• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D4
管理番号 1062993 
審判番号 不服2000-10966
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-06-12 
確定日 2002-08-07 
意匠に係る物品 空気清浄機 
事件の表示 平成11年意匠登録願第 2187号「空気清浄機」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成11年1月29日の出願(差出平成11年1月30日)であり、その意匠は、意匠に係る物品を「空気清浄機」とし、形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。(別紙第1参照)
すなわち、空気清浄機全体は、略横長直方函体とする本体部の上方に、本体部よりやや拡幅して略長方形板状に形成した天板を載せて、略テーブル状に形成した上面中央の、天板の縦幅3分の1、横幅2分の1の範囲に煙吸い込み口部分(以下、「煙吸込み口部」という。)を載置したものであり、意匠登録を受けようとする部分は、実線で表した、「煙吸込み口部」である。

2.引用意匠
これに対して、原審の拒絶理由において、本願意匠に類似するとして引用した意匠は、本願の出願前、特許庁総合情報館所蔵(現在特許庁所蔵、受入平成10年7月10日)の株式会社ライオン事務器発行の内国カタログ「LION 1998」第505頁所載の「テーブル付エアークリーナー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC10015715号)における、本願の意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(以下、「煙吸込み口部」という。)と認められ、その形態は同カタログに記載されたとおりである(別紙第2参照)。

3.両意匠の対比
本願意匠と引用意匠とを対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、そして、共に空気清浄機における煙吸込み口部を対象とし、煙吸込み口部については、当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲が共通し、また、同一の機能及び使用目的を有するものであり、その形態につき、以下に示す共通点と差異点が認められる。
<共通点>
煙吸込み口部について、下段から上段に向けて漸次ひと回り縦横幅を縮幅した横長長方形枠状の積層板数枚を、全体が略横長四角錐台状になるように上下等間隔に積層した基本的構成態様としている点。
<差異点>
(イ)煙吸込み口部の頂部について、本願意匠は、水平板状としているのに対して、引用意匠は、煙吸込み口部高さの略3分の1の高さを有するなだらかな略寄せ棟状としている点。
(ロ)最下段の積層板の厚みについて、本願意匠は、他の積層板よりやや厚みのあるものとしているのに対し、引用意匠は、他の積層板と同厚のものとしている点。

4.類否判断
そこで、上記の共通点及び差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響について検討する。
まず、共通点について、煙吸込み口について、積層板を積層した態様に表すことは、この種物品分野において、本願の出願前に既に行われているところであって(例えば、意匠登録第975451号公報の煙吸込み口部分等)、特徴といえないが、横長長方形枠状の積層板数枚を、全体が略横長四角錐台状になるように、上下等間隔に積層した態様のものは、この種物品分野において、本願の出願前には存在せず、そうすると、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、大きいものということができる。
一方、差異点について、(イ)の点については、煙吸い込み口部の頂部に係る差異であって、看者が最も注意を惹く部分であり、引用意匠の略寄せ棟状とした頂部は、煙吸込み口部高さの略3分の1の高さと、煙吸込み口部全体に対して大きな割合を占めることも考慮すると、頂部が水平板状であるか略寄せ棟状かという差異は、看者に両意匠を全く別異の印象を与えるものであり、この差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は、極めて大きいというべきである。
(ロ)の点については、通常の使用時において、看者の目を惹かない場所に係る差異であること、最下段の積層板の厚みは両意匠のものとも、通常考えられる選択肢の中に収斂される程度のものであることを考慮すると、この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであるといえる。
以上のとおりであって、差異点(ロ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものであるとしても、差異点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいものであるため、差異点(イ)及び(ロ)が相俟って、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、両意匠の類否を決する程度のものといえる。一方、形態についての共通点は、両意匠の類否の判断に大きな影響を及ぼすものであるとしても、差異点の類否判断に及ぼす影響が共通点の類否判断に及ぼす影響を凌駕しているというべきであって、結局、両意匠は全体として類似するものということはできない。

5.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶すべきものとした原査定は、当を得ないものであり、取消を免れ得ない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2002-07-17 
出願番号 意願平11-2187 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 並木 文子 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 伊藤 晴子
木村 恭子
登録日 2002-08-23 
登録番号 意匠登録第1155508号(D1155508) 
代理人 西村 征生 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ