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審決分類 審判 無効  意10条1号類似意匠 無効としない F4
管理番号 1053565 
審判番号 無効2000-35466
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-03-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-08-30 
確定日 2002-02-06 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 上記当事者間の登録第1046602号の類似第3号意匠「包装用容器」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立て及び理由
請求人は、「第1046602号の類似第3号意匠登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求める、と申し立て、その理由として概略以下のとおり主張し、立証として、甲第1号証、甲第1号証の2、甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証の1ないし4,甲第5号証、甲第6号証の1及び2、甲第7号証の1及び2、甲第8号証の1ないし6、及び甲第9号証を提出した。
登録第1046602号の類似第3号意匠(以下、「本件類似意匠」という。)は、自己の登録意匠(本意匠)に類似せず、仮に類似すると看做すならば、その出願日に先行する他人の公知意匠と類似することになり、意匠法第10条第1項の規定に該当しないため、その登録は、同法第48条第1項第1号の規定に基づき無効とすべきものである。
本件類似意匠とその本意匠とは、鶏卵収納個数のみならず、蓋体のラベル挿入用又はラベル貼着用平坦面における輪郭形状、表出模様などの造形パターンや、その蓋体に対する占有面積も格別相違する。とりわけ、鶏卵の陳列販売上、商品ラベルは包装用容器の最も良く見える部分に挿入又は貼着使用される性質のもので、本件類似意匠における願書の意匠に係る物品の説明にも特記されているとおり、そのラベル挿入用又はラベル貼着用平坦面が本件類似意匠の特徴をなすことは明白で、また意匠としての最も良く見える部分をなすこととも相俟って、類否判断上、最も大きなウエイトをおくべき要部であると考えられる。
一方、相違点を除く基本形状は、ラベル挿入用又はラベル貼着用平坦面の基調・背景をなす地模様として、本意匠の出願日前からありふれた公知意匠であるに過ぎず、類否判断上大きなウエイトをおくことはできない。
従って、主たる需要者・消費者である一般家庭の女性が観察した場合、相紛れるおそれはないと考えられ、本件類似意匠は自己の登録意匠(本意匠)に類似しない。
それにも拘わらず、本件類似意匠を自己の登録意匠(本意匠)に類似する意匠であるとみなされるならば、本件類似意匠は、甲第1号証の添付写真に示されている、その出願日に先行する他人の公知意匠に類似することが明白で、その登録を意匠法第48条第1項第1号の規定に基いて無効とすべきである。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、概略以下のように主張し、立証として、乙第1号証、乙第2号証、乙第3号証の1及び2を提出した。
請求人の主張は、本件類似意匠の登録自体を論難するものであり、甲第1号証、及び甲第1号証の2に関する主張を除いては、その全てが、被請求人の出願に係る刊行物を対象とした、根拠のない独自の見解に過ぎない。
唯一の証拠となるべき甲第1号証、及び甲第1号証の2に記載の事項は、実質的に有り得ない事項の証明であって明らかな錯誤によるものと思われる。
即ち、乙第2号証の金型製作図面は、本件登録意匠の出願直前のものであり、乙第2号証の金型製作図面も、この図面に基づいて製作された金型も、甲第1号証、及び甲第1号証の証明書にみられる平成8年1月頃には存在しなかったものである。この当時に製造されていたものは、乙第3号証の金型製作図面に基づいて製作された容器であり、この容器は、甲第1号証、及び甲第1号証の2に添付されている写真の容器ではない。甲第1号証又は甲第1号証の2とこれに依拠した請求人の主張は、明らかに錯誤に因る証拠と主張である。
第3.当審の判断
1.本件類似意匠(登録第1046602号の類似第3号意匠)
本件類似意匠は、平成9年11月6日に意匠登録出願があり、平成11年5月28日に、同日付で出願された意願平9-74215号意匠(登録第1046602号意匠)を本意匠とする類似意匠の意匠登録がなされたものであり、意匠に係る物品を、「包装用容器」とし、その形態は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第一参照)。

2.本件類似意匠の本意匠(登録第1046602号意匠)
請求人が、本件類似意匠が類似しないとするその本意匠(以下、「本件本意匠」とする。)は、本件類似意匠の出願と同日の、平成9年11月6日に意匠登録出願(意願平9-74215号)があり、平成11年5月21日に意匠権の設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、その形態は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第二参照)。

3.本件類似意匠と本件本意匠との類否について
本件類似意匠と本件本意匠とを対比するに、両意匠は意匠に係る物品が一致し、その形態について、以下の共通点と差異点が認められる。
まず、共通点として、全体の基本的な構成について、(1)横長方形板状の全面に、凹陥状の卵収容部を縦横に配列した2枚の皿状体を内向きに重ね合わせ、皿体、及び蓋体とし、その後端辺を連接して開閉自在とした、全体が透明材からなる薄板一体状のものである点、各部の具体的な構成態様について、まず皿体につき、(2)四周に幅狭の鍔部を形成して、その内側を縦横の仕切壁で格子状に区画して、前後に2列、左右に数個の、同形の下窄まり状の凹陥部(卵収容部)を形成したものである点、(3)各凹陥部の間の仕切壁は、高さが皿体の高さの略半分の幅狭等幅状のもので、この仕切壁が交わる部分、即ち、皿体の横中央の数カ所に、凹陥部の壁面を上方に延ばす態様で、角錐台状の支柱が形成されたものである点、(4)各凹陥部は、上面視が隅切正四角形状で、外膨らみ状を呈して下方に略錐台状に窄まり、底面を、上面視が斜正方形状に閉じたもので、斜め方向の四方の壁面に3本のリブを密な平行状に配し、残る前後左右の壁面には縦方向に適宜リブを配し、底面に十字状のリブを配したものである点、(5)各仕切壁は、上面に2カ所の山形突起を表し、仕切壁が交わる部分に形成された角錐台状の支柱は、頂面を斜正方形状としており、これに円形の嵌合凹部を配している点、(6)短手方向の一方の壁面に、横長矩形状の平坦面を設けている点、一方蓋体については、(7)四周に幅狭の鍔部を形成して、その内側を仕切壁で前後に区画して、そのうちの一列については、左右に数個の同形の下窄まり状の凹陥部を形成し、他の一列については、蓋体の上面の、長手方向の壁面に沿う位置に、横に長く、略帯状の平坦な面を設けて、併せてこれに沿った蓋体壁面を傾斜面状として、ラベルを貼着したり挿入したりする面(以下、「ラベル貼着面」とする。)としたものである点、(8)ラベル貼着面を形成していない列については、各凹陥部、及び仕切壁の面取り、及びリブの配置について、皿体のそれと略同様のものとしている点、即ち、各凹陥部は、上面視が隅切正四角形状で、外膨らみ状を呈して略錐台状に窄まり、先端の蓋体頂面に当たる部分を、上面視斜正方形状に閉じたものとし、なおこの頂面はリブを配さず平坦面状としている点、斜め方向の四方の壁面に3本のリブを密な平行状に配し、残る前後左右の壁面には縦方向に適宜リブを配したものである点、各凹陥部の間の仕切壁、及び蓋体の前後を区画する横中央の仕切壁は、高さが蓋体の高さの略半分の幅狭等幅状のもので、この横中央の仕切壁と縦方向の仕切壁が交わる部分に、略錐台状の支柱を形成し、その先端に嵌合凸部を配している点、各仕切壁の上面に2カ所の山形突起を表している点、(9)ラベル貼着面を形成した列について、ラベル貼着面は、蓋体の両側面は残して、横幅(長手方向幅)の幅中心から左右対称状に、卵収容部3つないし4つ分に相当する長さを占めるのものとして表し、その余の部分については、皿体、及び蓋体の各凹陥部の面取り、リブの配置をほぼそのまま残す態様として表している点、が共通する。
一方両意匠は、差異点として、(イ)凹陥部(卵収容部)の数について、本件類似意匠は、横に5つで、計10個の卵を収容するものであるのに対し、本件本意匠は、横に4つで、計8個の卵を収容するものである点、(ロ)蓋体のラベル貼着面について、本件類似意匠は、蓋体の連接されている壁面側に、左右両側に収容部を1つずつ残してその内側の3つの収容部の頂面について、その頂面全幅を横に繋ぐ態様で帯状に表し、従って、帯状の内寄り(横中央寄り)の端縁、及び左右両端縁が直線状で、これに沿った横中央の中二つの支柱を半裁角柱状(三角柱状)として、その間を傾斜状に表し、ラベル貼着面の上面全体を平坦面状としているのに対し、本件本意匠は、蓋体の連接されていない壁面側に、左右両側に収容部の片半分のみを残して、4つの頂面の間を、頂面の前後幅の半幅の位置で横に繋ぐ態様で略帯状に表し、従って、略帯状の内寄りの端縁、及び左右両端縁から外に、頂面の輪郭が突出状に表され、そして上面において頂面の輪郭が斜正方形状に縁取られ、横中央の仕切壁との間については、収容部の面取り、リブの配置がそのまま残る態様として表している点、(ハ)周壁の傾斜面について、本件類似意匠は、6本の細い縦リブが略等間隔に配されているのに対し、本件本意匠は、台形状、及び逆台形状の面を、僅かな傾斜差で交互に表わして、そのうちの台形状の面に、各々2本の縦リブが配されている点、(ニ)各凹陥部のリブの配置について、本件類似意匠は、斜め方向のものについて、3本のうち両脇のものが短く、縦方向(前後左右の方向)のものについて、皿体及び蓋体の外周沿いの部分において、鍔部直下から下向きに各2本、底面(頂面)から上向きに各1本のリブが配されているのに対し、本件本意匠は、斜め方向のものが3本同長で、縦方向のものについては縦中央に1本のリブが配されており、更に本件類似意匠は、皿体及び蓋体の内寄りの部分に、左右方向のリブを欠いている点、に主として差異が認められる。
そこで上記の共通点と差異点について検討するに、両意匠の共通点について、(1)の点は、両意匠の全体の骨格、及びその基本的な構成態様を表すところであり、(2)ないし(6)の点は、皿体の全体の構成、及び各凹陥部、仕切壁、支柱の構成、それらの面取りの態様、リブの態様を具体的に表すところであり、(7)ないし(9)の点は、蓋体の全体の構成、及びラベル貼着面を除く各凹陥部、仕切壁の構成、及びそれらの面取りの態様、リブの態様を具体的に表すところであって、これらが相俟ったところは、形態全体の骨格、及びその基本的な構成態様を表すと共に、形態全体の中で、大きな部分を占めるところの態様をよく表すものであって、全体の基調を形成するところに強く係わっている。そして、(7)及び(9)の点のうち、ラベル貼着面について、蓋体上面の一方の壁面に沿わせて、蓋体横幅の幅中心から左右対称状に、卵収容部の3つないし4つ分に相当する長さで、頂面を横に繋ぐ態様で、横に長く、略帯状に平坦な面を設け、併せて、これに沿った蓋体壁面を傾斜面状としてラベル貼着面を形成したという点は、前記の全体に亘る骨格的な構成態様、及び皿体、蓋体についての、各凹陥部、仕切壁、支柱の構成、それらの面取りの態様、リブの態様と組み合わされ、一体化して、全体の基調を形成している。そして、この組み合わされ、一体化した点は、両意匠を新規なものに特徴付けている点であり、そして、この組み合わされ、一体化した全体の基調は、本件本意匠の出願前には認められない、本件本意匠の新規な特徴を表すところであって、この点を本件類似意匠も具有するものである。(なお請求人は、甲第1号証に添付の写真のものが、出願前に被請求人により販売され、既に公知であった、とするが、後述のとおり、その事実を確認することが出来ない。)従って、これら共通点は、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものと認められる。
一方差異点について、(イ)の点については、凹陥部の数が、横に4つか5つかで異なるとしても、この種の物品においては極く普通になされる区画数の変更の範囲に止まり、また全体の構成を大きく変更するまでには至っておらず、類否判断に及ぼす影響は微弱である。(ロ)の点について、まず、ラベル貼着面の位置が連接部側か否か、の点については、この種の物品が閉蓋されて使用されることを考慮すると、類否判断に及ぼす影響を大きいものとすることができない。そしてその余の差異については、確かに、ラベル貼着面のみに着目して対比すると、その略帯状の繋がれた領域、周囲の輪郭、また横中央の仕切壁との間の形態処理、等に差異が認められる。しかしながら、その差は主として、略帯状を、蓋体頂面に対し、頂面の全幅(前後左右)を含む位置で繋いだか、稍浅い中間位置に止めたか、の差異に因るもので、蓋体全体としてみればその幅差にはさほど大きな差はなく、また本件本意匠は、稍浅い中間位置で繋いでいるため、収容部の頂面の輪郭が略帯状の周囲にそのまま表されているのに対し、本件類似意匠は、頂面の全幅を含む位置で繋いでいるため帯状の3方が直線状に表されているが、この点のみに、両意匠の特徴がとりわけ強く認められるものでなく、全体の骨格を(1)とし、各凹陥部の構成、面取りの態様、リブの態様を(2)ないし(9)とする全体の態様の中で、蓋体上面の一方の壁面に沿う位置に、卵収容部の3つないし4つに相当する長さで頂面を横に繋いで、横に長く、略帯状に平坦な面を設けて一体化した、という形態の全体に両意匠の特徴が認められるものであって、この共通性に比べれば、類否判断に及ぼす影響は弱く、共通する構成態様の中での部分的な変更に止まるというべきで、また本件類似意匠は、ラベル貼着面の両側に収容部を1つづつ残すものであるが、本件本意匠についても、ラベル貼着面の左右両端縁から外に、頂面の輪郭が突出状に表されており、両意匠について、両側面を含む蓋体の両端寄りの態様は、収容部の面取り、リブ等の配置等を同じくするものであることを考慮すると、差異として働く効果は弱い。そして、上面における斜正方形状の縁取りの有無も、両意匠を別異のものに特徴付けるほどの差異とはいえず、(ロ)についてのいずれの差異も、両意匠の全体に及ぼすところを形成し、本件本意匠を新規なものに特徴付けている全体の基調を覆して、本件類似意匠を本件本意匠とは別異のものとするまでの差異とはいえない。(ハ)の点については、本件本意匠の台形状、及び逆台形状の傾斜差もさほど大きいものでなく、傾斜面に縦リブが規則的に配されている点では共通しており、全体としては、該部をおおよそ平坦な傾斜面状としたという共通点の中での小さな差異に止まる。(ニ)の点については、限られた部分にみられる差異であって、いずれも全体としての基調を崩すまでのものとはいえない。そしてこれらの差異を総合し、相俟った効果を考慮しても、全体の基調を覆すまでのものとは認められず、両意匠は、全体として類似するといわざるを得ない。
請求人は、本件類似意匠が本件本意匠に類似しない理由として、甲第2号証(特開平9-272578号公報)、及び甲第3号証(特開平9-272579号公報)を提出し、ラベル貼着面を除く各凹陥部、及び仕切壁の面取りの構成、リブの態様については、本件類似意匠の出願前に公知であって、類否判断上大きく評価されるべきでない旨を主張する。
確かに、個々の各凹陥部の構成、面取りの態様、リブの配置、これらを区画する仕切壁の構成、とりわけ、皿体全体をこれらの構成態様からなるものとしたものは、本件本意匠、及び本件類似意匠の出願前にも認められる。しかしながら、両意匠において、ラベル貼着面を除く各凹陥部、及び仕切壁の構成、面取りの態様、リブの態様についての共通するところは、形態全体の中で大きな部分を占めて全体の基調を形成するところに大きく係わっており、その共通性を、類否判断において軽視することは出来ない。
また請求人は、甲第4号証の1〜4(意匠登録第949702号及びその類似1〜3号公報)、甲第5号証(意匠登録第966775号公報)、及び甲第6号証の1、及び2(意匠登録第845416号、及びその類似第1号公報)を提出し、蓋体にラベル貼着面をL字型の平坦面に造形するモチーフは、本件類似意匠の出願日前に周知としてありふれていた、と主張し、またこれら各号証の類否判断に照らすと、本件類似意匠は本件本意匠に類似しないとされるべき、と主張する。
確かに、甲第4号証の1〜4、及び甲第5号証によれば、本件本意匠、及び本件類似意匠のものと同様に、蓋体に沿って、横に長く略帯状にラベル貼着面を形成したものが、本件本意匠の出願前に登録されていることが認められる(なお、本件本意匠、及び本件類似意匠は共に、出願当初、甲第4号証の1を本意匠とする類似意匠として出願されていたものである)。しかしながら、類似意匠登録出願に係る意匠が新規なものである場合(本意匠を除いて)、類似意匠として登録されるか、或いは独立した意匠として登録されるかは、両意匠の形態を全体として観察して類否判断がなされるべきで、特定部分のみに着目して対比されるべきではない。そして甲第4号証の1〜4、及び甲第5号証については、各収容部の面取りの構成、リブの態様等を本件類似意匠とは異にするものであり、そして当審の調査によれば、この種の物品において、蓋体の一方の壁面沿いの上面に、横に長くラベル貼着面を形成したものの登録事例を他に認めることができず、またこのような形態処理が本件本意匠、及び本件類似意匠の出願前に周知としてありふれていた事実も認めることができず、甲第4号証の1〜4、及び甲第5号証が本件類似意匠の出願前に登録され、公開されていたとしても、これを理由として、両意匠を別異にものとすることはできない。また、甲第4号証の1と甲第5号証が別異のものとして登録されているとしても、両意匠とは全体の基調を異にするものについての事例であり、本件類似意匠と本件本意匠の類否判断の前提とすることはできない。
また甲第6号証の1、及び2については、両意匠とは上面の平坦面の位置を異にするものについての事例であり、本件類似意匠が本件本意匠に類似するとする前記類否判断を覆すものではない。
なお、請求人は、仮に本件類似意匠が本件本意匠に類似する意匠であるとみなされるならば、本件類似意匠の出願前に、類似する意匠が公開されており、本件類似意匠は、自己の登録意匠にのみ類似する意匠とはいえない、と主張し、甲第1号証、及び甲第1号証の2を提出する。
甲第1号証、及び甲第1号証の2は、本件本意匠の出願前の平成8年1月から平成9年10月までの間に、株式会社千代ポートリーが、ダイヤフーズ株式会社(本件被請求人関連会社)から、添付の写真が示す鶏卵包装用容器を、105,000個仕入れ、鶏卵を詰めて販売した、とする株式会社千代ポートリーによる証明書であるが、当審では、添付の写真が示す鶏卵包装用容器について、件外審判第2000-35434号事件(本件本意匠の第1046602号意匠登録無効審判事件)において、請求人に対し、「甲第1号証、及び甲第1号証の2に添付の写真(本件甲第1号証、及び甲第1号証の2に添付の写真に対応する)が示す容器が、平成8年1月から平成9年10月までの間に、実際に注文されたり、仕入れられたりしたことを、具体的な根拠(例えば、容器の品番、品名等が記載された注文書、納品書、等)により示して下さい。」との審尋書(平成13年4月24日付)を、送付したが、これに対する回答はなされなかった。そして、甲第1号証、及び甲第1号証については、記載された時期に、添付の写真が示す容器が、実際に仕入れられ、販売された事実を、例えば品番、品名等が記された具体的な証拠等により推認することができず、添付の写真が示す容器が、該当する時期に、実際に仕入れられ、販売された事実を確認することができない。従って、本件類似意匠がその出願日前に公然知られていた意匠に類似する、との請求人の主張は採用することができない。
以上のとおりであって、本件類似意匠が、その本意匠に類似しない旨の請求人の主張、及び仮に類似するとすると出願前に公然知られた意匠に類似する、旨の請求人の主張については、いずれも、請求人の主張、及び提出した証拠によっては、これを認めることができず、従って、本件類似意匠について、その登録を、意匠法第10条第1項の規定に該当しないことを理由として無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2001-10-30 
結審通知日 2001-11-05 
審決日 2001-12-19 
出願番号 意願平9-74218 
審決分類 D 1 11・ 3- Y (F4)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 太一 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 西本 幸男
市村 節子
登録日 1999-05-28 
登録番号 意匠登録第1046602号の類似意匠登録第3号(D1046602/3) 
代理人 山下 賢二 
代理人 佐當 彌太郎 

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