ号意匠
イ号意匠について、請求人は、本件判定被請求人が現在販売しているイ号意匠の「ロッドスタンド」とし、甲第2号証参照としているが、甲第2号証(株式会社千趣会発行の「すまいと雑貨2001春夏号」)には、「ロッドスタンド」という商品の意匠は掲載されていない。しかしながら、請求人の「イ号意匠の説明」を参酌すると、その商品は、「4」のロッドホルダーの意匠と認められる。
なお、被請求人は、「この甲第2号証のカタログは、被請求人のものであるから、被請求人としては、甲第2号証の左上方部分に掲載されている「4ロッドホルダー」という商品名の物品に係る意匠を「イ号意匠」であると善解し、このイ号意匠について、以下の答弁を行う。」としている。(別紙第二参照)
3.対比
両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態について、以下の共通点と差異点が認められる。
[共通点]
基本的構成態様において、全体が、一対の脚台の上面略中央から、側面視逆「T」の字状に立設した支柱板の間に、下方から順に、釣り竿載置板、補強板、釣り竿把持板、上端装飾板を水平に架け渡している点
また、各部の具体的態様において、
(1)全体の構成比について、横幅と高さの比が、略1:2である点、
(2)脚台について、側面視扁平な略逆凹の字状である点、
(3)釣り竿把持板について、帯状の板体とし、その板面を水平にして支持板に取り付け、その正面側の5ヶ所を、等間隔に凹状に切截して、その凹部に釣り竿を立て掛け把持する態様のものである点、
(4)補強板について、帯状の板体とし、その板面を垂直にして、支持板の中央から上方寄りに取り付けている点、が共通している。
[差異点]
一方、両意匠は、具体的態様において、
(イ)リール掛け部について、イ号意匠は、各支柱板の外側面の中央から上方寄りの3ケ所に、各々一対の「こけし」様のフックを突起させてリール掛け部を設けているのに対し、本件登録意匠は、このようなリール掛け部を設けていない点、
(ロ)釣り竿把持板の位置について、本件登録意匠は、上端装飾板に接して設けているのに対し、イ号意匠は、上端装飾板の下方に、上端装飾板の上下幅より少し広い間隔をあけた位置に設けている点、
(ハ)釣り竿載置板の位置について、本件登録意匠は、支持板の下から略1/6に取り付けているのに対し、イ号意匠は、脚台内側面に取り付けている点、
(ニ)上端装飾板について、正面視につき、本件登録意匠は、上辺の中央部を緩やかな円弧状とし、その両側寄りに下方に凹む湾曲部を形状をしているのに対し、イ号意匠は、上辺中央部を水平状とし、その両側を、外側に緩やかに傾斜させている点、
(ホ)補強板について、本件登録意匠は、支柱板の上方から約4分の1の高さの位置に設け、両側寄りにくびれ部を現しているのに対し、イ号意匠は、支柱板の上方から略1/3の高さの位置及び下から略1/6の高さの位置の2ケ所に設けている点、に差異がある。
4.類否判断
そこで、上記共通点と差異点が、両意匠の類否の判断に及ぼす影響について検討する。
両意匠に共通する基本的構成態様、すなわち、全体が、一対の脚台の上面略中央から、側面視逆「T」の字状に立設した支柱板の間に、下方から順に、釣り竿載置板、補強板、釣り竿把持板、上端装飾板を水平に架け渡している点及び具体的態様の共通点(1)ないし(4)は、請求人が、「本件登録意匠に関する先行周辺意匠」として提出した公知資料1((株)つり人社が平成11年3月1日に発行した「月刊Basser 1999年3月号」の第258頁に所載された「ROD STAND H-05」の意匠)及び公知資料2((株)えい出版社が平成11年3月1日に発行した「月刊Bass・World 1999年3月号」の第160頁に所載された「ROD STAND H-05」の意匠)に見られることを考慮すると、この基本的構成態様及び具体的態様の共通点を高く評価することができず、両意匠の類否判断の支配的要素とすることはできない。
一方、差異点について、(イ)のリール掛け部について、イ号意匠が、各支柱板の外側面の中央から上方寄りの3ケ所に、各々一対の「こけし」様のフックを突起させてリール掛け部を設けている点は、その使用態様を考慮すると意匠的効果が認められ、また、本件登録意匠が、前記公知資料1及び公知資料2が存在する上で意匠登録がなされていることを勘案すると、リール掛け部の有無は類否判断を左右するところといえ、その類否判断に及ぼす影響は、大きいというべきであり、これに、差異点(ロ)の釣り竿把持板の位置及び(ハ)の釣り竿載置板の位置の差異が加わり、また、(ニ)の上端装飾板の差異及び(ホ)の補強板について、イ号意匠が、支柱板の上方から略1/3の高さの位置及び下から略1/6の高さの位置の2ケ所に設けている点が相俟って、両意匠には別異の印象が生じており、その類否判断に及ぼす影響は、大きいというべきである。
以上の通りであって、両意匠は、意匠に係る物品は共通しているが、その形態について、両意匠の基本的構成態様及び具体的態様の共通点(1)ないし(4)は、その相俟った効果を考慮しても、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ないのに対し、差異点は、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、大きいというべきであり、差異点が共通点を凌駕する両意匠は、類似するものということができない。
第四 むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲

判定日 2001-07-09 
出願番号 意願平11-16733 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (K2)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 治子 
特許庁審判長 吉田 親司
特許庁審判官 岩井 芳紀
温品 博康
登録日 2000-06-23 
登録番号 意匠登録第1083172号(D1083172) 
代理人 鳥居 和久 
代理人 東尾 正博 
代理人 鎌田 文二 

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