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審決分類 審判 無効  意9条先願 無効とする H1
管理番号 1069109 
審判番号 無効2001-35370
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-08-27 
確定日 2002-12-02 
意匠に係る物品 地絡継電器用チェックコネクタ 
事件の表示 上記当事者間の登録第1049797号「地絡継電器用チェックコネクタ」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1049797号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、登録第1049797号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1.意匠登録無効の理由の要点
本件登録意匠は、その出願日前に出願された第1043219号の意匠(以下、「本件先願意匠」という。)と類似するものであり、意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきである。
2.本件意匠登録を無効とすべきである理由
(1)本件登録意匠と本件先願意匠の基本的構成態様は、「嵌合するプラグ部と本体部からなり、嵌合状態においてプラグ部と本体部の嵌合部分を円筒形とし、その両側を円錐台状に構成し、本体部をケーブル側に絞り、ケーブル側の円錐台状部分を先端側の円錐台状部分よりも長く構成した」点で共通する。
なお、上記基本的構成態様と被請求人が主張する両意匠の基本的構成態様との差異は、嵌合部位のリング状部材を含めるか否かであり、その他は表現上の差異にすぎない。
両意匠の具体的構成態様は、嵌合状態においてプラグ部と本体部の長さ比率を約3対4とした点等で共通する。
(2)摘示した先行周辺意匠から明らかな通り、上記基本的構成態様は、従来意匠に見られない新規な構成であり、看者の注意を最も引く部分であり、本件先願意匠の要部である。一方、先行周辺意匠に照らせば、本件登録意匠の要部も、上記基本的構成態様と同様であり、かかる要部に加えられた特徴的な部分は存在しない。
これに対して、被請求人は、両意匠の基本的構成態様に、嵌合部位のリング状部材を含めた上で、先行公知意匠が両意匠の基本的構成態様を開示しており、かかる基本的構成態様は両意匠の要部たりえないと主張するが、両意匠の基本的構成態様を複数の要素に分断し、これらの個別の要素が、多数の先行公知意匠に開示されていることを主張するにすぎない。被請求人は、多数の先行公知意匠を摘示するが、そのいずれも意匠全体として両意匠の基本的構成態様を開示してはいない。
なお、被請求人は、公知意匠に基づきコネクタの分野においては具体的構成態様を意匠の要部として認定すべきであると主張するが、両意匠のように基本的構成態様自体が新規で斬新な意匠については、その主張は成り立たない。
(3)両意匠は、具体的構成態様において、a.本件登録意匠の本体部のケーブル側端部は短円筒形であり、その部分に平行する2本のリブがリング状に表されているのに対し、本件先願意匠のケーブル側端部は円錐台状部分に細長い凹部が2列に設けられている点、b.本体部とプラグ部に対向する矢印の模様が表されている(本件登録意匠)か否かの点、c.本体部とプラグ部の嵌合状態において、プラグ部のリング状部分と本体部との間に溝がある(本件先願意匠)か否かの点、で差異がある。
差異点aについては、いずれもありふれた形状であり、かかる差異は看者の注意を特別強く引くものではなく、部分的な差異にすぎず、本体部をケーブル側に絞りその端部に凹凸があるという両意匠の共通点に包摂されるため、特に意匠的効果をもたらすものとはいえない。差異点bについては、部分的な差異にすぎず、看者の注意を強く引くものではない。差異点cについては、単なる設計上の差異にすぎず、特に意匠的効果をもたらすものとはいえない。
従って、総合的に判断すると、両意匠はその要部において一致し、共通点は差異点を圧倒的に凌駕するものであるから、両意匠は互いに類似する意匠である。
なお、被請求人が特定列挙し強調する差異点1〜4は、本体部とプラグ部との長さ比率における共通点及び円筒形の両端部が円錐台状に窄まっているという共通点に包摂され、格別の意匠的効果をもたらさない。しかも、差異点1における円錐台状部分と小径円筒形部分の比率の差異は、公知意匠8、11、15、19から明らかなように、いずれもありふれた構成であり、単なる設計上の差異に過ぎない。両意匠は要部である基本的構成態様において共通する以上、被請求人の主張する差異点及び差異点から生じる「間延びした印象」と「ずんぐりむっくりした印象」の差異は、両意匠の共通点を凌駕するに至らない。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、要旨以下のとおり主張し、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
(1)本件先願意匠の基本的構成態様は、「互いに嵌合する本体部とプラグ部とからなり、本体部とプラグ部の嵌合状態において、両部の嵌合部位を円筒形としてリング状部材を被覆し、円筒形部材の両側を円錐台状に構成し、且つ本体部側の円錐台状部分をプラグ部側の円錐台状部分より長く構成した形態をなしている」。
この基本的構成態様は、摘示する公知意匠13〜15の基本的構成態様に極めて近似したものといえる。僅かにそれらとの相違が認められる、本件先願意匠の「本体側のみならず、プラグ部側端部も円錐台状に形成されている」構成形態も、公知意匠15〜22において開示されており、特に斬新なものとはいえない。さらに、本件先願意匠の「本体部側の円錐台状部分がプラグ部側の円錐台状部分よりも長く形成されている」構成態様も、公知意匠16において開示されており、本件先願意匠に特有なものとはいえない。
このように、本件先願意匠は、その基本的構成態様の殆どが先行意匠に開示されているという状況の中で、これらとは非類似の意匠とみなされて登録になったものなのである。この事実を踏まえれば、本件先願意匠の基本的構成態様が何ら意匠的要部となり得ないのは明らかといえる。
むしろ、本件先願意匠は、この基本的構成態様を構成する円筒形部分や、円錐台状部分、小径円筒形部分の個別具体的な形態や、長さの比がいかように形成され、組み合わせられているか、という点にまで限定したところにおいて、公知意匠からの差別化がなされているというべきであり、より具体的な構成態様に要部がある意匠だと捉えるべきである。また、この種コネクタの先行公知意匠を対比観察してみると、基本的構成態様に要部はなく、より具体的な構成態様の異同に着目して類否が決せられていることがわかる。
なお、被請求人が行った本件先願意匠の要部認定は、本件先願意匠と公知意匠との全体対比に基づいてなされたものであり、妥当性を有する。
また、左右非対称な公知意匠16、18、20、22の存在から、本件先願意匠のような左右非対称な形態は、この種分野において特に斬新とはいえない。
公知意匠27、28は、公知意匠13等以上に本件先願意匠との共通点が多く、全体観察した場合における基本的構成態様の共通性は一層顕著である。本件先願意匠は、これらの公知意匠の基本的構成態様を踏襲しつつ、部分的に改変をもたらした結果、創作し得たものであり、基本的構成態様においては殆ど創作性が発揮されていない、すなわち要部となり得ないのは明らかである。
(2)本件登録意匠と本件先願意匠は、基本的構成態様において共通する。しかし、これに近似した基本的構成態様を備える公知意匠12〜14が存在している中で、本件先願意匠が登録になったということは、こうした基本的構成態様が類否判断において特に重視されなかった為だと考えることができる。このような登録背景を踏まえれば、両意匠の類否判断においても、当然、両意匠の基本的構成態様が共通する点については、あまり重きを置くべきではなく、類否への影響は微弱であるとみなすべきである。
(3)両意匠は、本体部を構成する円筒形部分:円錐台状部分:小径円筒形部分の長さの比が相違し、本件登録意匠は、本件先願意匠に比して、円錐台状部分はより短く、小径円筒状部分はより長いものとなっている点が相違する(差異点1)。
なお、差異点1に関する本件登録意匠の構成形態は、公知意匠8、11、15、19とは全く異なるものであるから、これを「ありふれた構成」であり、「単なる設計上の差異」であるとする請求人の主張は失当である。
両意匠は、本体側円錐台状部分の表面がフラットかそこに貫通孔が設けられているか(差異点2)、本体側小径円筒形部分の表面がフラットかそこに環状リブが形成されているか(差異点3)の点でも相違する。また、両意匠は、プラグ部を構成する円筒形部分と円錐台状部分の長さの比が相違し、本件登録意匠は、本件先願意匠に比べて、円錐台状部分が短くて目立ちにくくなっている点が相違する(差異点4)。
差異点1並びに差異点4が認められることにより、本件先願意匠が「細長くて間延びした印象」を与えるのに対し、本件登録意匠は「ずんぐりむっくりとした小ぶりな印象」を与え、両意匠は全体としての印象・美感が明確に相違するものとなっている。
また、差異点1〜差異点3を、有機的なまとまりとして捉えた場合、両意匠の本体形状は、大きく異なるものとして把握される。すなわち、本件先願意匠は、本体部が、主として、滑らかなテーパ面によって形成されたものとなっているのに対して、本件登録意匠は、デコボコ感がより強調された形状となっており、本体部全体として観察すると、円錐台状部分のテーパ面の存在は目立たない。
具体的構成態様上の共通点1、共通点3(本体側及びプラグ側の円筒形部分の表裏に平行する短い縦リブが設けられている点)、共通点4(プラグ側円錐台状部分の表面がフラットである点)、並びに共通点5(リング状部分に細かい横リブが設けられている点)は、差異点1や差異点4のように長さのバランスにまで寄与するものではなく、より部分的なものにすぎないので、意匠的効果の微弱な要素であり、また、共通点2(本体部とプラグ部の長さの比が約4:3である点)については、差異点1が外観上はより顕著に表れており、これを凌駕するほどの特徴ではなく、このような共通点はいずれも差異点に埋没してしまうような微弱なものにすぎない。
従って、両意匠の共通点と差異点とを全体的に対比観察した場合、差異点が共通点を遥かに凌駕し、両意匠を明らかに別異にならしめている。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成9年10月8日の意匠登録出願に係り、平成11年6月18日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1049797号意匠であり、願書及び願書に添付の図面の記載によれば、意匠に係る物品を「地絡継電器用チェックコネクタ」とし、その形態を、願書及び願書に添付の図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.本件先願意匠
本件先願意匠は、平成9年6月11日の意匠登録出願に係り、平成11年4月16日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1043219号意匠であり、願書及び願書に添付の図面の記載によれば、意匠に係る物品を「電気コネクタ」とし、その形態を、願書及び願書に添付の図面の記載のとおりとするものである(別紙第2参照)。
3.本件登録意匠と本件先願意匠の対比検討
本件登録意匠と本件先願意匠を対比すると、本件登録意匠の願書の意匠に係る物品の説明の欄において、「高圧開閉器に使用される地絡継電器に装着される…通常時は本件に盲蓋を装着し、通常制御動作(SOG機能)の制御回路を構成する」との記載があり、本件先願意匠の願書の意匠に係る物品の説明の欄において、「配電盤などの電気機器に取り付ける…使用時には…特定のケーブル素線間を導通接続させる」との記載があることから、両意匠は、共に配電盤等に使用され電気的な接続を行うものであり、意匠に係る物品が共通し、形態については、主として以下の共通点及び差異点がある。
先ず、共通点として、(1)全体が、互いに嵌合する本体部とプラグ部から成るものであって、本体部につき、嵌合側は、円柱状部とし、その先端から一回り小径の略円柱状の嵌合部を突設すると共に、ケーブル挿通側においては、円柱状部の後方を漸次窄めて円錐台状部とし、本体部後端を開口してケーブル挿通部とし、その近傍の外周を凹凸面状に形成したものとし、プラグ部につき、嵌合側は、円柱状部とし、その後端から本体部の嵌合部より一回り小径の円筒状の嵌合部を突設し、嵌合部外周に本体部の嵌合部より一回り大径の円筒状の接合リングを装着すると共に、円柱状部先方(嵌合側とは反対側)は、漸次窄めて短い円錐台状部とし、その先端を閉じ面状の頂面として、プラグ部全体を蓋体状のものとし、本体部とプラグ部の嵌合状態においては、本体部の嵌合部内側にプラグ部の嵌合部を挿入し、プラグ部の接合リングを移動して本体部の嵌合部外周に被せた態様で、接合リングを、本体部の円柱状部とプラグ部の円柱状部に挟まれた嵌合部に装着している点、(2)各部の構成比率につき、本体部の円錐台状部はプラグ部の短い円錐台状部より大幅に長くして、本体部がプラグ部より長い全体構成としている点、また、(3)本体部の円柱状部とプラグ部の円柱状部は、同径同長とし、嵌合状態における接合リングを含む嵌合部は本体部の円柱状部より短くし、さらに、本体部後端近傍の凹凸面状部を除いた円錐台状部は本体部の円柱状部と同程度の長さとしている点、その他に、(4)本体部の円柱状部とプラグ部の円柱状部それぞれの外周の正面側と背面側に、やや短い凸状筋を周回り方向に沿って平行に2列設けている点、(5)接合リングの外周には、長手方向に沿った凸状筋を全周に亘り密に設けている点、(6)本体部の円錐台状部とプラグ部の円柱状部それぞれの外周に、小孔を有する小突起片を設けている点、がある。
一方、差異点として、(イ)本体部後端近傍の外周の態様につき、本件登録意匠は、円錐台状部に続けて同部より若干短い円筒状部を形成し、その外周回りに環状の凸状筋を等間隔で数本形成したものとしているのに対して、本件先願意匠は、円錐台状部の略後半部の外周において、周回り方向に沿って断続して凹筋状に表れる貫通孔を等間隔で数列形成し、円錐台状部に続けて極短い円筒状部を形成して、円錐台状部が本体部後端直近まで至るものとし、本件登録意匠よりも本体部全体に占める円錐台状部の長さ割合を大きいものとしている点、(ロ)プラグ部の円柱状部に対する円錐台状部の長さ比率につき、本件登録意匠は本件先願意匠よりも短い比率のものとしている点、(ハ)本体部の円柱状部とプラグ部の円柱状部それぞれの外周に対向する矢印状のものを表している(本件登録意匠)か否かの点、がある。
そこで上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点のうち、(1)及び(2)の点は、本件先願意匠において、形態全体にかかわり、これらの点が相俟って形態全体の骨格を成し、形態全体に一定のまとまりを形成し、ケーブル挿通部を有する本体部と嵌合部に接合リングを有する蓋体状のプラグ部を嵌合して成る形態全体の基調を決定づけており、しかも、これらの点が相俟った態様は、本件先願意匠の出願前には見られないものであり、以上を総合して判断すると、これらの点は、相俟って本件先願意匠の特徴を成すところといえ、そして、これらの点で本件先願意匠と共通する本件登録意匠は、本件先願意匠と基調が共通し、本件先願意匠の特徴を成す態様を備えるものといえ、してみると、これらの点は、看者の注意を強く引くところであって、両意匠の共通感を惹起するものであり、また、(3)の点は、各部の構成比率をより具体的に示すところであり、(1)及び(2)の点が特徴といえる両意匠にあっては、それらの点と相俟って両意匠の共通感をさらに補強する効果を発揮するところといえ、その他、両意匠には、(4)ないし(6)の共通点もあり、以上によれば、これら(1)ないし(6)の共通点は、全体として両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものといわざるを得ない。
なお、被請求人は、本件先願意匠の基本的構成態様は、「互いに嵌合する本体部とプラグ部とからなり、本体部とプラグ部の嵌合状態において、両部の嵌合部位を円筒形としてリング状部材を被覆し、円筒形部材の両側を円錐台状に構成し、且つ本体部側の円錐台状部分をプラグ部側の円錐台状部分より長く構成した形態をなしている」ものとし、その殆どが先行意匠に開示されており、何ら意匠的要部となり得ず、両意匠の類否判断においても、この共通点については、あまり重きを置くべきではなく、類否への影響は微弱であるとみなすべきである旨主張する。しかしながら、請求人及び被請求人の摘示する先行意匠のいずれにも、被請求人のいう上記基本的構成態様を形態全体のまとまりとして示したものは見当たらず、そして、意匠は、それを構成する一部の態様が従前に見られるものであるとしても、構成各部の態様が一つにまとまった形態全体として総合的に評価すべきものであることを勘案すると、請求人の主張には理由がない。
一方、差異点につき、(イ)の点は、ケーブル挿通部近傍の態様を、本件登録意匠のように、円筒状体の外周回りに環状の凸状筋を等間隔で数本形成したものも、本件先願意匠のように、円錐台状体の外周に、周回り方向に沿って断続して凹筋状に表れる貫通孔を等間隔で数列形成したものも、共にそれに近似した態様が本件先願意匠の出願前から見られるところであり(例えば、甲第11号証及び甲第13号証参照)、そうすると、両意匠いずれも、ケーブル挿通部近傍の態様である、本体部後端近傍の外周の態様につき、従来から見られる態様の中から適宜選択し、多少の改変を加えて表した程度のものといえ、この点自体は、両意匠独自の特徴とはなり得ず、また、(1)のとおり、本体部後端近傍の外周を凹凸面状に形成したものとした点では両意匠は共通し、さらに、(3)のとおり、凹凸面状部を除いた円錐台状部は本体部の円柱状部と同程度の長さとしている点でも両意匠は共通するところであって、これら共通する態様の中での差異であることも考慮すると、本件先願意匠が本件登録意匠よりも本体部全体に占める円錐台状部の長さ割合を大きいものとしている点も、さほど看者の注意を引くものではなく、以上の点を総合して判断すると、(イ)の差異点は、両意匠の共通点を凌いで両意匠を別異のものと看者に印象づけるほどの効果を発揮するものとはなり得ず、その類否判断に及ぼす影響は軽微なものというほかない。(ロ)の点は、プラグ部の円柱状部先方を、漸次窄めて短い円錐台状部とした両意匠共通する態様の中での円錐台状部の長さ比率に係る長いか短かいかの差異にすぎず、この差異は、本体部の円錐台状部の差異と相俟った効果を考慮してもなお、(1)及び(2)の共通点が特徴といえる両意匠にあっては、共通点を凌いで両意匠の類否判断を左右するほどのものではない。(ハ)の点は、使用方法等を示すために矢印状のものを外周に表すことは、電器コネクタの分野において従来から見られることであって、注目されるほどの差異ではなく、両意匠の類否判断にさしたる影響を及ぼすものではない。
そうして、上記の差異点が相俟った効果を考慮してもなお、それら差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえない。
以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態について、両意匠の差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はさほど大きいものとはいえないのに対し、共通点は、全体として両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものであって、差異点は共通点を凌駕することができず、本件登録意匠は、本件先願意匠に類似するものといえる。
4.結び
したがって、本件登録意匠は、意匠法第9条第1項の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同条同項の規定に違反して意匠登録を受けたものであるから、その登録は、無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2002-10-04 
結審通知日 2002-10-08 
審決日 2002-10-21 
出願番号 意願平9-71105 
審決分類 D 1 11・ 4- Z (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森川 幸俊 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 木村 恭子
伊藤 晴子
登録日 1999-06-18 
登録番号 意匠登録第1049797号(D1049797) 
代理人 恩田 博宣 
代理人 三好 秀和 

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