• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2
管理番号 1050246 
審判番号 不服2000-2134
総通号数 25 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-14 
確定日 2001-12-10 
意匠に係る物品 水栓用ハンドル 
事件の表示 平成10年意匠登録願第 14917号「水栓用ハンドル」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願意匠は、平成10年(1998年)5月25日の意匠登録出願に係り、意匠に係る物品が「水栓用ハンドル」、意匠に係る形態が願書の記載及び添付図面に示されるとおりのものである(別紙第一参照)。
これに対して、本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本願の出願前の昭和63年(1988年)12月5日発行の意匠公報に所載の登録第749957号意匠であって、意匠に係る物品が「水栓用ハンドル」、その形態が同公報に示されたとおりのものである(別紙第2参照)。
本願意匠と引用意匠を比較すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通の目的機能を有するものと認められ、その形態については、主として以下の共通点と差異点があるものと認められる。
即ち、先ず共通点について摘示すると、(1)全体が、略倒短円柱状を成す基部の正面側に、その基部の径と同径の倒半球状の柄頭部を突出させ、柄部につきその倒半球状部の下半部を、下方に向かって徐々に細幅となるように延長垂下させ、基部の短円柱の直径と略同長下がった部位を下端部とし、延長垂下部分の左右側面部の略全面を側方視略縦長方形状の削ぎ面とした基本的な構成態様のものである点が共通する。具体的な態様においては、(2)正面視の全体の輪郭形状が略水滴状を成す点、(3)側面視上半部の柄頭部の前側輪郭線が、略4分の1円弧の下方部を直線状とした点、(4)削ぎ面の側方視の上辺前側角部を4分の1円弧状に丸めている点、(5)柄部の正面が左右中央部が膨出する弧面状である点、が認められる。
次いで差異点について、各部の具体的な態様において、(イ)正面視の全体の輪郭形状である略水滴状における基部と柄部の境の部分について、本願意匠は、円弧から直線状に鋭く屈曲するのに対して、引用意匠は緩やかな凹弧状に連続している点、(ロ)柄部前面につき、本願意匠は、上方部がかなり幅広状で下方に向かって急激に直線状に細り、逆三角形状の頂点部を丸めた態様を成しているのに対して、引用意匠は、柄部の上方部が既にかなり細幅で、下方に行くに従い徐々に直線状に僅かに細幅となり、下端部が極僅かに左右に開き、底辺部が略水平線状となっている点、(ハ)側方から見た柄部の前面側輪郭につき、本願意匠は、緩やかな突弧状に膨出し、下端において直角状に後方に折れ曲がるのに対して、引用意匠は斜め直線状を成して下がり、下端寄り部位から円弧状に滑らかに後方に曲がっている点、(ニ)上方からみた柄頭部の態様につき、本願意匠が半円状の基部寄り左右部分を直線状に削いだ態様であるのに対して、引用意匠は、半円状の左右部分を大きく凹弧状に削いでおり全体が逆三角形に近い態様である点、(ホ)側方から見た柄部全体の垂下方向について、本願意匠は、垂直状に垂下するのに対して、引用意匠は、斜め前方下方に垂下する点、(ヘ)削ぎ面の側方視の態様について、本願意匠は、縦長長方形の上辺前側角部を円弧状に丸めた態様であるのに対して、引用意匠は、略長円状の下端部の後端部を円弧と直線が衝突する態様とした点、が認められる。
そこで、上記の共通点と差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
先ず共通点について、(1)乃至(3)の点について、これらの態様は、水栓用ハンドルの骨格的態様として既に典型的な一構成態様であって、この点に創作性は認められず、本願物品においてはより具体的な各部の態様の如何に創作の要部が存するのであって、両意匠は、この典型的骨格態様を単に選択したに過ぎず、さほど評価することのできないものであり、その影響は、それぞれ軽微程度に止まるものである。(4)の点は、全体からみると極狭い部分の態様の共通点であって、その影響は、微弱に止まるものである。(5)の点は、柄部正面の丸みの共通感をもたらしているが、差異点(ロ)、特に上方部の幅の差異がこの共通点の効果を弱めており、その影響は、微弱に止まるものである。
そうすると、上記の共通点は、これらが纏まったとしても、その全体に及ぼす影響は、軽微程度に止まると評価されるものである。
次いで、差異点について、(イ)の点は、全体について、本願意匠が直線的なごつごつした印象を与えるのに対して、引用意匠は、曲線的で滑らかな印象を与えるものとなっており、その影響は、稍大きいものである。(ロ)の点は、大きな部分であり、且つ注視される柄部の態様の大きな差異感をもたらしており、その影響は全体に及び、かなり大きいものである。(ハ)の点は、柄部の側面態様について、本願意匠は、丸み感及び塊感をもたらしているのに対して、引用意匠は、直線的ですっきりした印象をもたらしており、その影響は稍大きいものである。(ニ)の点は、大きな容積を占める柄頭部全体の塊の形状の大きな違いを感得させるものであり、その影響は、かなり大きいものである。(ホ)の点は、一見して把握される全体構成の差異を感得させるものであり、その影響は、稍大きいものである。(ヘ)の点は、かなり大きな面積を占め全体形状にアクセントとしての美感を与える部分に係り、かなりの差異感をもたらしており、その影響は、稍大きいものである。
そうすると、上記差異点は、これらが纏まって全体に及ぼすその影響は、稍大きい以上のものと評価されるものである。
以上のとおりであって、両意匠は、差異点の及ぼす影響が共通点の及ぼす影響を凌駕しており、到底、類似しているとはいえないものである。
従って、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当するとはいえず、原審の拒絶査定は当を得ないものといわざるを得ない。また、他に拒絶理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2001-11-29 
出願番号 意願平10-14917 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 橘 崇生 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 鍋田 和宣
伊勢 孝俊
登録日 2001-12-21 
登録番号 意匠登録第1134196号(D1134196) 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ