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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 H4
管理番号 1062978 
審判番号 不服2001-1733
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-08 
確定日 2002-07-30 
意匠に係る物品 デジタルオーディオディスクプレーヤ及びラジオチューナ付きテープレコーダー 
事件の表示 平成11年意匠登録願第 10487号「デジタルオーディオディスクプレーヤ及びラジオチューナ付きテープレコーダー」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願意匠は、平成11年4月24日の意匠登録出願に係り、その意匠に係る物品が「デジタルオーディオディスクプレーヤ及びラジオチューナ付きテープレコーダー」、意匠に係る形態が願書の記載及び添付図面代用写真に示されるとおりのものである。(別紙第一参照)
これに対して、本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本願の出願の日前の平成10年12月7日に出願のあった登録第1072577号意匠であり、意匠に係る物品が「デジタルオーディオディスクプレーヤ及びラジオチューナー付きテープレコーダー」、意匠に係る形態が願書の記載及び添付図面に示されたとおりのものである。(別紙第二参照)
本願意匠と引用意匠を比較すると、両意匠は、実質同一の物品と認められ、その形態について、主として以下の共通点と差異点があるものと認められる。
即ち、先ず共通点について摘示すると、(1)全体が、略縦長直方体状の筐体の上面にディスク挿入部を設け、その上に上後方に開く方形状のディスク蓋を被せ、筐体の正面側について、上中下3段の区画部に分け、さらに上中段区画部を全高に掛けて、左右側の細幅で等幅の区画部と中央の広幅の区画部に分け、中央の広幅区画部に対して細幅区画部を僅かに段落ち状として後方に下がる態様としており、上段中央区画部につき上端寄りに大きな横長方形状の表示部を設け、その内側の左右中央に横長方形状の窓部を設け、表示部の下側余地部の中央に大きな円形ダイヤルを取り付け、円形ダイヤルの左右に数個の略方形状の操作ボタンを取り付け、上段の左右の細幅区画部に縦一列に小ボタンを配設しており、中段区画部につき全体を前下方に向かって開くテープ蓋部とし、テープ蓋部の左右中央上方寄り部位に横長方形状の窓部を設けた基本的な構成態様のものである点、各部の具体的な態様において、(2)上下の窓部が透明である点、が認められる。
次いで差異点について、全体の基本的な構成態様において、
(イ)正面下段区画部について、本願意匠は、その正面が前下がり斜面状で、左右中央部に同形の方形操作ノブ数個が並列して取り付けられているのに対して、引用意匠は、垂直壁状で、操作ノブが取り付けられていない点、各部の具体的な態様において、
(ロ)筐体の正面パネルについて、本願意匠は、上段及び中段の区画部が中央区画も左右の細幅区画部も膨出弧面状であり、左右端の上下にわたって帯状の細幅凹曲削ぎ面が設けられているのに対して、引用意匠は、上中下段共に中央区画部が垂直平坦面状で、左右の区画部が正面に対して斜め後方に延びる垂直平坦面状であり、左右端に削ぎ面が設けられていない点、
(ハ)筐体について、引用意匠の方が本願意匠より奥行きが深く、上端部の後端部分について、引用意匠は、段落ち斜面状とし、その斜面上に平行筋状透孔が設けられているのに対し、本願意匠は、段落ち斜面も透孔も存しない点、
(ニ)ディスク蓋について、本願意匠は、透明な蓋の上面後方に、蓋より一回り小さい不透明の正方形板が重ねられ、正方形板の周部に余地を残して平行横筋模様が現されているのに対して、引用意匠は、前端寄りの小方形窓を除いて全体が不透明で、前端寄りに略半円弧状の段差が現れ、蓋部の右前端部分が切り欠かれて小方形状の蓋開閉ボタンとなっている点、
(ホ)表示部について、本願意匠は、中央区画部において表示部の左右及び上に余地部を残して配置されているのに対して、引用意匠は、表示部の左右及び上に余地を残さず、中央区画部の左右端及び上端に接して配置されている点、
(へ)表示部の下側の円形ダイヤルにつき、本願意匠は、略平板状であるのに対して引用意匠は、円柱状である点、
(ト)表示部下部の操作ボタンについて、本願意匠は、上端寄り左右対称部位に横長方形状の小さなボタンを配置し、ダイヤルに接して左右に各2個横長方形状の大きなボタンを上下に重ねて配置し、ダイヤルの円周に接することによりその部分が弧状に切り欠かれているのに対して、引用意匠は、ダイヤルの左右にダイヤルと間隔を置いて、左右同形各4個の小横長方形状ボタンを上下に重ねた態様である点、
(チ)上段の左右の細幅区画部において、本願意匠は、殆どが横長方形状のボタンが配設されているにに対して、引用意匠は、殆どが小円形状のボタンが配設されている点、
(リ)上段と中段の境界について、引用意匠は、本体部側面にもその境界溝が現れているのに対して、本願意匠は境界溝が存しない点、
(ヌ)中段区画部の窓部について、本願意匠は、中央区画部の左右側及び上側に余地部を設けているのに対して、引用意匠は、中央区画部の上端及び左右端に接しており余地がない点、
(ル)引用意匠は、下段区画部の左右端寄りに小孔が設けられているのに対して、本願意匠にはこれが存しない点、が認められる。
そこで、上記の共通点と差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
先ず共通点について、(1)及び(2)の点は、全体の基本的な構成態様及び目に付く小さくない部分の態様に係る点であって、両意匠の類否に影響を及ぼすことは、明らかであるが、この態様は、本願の出願前において既に近似のものが多数公知となっており、さほど重視することができない態様であり、その影響は、稍大きい程度に止まるものである。
次いで、差異点について、(イ)の点は、明らかな基本的構成態様の差異であり、視覚的に強く差異感を感得させるものであり、その影響はかなり大きいものである。
(ロ)の点は、正面全体に係る差異であって、本願意匠が丸み感を強く伝えるのに対して引用意匠は直線的印象を強く伝えるものであり、その差異感は強く、類否に及ぼす影響は、かなり大きいものである。
(ハ)の点は、かなり大きな部分の態様の大きな差異ではあるが、比較的注視されない部位であることを考慮すると、その影響は、稍大きい程度のものである。(ニ)の点は、注視されるかなり大きな部分の態様の差異であって、本願意匠のその態様もかなり特徴のある態様であり、その影響は、かなり大きいものである。(ホ)及び(ヌ)の点は、本願意匠においては、上中段の区画部の周辺際に細幅余白部が全体に巡っている印象をもたらしているのに対して、引用意匠はそのような印象が生じない点においてかなりの差異感をもたらしており、その影響は、稍大きいものである。
(ヘ)の点は、さほど強い差異ではなく、その影響は、軽微に止まるものである。(ト)の点は、注視される正面中央部のかなり大きな面積を占める部分の差異であり、且つ本願意匠の大きな特徴点であって、強い差異感をもたらしており、その影響は、かなり大きいものである。
(チ)の点は、共に特徴のない一般的なボタンであって、大きな差異感をもたらすものではなく、その影響は、軽微である。
(リ)の点は、さほど注視されない側面における単純な一本の溝の有無に過ぎず、その影響は、軽微である。
(ル)の点は、微細部分の差異であって、その影響は、軽微である。
そうすると、上記の差異点は、軽微な差異もあるものの(イ)乃至(ホ)、(ト)及び(ヌ)が合わさって及ぼす影響が大きく、全体として両意匠の類否に及ぼす影響は、かなり大きいものと評価されるものである。
以上のとおりであって、差異点の及ぼす影響が共通点の及ぼす影響を凌駕する両意匠は、結局、類似しないものという他はない。
従って、本願意匠は、原審の引用意匠を以て意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係るものに該当しないものとすることはできない。
また、他に本願意匠の登録をを拒絶すべき理由は発見されない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2002-07-15 
出願番号 意願平11-10487 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (H4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 本田 憲一 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 鍋田 和宣
伊勢 孝俊
登録日 2002-08-23 
登録番号 意匠登録第1155537号(D1155537) 
代理人 芝野 正雅 
代理人 芝野 正雅 

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