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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1066139 
審判番号 不服2001-17899
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-10-05 
確定日 2002-10-09 
意匠に係る物品 トラック 
事件の表示 平成11年意匠登録願第14608号「トラック」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1.本願意匠
本願は、平成11年(1999)6月7日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「トラック」とし、形態は、願書の記載及び願書に添付された図面の記載のとおりとしたものである(本件審決書に添付の別紙第1参照)。
第2.引用意匠
原審において、拒絶の理由として引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁総合情報館所蔵(受入1995年9月29日)のカタログ、「ISUZU ELF 平ボディNKR(電波新聞1995,4,25 P2)」1995年3月31日号第44頁に所載の、写真版によって現されたトラックの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HN07025152号)であって、形態は、同写真版により現されたとおりとしたものである(本件審決書に添付の別紙第2参照)。
第3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については、以下に示す共通点及び差異点がある。
すなわち、両意匠は、全体の基本的構成態様について、略矩形箱体状のキャブの前面上方から下方へ順に、略横長矩形状に形成した前面窓部とフロントパネル部とフロントバンパー部を設け、キャブの左右側面の略全面に、上方を側面窓とする略縦長矩形状のドアを設け、キャブ後方に、偏平な枠体状の荷台部を設けてなる、所謂キャブオーバー型トラックと称されるものとした点が共通し、各部の具体的態様について、(1)キャブ前面下方の対向する両側に、前方視略台形の上縁を傾斜状に形成したヘッドライト部を設けた点、(2)側面窓は、ドア上方の略一杯に設けてその下縁前部を下方へ突出状としている点、(3)荷台部は、横長矩形板状の煽り板を三方開き状に設けたものとした点が共通する。
一方、各部の具体的態様において、(1)フロントバンパー部の態様について、本願意匠は、横に長い帯状板体に形成してその上縁中央を、ヘッドライト部内側の上下方向の下方寄りの位置まで、上方へ突出した隆起状に形成し、その前面中央に、全幅の1/3程の幅狭で高めの略逆台形状の開口部を設けているのに対し、引用意匠は、横に長い帯状板体に形成し、その前面中央に、全幅の1/2程の幅広で低めの略逆台形状の開口部を設けている点、(2)フロントパネル部の態様について、本願意匠は、横長矩形状に形成してその下縁を、ヘッドライト部内側の上下方向の略中央の位置まで、下方へ突出した垂下状に形成し、その垂下状下縁部の中央に、偏平な略逆台形枠状に形成したフロントグリルを設けているのに対し、引用意匠は、ヘッドライト部略上縁の位置まで、略横長矩形状に形成し、その下方のヘッドライト部の内側の上下略一杯に、略逆台形枠状に形成したフロントグリルを設け、そのフロントグリルの上下の略中央に、横桟を1本設けている点、(3)側面窓下縁前部の突出部の態様について、本願意匠は、下方へ略直角状に屈折して突出しているのに対し、引用意匠は、斜め下方へ傾斜状に屈折して突出している点に差異がある。
第4.両意匠の検討
両意匠の共通点及び差異点を総合して、両意匠を全体として検討する。
先ず、両意匠に共通するとした全体の基本的構成態様については、形態全体の基調を表象するものであるが、従来より既に一般化している構成態様にすぎず、また、両意匠に共通するとした各部の具体的態様の(1)ないし(3)の点は、本願意匠の出願前、この種物品の属する分野において、他にも見受けられる極普通の態様であり、格別看者の注意を引くものとはいい難いから、ともに類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎず、さらに、それらの共通点を纏めても、特徴的な態様を表すとはいい難いものであって、類否判断に及ぼす影響がなお微弱の域を超えないといわざるを得ない。
次に、差異点とした各部の具体的態様のうち、本願意匠の(1)のフロントバンパー部の態様及び(2)のフロントパネル部の態様については、本願意匠の出願前、この種物品の属する分野において、他には見受けられない特徴的な態様であり、看者の注意を際立って引くものといい得るから、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
(3)の側面窓下縁前部の突出部の態様については、本願意匠の態様も、他にも見受けられるものであり、格別看者の注意を引くものとはいい難いから、類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎないというほかない。
そうすると、前記の(1)及び(2)の差異点は、車体の前面という、この種物品の一際目立つ部分における差異であり、それらの差異は(3)の差異点と相俟って、本願意匠独自の特徴的な態様を表すものであり、両意匠の醸し出す形態全体の印象を異にする、著しい差異感を奏するものであるから、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
したがって、本願意匠は、引用意匠と意匠に係る物品は共通するが、形態において、前記の差異点は、両意匠に著しい差異感を生じて類否判断を左右するという外ないから、両意匠は意匠全体として観察すると、類似する意匠とはいえない。
第5.むすび
本願は、原査定の拒絶理由によっては、拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2002-09-27 
出願番号 意願平11-14608 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関口 剛前畑 さおり 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 伊藤 栄子
伊勢 孝俊
登録日 2002-10-25 
登録番号 意匠登録第1160629号(D1160629) 
代理人 高橋 敏邦 
代理人 高橋 敏忠 

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