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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 M2
管理番号 1053545 
審判番号 不服2000-646
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-01-19 
確定日 2002-02-05 
意匠に係る物品 ガス栓 
事件の表示 平成10年意匠登録願第 21190号「ガス栓」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願意匠は、平成10年7月23日の意匠登録出願に係り、意匠に係る物品が「ガス栓」、意匠に係る形態が願書添付図面に示されるとおりのものである(別紙第一参照)。
これに対して、本願意匠が類似するとして原審が拒絶理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本願の出願の日前の平成9年9月29日に出願のあった登録第1038422号意匠であって、意匠に係る物品が「ガス栓」、その形態が、願書添付図面に示されるとおりのものである(別紙第二参照)。
本願意匠と引用意匠を比較すると、両意匠は、意匠に係る物品が同一のものであり、その形態については、主として以下の共通点と差異点があるものと認められる。なお、比較に当たって、引用意匠の図面を左右逆転して認定する。
即ち、先ず共通点について摘示すると、
(1)全体が、縦長略円筒状の本管部の右側面の上方位置及び左側面の上下略中央位置に、各々外方に向けて直角状に分岐管部を設け、本管部の上端には略円盤状のハンドル部を突設し、下端部には略多角筒状の接続管を突設した基本的な構成態様のものである点が認められ、各部の具体的な構成態様においては、
(2)本管部の右側面の上方位置の分岐管部については、本管部際を短い円筒状とし、幅狭と幅広の2枚のリング状部を間に介して、先端には、先端を略六角筒状とする接続管を装着している点、
(3)本管部の左側面の上下略中央の分岐管部については、本管部際を短い円筒状としている点、
(4)ハンドル部の略円盤状について、その径を本管部の径と略同径とする円盤状で、その略上半部は、その前後対向位置を上方視略半円状に膨出して突出部を形成し、略下半部を下方窄まりの逆円錐台状としている点、
(5)本管部の下端部に挿入の接続管はその先端側が略六角筒状である点、が認められる。
次いで差異点について摘示すると、各部の具体的な態様において、
(イ)本管部について、本願意匠は、全高に掛けて外周面が略同径で、下方部位の正背面に略方形状の垂直面状の削ぎ面を設けているのに対して、引用意匠は、上方略3分の1の部分が、上方拡がりの逆円錐台状で、下方略3分の1の部分が中央部分より僅かに大径の略円筒状であり、その下方部分の正背面に略方形状の垂直面状の突出面を設けている点、
(ロ)本管部の左側面上下略中央の分岐管部について、本願意匠は、本管部際の略円筒状部が稍長く、その先端部には、略縦長円柱状でその上方寄り位置で直角状に分岐接続部を有し、その下端面を小径で短円筒状に窄め先端部に括れ部を設けた稍細い迅速継ぎ手が挿入され、継ぎ手全体が前後方向に360度回転可能のものであるのに対して、引用意匠は、極短い円筒状基部の先端に略六角筒状の接続部を取り付けている点、が認められる。
そこで、上記の共通点と差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
先ず共通点について、(1)の点は、形態全体の基本的な構成態様であって、両意匠の近似感をもたらすものであるが、その構成自体、既に一般的な構成に過ぎず、さほど評価のできないものであって、その影響は、小さいものである。
(2)の点は、接続部の態様として極一般的な形態であって、さほどの評価のできないものであって、その影響は、小さいものである。
(3)の点は、さほど特徴的でなく、また狭い部分の態様に係るものであって、その影響は、極小さいものである。
(4)の点は、上端側の操作部という注視される部分に係り、造形上の自由度も大きい部分の態様における共に一般的な態様であることから、その影響は、小さいものである。
(5)の点は、接続部の態様として極一般的な形態であって、さほどの評価のできないものであって、その影響は、小さいものである。
そうすると、上記の共通点は、これらが合わさって全体として及ぼす影響は、小さいものである。
次いで差異点について、(イ)の点は、最大面積を占める本管部分における差異点であって、引用意匠が凹凸のある複雑な態様である印象をもたらすのに対して、本願意匠は、極シンプルな略円筒状の印象をもたらすものであって、その影響は、大きいものである。
(ロ)の点は、接続管は使用にあわせて変更可能であるものの、かなりな部分を占める部位における差異であって、本願意匠の回動可能の点も合わせて別異感をもたらしておりその影響は、やや大きいものである。
そうすると、上記の差異点の及ぼす影響は、これらが合わさって全体として、大きいものと評価されるものである。
以上のとおり、両意匠は、差異点の及ぼす影響が共通点の及ぼす影響を凌駕するものであって、類似するということができないものである。
従って、本願意匠は、原審の引用意匠を以て、意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係るものに該当しないとすることができないものであって、この理由により意匠登録を受けることができないものとすることはできない。
また他に拒絶理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2002-01-25 
出願番号 意願平10-21190 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (M2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 橘 崇生 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 伊勢 孝俊
鍋田 和宣
登録日 2002-02-22 
登録番号 意匠登録第1138797号(D1138797) 
代理人 渡辺 昇 

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