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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属する(申立成立) F3 |
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管理番号 | 1066155 |
判定請求番号 | 判定2002-60041 |
総通号数 | 35 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2002-11-29 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2002-04-11 |
確定日 | 2002-09-17 |
意匠に係る物品 | 見出し付仕切りカ―ド |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第942888号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「見出し付仕切り」の意匠は、登録第942888号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。 |
理由 |
第1.請求人の申立て及び理由 請求人は、(イ)号図面に示す「見出し付仕切り」の意匠(以下、「イ号意匠」という)は、登録第942888号意匠(以下「本件登録意匠」という)及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める、と申し立て、その理由を要旨以下のとおり主張した。 本件登録意匠とイ号意匠は、仕切り本体と、その上辺に沿って形成された袋部と、脚片をこの袋部に挿入保持される見出しとより構成されるという共通の基本構造を有し、且つ、重合状態の多数の書類などの間に挿入などして位置させてこれらを仕切りし、その上辺の見出しに当該仕切りの内容を表示するなどの共通の用に供されるもので、本件登録意匠は、袋部の上辺及びその両端並びに見出しの脚片の上辺部に四角の小輪郭の連続によって形成される点線状の直線模様を具えることをその意匠上の重要ポイントとするものであるところ、イ号意匠においても同様に、袋部の上辺及びその両端並びに見出しの脚片の上辺部に四角の小輪郭の連続によって形成される点線状の直線模様を具え、そしてこの直線模様は、本件登録意匠においても、またイ号意匠においても、他に格別の模様が全く存在しないことにより、これらを看る者に対しその目を強く惹き、強い印象を与えるものであって、当該模様の存在そのものによって全体の意匠をも類似とするものである。 但し、両意匠の構造を詳さに検討すると、袋部が仕切り本体の裏面にのみ存在するものと、表裏両面に存在するもの、また見出しについて、その一方の脚片のみが袋部に挿入保持されているものと、両方の脚片が挿入されているものとに差異があるが、これらは、前記の直線模様との比較において、看る者に与える印象は極めて微弱であり、両意匠の類似性を消去させるようなものではない。 第2.被請求人の答弁 被請求人は、答弁書を提出していない。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成5年7月28日に意匠登録出願をし、平成7年10月6日に意匠権の設定の登録がなされた登録第942888号の意匠であり、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「見出し付仕切りカード」とし、その形態を、別紙第一に示すとおりとするものである。 2.イ号意匠 イ号意匠は、判定請求書の(イ)号図面、及び(イ)号説明書により示されたもので、意匠に係る物品について、見出し付きの仕切りと認められ、その形態は別紙第二に示すとおりのものである。 3.両意匠の対比検討 両意匠を対比するに、両意匠は、意匠に係る物品につき、書類等の間に挿入して使用される見出し付きの仕切り板と認められ、意匠に係る物品が共通し、その形態について、横長方形板状の仕切り板の上部に、小さい横長方形板状の見出し片が、その上半部を上方に突出させた態様で、横にスライドするように填め合わされたものである点で共通し、更に仕切り板は、上辺が折返し状に形成され、その上端縁及び左右両端縁が極小の方形枠を連ねた態様でシールされて下開きの袋状をなすものである点、見出し片は、中央稍上位置が横にシールされて、その下方が前後2枚の脚片からなるもので、この脚片が仕切り板の袋部を前後から跨いで挟み、脚片の下端が袋部の下端開口部に折込まれる態様で係合されたものである点、更には、見出し片のシール部は、極小の方形枠が連なる態様のもので、その上方の横長帯状を呈する見出し部は両端を開口した筒状とするものである点、が共通する。そしてこれら共通点は、全体の基本的な構成態様、及び各部の具体的な態様を端的に表すものであり、相俟って形態全体のまとまりを形成しているから、これら共通点は、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。 一方両意匠は、(1)仕切り板の袋部につき、本件登録意匠は、仕切り板の片面にのみ形成され、これに伴い、脚片下端についても、片方の脚片のみが折込まれ、他方は折込まれていないものであるのに対し、イ号意匠は、袋部が仕切り板の両面に形成され、脚片下端についても両方の脚片が折込まれたものである点、に差異があり、更に(2)シール部に施された極小の方形枠の間隔の粗密、にも差異が認められる。 しかしながら、(1)の点は、形態全体として観察すれば、仕切り板の上辺に沿って、小さい横長方形状の見出し片が、その脚片で仕切り板の上辺を前後から跨いで挟み、上辺に沿ってスライドするように係合されたものである点では共通しており、しかもその手法として、これを仕切り板の上辺に袋部が形成され、この袋部に脚片が係合されてスライドするものとしている点でも共通しており、他に、袋部及び見出し片のシールの部分に極小の方形枠の連なりが配されている点、更には、見出し片自体の縦横比率、またそのシール部による上下の分割比率の共通性が両意匠に共通感を惹起していること、また見出し片の折込み部自体は外観上さほど目立たないこと、等を合わせ考慮すると、袋部が仕切り板の片面に配されたか、両面に配されたかの差が、両意匠の共通性を凌いで両意匠をそれぞれ別異のものに特徴付けるまでには至っていないというべきで、また(2)の点についても、その粗密の差が全体形態に及ぼす影響は弱く、即ち、両意匠の差異は、何れも類否判断に及ぼす影響が微弱で、そうしてそれらが相俟った効果を考慮しても、共通点が形成する全体のまとまりを覆すには至っておらず、また共通点の及ぼす影響を凌いでいるともいえないから、両意匠は意匠全体として類似するものである。 4.結び 以上のとおりであって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2002-09-04 |
出願番号 | 意願平5-23084 |
審決分類 |
D
1
2・
1-
YA
(F3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 遠藤 京子 |
特許庁審判長 |
日比野 香 |
特許庁審判官 |
市村 節子 山崎 裕造 |
登録日 | 1995-10-06 |
登録番号 | 意匠登録第942888号(D942888) |
代理人 | 杉山 泰三 |