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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする C1
管理番号 1053548 
審判番号 審判1999-35268
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-06-02 
確定日 2001-12-17 
意匠に係る物品 カーテン地 
事件の表示 上記当事者間の登録第1005599号「カーテン地」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1005599号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1、請求の趣旨及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として審判請求書の請求理由の項の記載のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証乃至甲第13号証を提出した。
意匠登録第1005599号の意匠(以下、本件登録意匠と云う)は、平成8年1月26日の意匠登録出願に係るが、その意匠登録出願前の1996年8月26日発行の国内カタログ「HANDS SELECTION 創造素材カタログ」(東京都渋谷区道玄坂2-29-20株式会社東急ハンズ発行)第70頁の中央下端寄りに「お部屋をなごませる柔らかな風合い 和紙を思わせる不織布は、ソフトなイメージながらも丈夫で長持ち。和風、洋風とどちらの部屋にもマッチします。和紙風すだれ(W88 H170cm)3、500」として所載のロールカーテンのためのカーテン地の意匠(甲第4号証の意匠、以下、甲号意匠と云う)と類似し、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
第2、答弁の趣旨及び理由
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める。」と答弁し、その理由として要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、乙第1号証乃至乙第13号証を提出した。
本件登録意匠と甲号意匠は、基本的態様において、本件登録意匠が特徴としている、シートと補強棒とで構成されている点は、共通するが、具体的な態様において、甲号意匠は、紐及び補強棒の態様が全く不明であり、紐及び補強棒の結合態様のおりなす美的外観が全く感じられず、非類似である。
第3、当審の判断
1、本件登録意匠
本件登録意匠は、平成8年1月26日に意匠登録出願をし、平成9年12月19日に意匠権の設定の登録がされたものであり、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「カーテン地」とし、その形態を、別紙第1に示すとおりとしたものである。
本件登録意匠は、意匠の説明において「この意匠に係るカーテン地は、カーテンを構成するためのものであり、シートと、正面図の左右方向にのびるとともにシートに接着された複数の補強棒と正面図の左右の上下方向にのびるとともに補強棒が貫通させられた複数の紐とから成る。補強棒同志を近接させるようにして正面図の上下方向に折り畳むことができる。シートは和紙から構成され、補強棒は木材から構成される。複数の補強棒同志の距離は40mmである。この意匠は正面図において上下左右に連続するものである。底面図は平面図と対称にあらわれる。」と記載されているところのものである。
2、甲号意匠
請求人の提出する甲号意匠は、東京都渋谷区道玄坂2-29-20株式会社東急ハンズ発行の1996年8月26日発行の「HANDS SELECTION 創造素材カタログ」第70頁の中央下端寄りに「お部屋をなごませる柔らかな風合い 和紙を思わせる不織布は、ソフトなイメージながらも丈夫で長持ち。和風、洋風とどちらの部屋にもマッチします。和紙風すだれ(W88 H170cm)3、500」の文言とともに所載の商品「和紙風すだれ」を構成するカーテン地の意匠であって、その形態を別紙第2に示すとおりとしたものである。(なお、甲号意匠のカタログ第232頁には「1992年8月26日初版発行」と記載があり、発行日から本件登録意匠の出願日までの間が略4年を経過しているので、当カタログは、本件登録意匠の出願前に国内において頒布されたものと認める。)
3、本件登録意匠と甲号意匠の比較検討
本件登録意匠は、上辺につり下げのための枠や吊り下げ金具などを取付け、上下方向に折り畳み又は巻き上げ可能のカーテンを構成するためのカーテン地であって、その形態は、水平方向に延びる細棒を上下に40mmの等間隔平行に配し、その水平細棒を吊り下げる上下方向に延びる細紐を左右に水平細棒間の略倍強の長さの等間隔で配して、複数等間隔の水平細棒と複数等間隔の垂下細紐の交差から成る格子状の簾に和紙から成る紙地を張り付けてなる態様のものである。
甲号意匠は、上辺につり下げのための横桟状枠体とその左右寄りに吊り下げ金具などを取付けた上下方向に巻き上げ可能のロールカーテンに用いられているカーテン地の意匠であって、その形態は、水平方向に延びる細棒を上下に等間隔平行に配し、その水平細棒を吊り下げる上下方向に延びる細紐を左右に水平細棒間の略倍強の長さの等間隔で配して、複数等間隔の水平細棒と複数等間隔の垂下細紐の交差から成る格子状の簾に不織布を張り付けてなる態様のものである。
すなわち、両者は、共に上下方向に巻き上げ可能のカーテン地の意匠であって、意匠に係る物品が一致し、その形態については、水平方向に延びる細棒を上下に等間隔平行に配し、その水平細棒を吊り下げる上下方向に延びる細紐を左右に水平細棒間の略倍強の長さの等間隔で配して、複数等間隔の水平細棒と複数等間隔の垂下細紐の交差から成る格子状の簾に紙地を張り付けてなる態様が、共通する。
一方、差異点として、本件登録意匠は、格子状の簾を張り付けた紙地が背面側の和紙1枚のみであるのに対して、甲号意匠は、格子状の簾を張り付けた紙地が背面側1枚のみか否か、詳細には明らかではない点、が認められる。
しかし、本件登録意匠も、図面上背面側には正面側の格子状の簾が表されいないものの、紙地が和紙であることから、実施物の背面側に、正面側より強い光源を当てた場合には特に鮮明に、正面側の格子状の簾が透けて現れることは当然想定されるものであって、また甲号意匠も、紙地が白色の不織布であることから、たとえ格子状の簾の背面側のみでなく正面側にも不織布が貼られているものであるとしても、透光性のある紙地であるから、使用時の明るい光源のもとで現れる態様においては、格別顕著な差異には現れないものでもあって、その差異点が類否判断に与える影響は微弱に過ぎない。
また、被請求人は、甲号意匠はシートと補強棒とで構成されているが、紐を有さないものであり、非類似である旨主張するが、カタログの原本及びその写しにおいても、紐が縦に6本等間隔に現れており、被請求人の主張は失当である。
一方、前記共通するとした点は、両意匠に係る形態の全体の基調を形成し、且つ、両意匠の特徴を表象する主要なものであって、両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものと言うべきである。
以上のとおり、本件登録意匠と甲号意匠とは、意匠に係る物品が一致し、形態においても、その形態上の特徴を最もよく表す要部が共通するものであるから、両意匠は類似するものと云うほかない。
そうすると、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し、同法同条の規定に違背して登録されたものであるから、その意匠登録は無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2001-01-04 
結審通知日 2001-01-19 
審決日 2001-02-13 
出願番号 意願平8-1627 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (C1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 遠藤 京子吉田 親司 
特許庁審判長 山田 啓治
特許庁審判官 秋間 哲子
藤 正明
登録日 1997-12-19 
登録番号 意匠登録第1005599号(D1005599) 
代理人 宮崎 伊章 
代理人 楠本 高義 
代理人 宮崎 伊章 

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