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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H3
管理番号 1070642 
審判番号 不服2001-20583
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-16 
確定日 2003-01-08 
意匠に係る物品 テレビジョン共聴器 
事件の表示 意願2000- 38216「テレビジョン共聴器」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1、本願意匠
平成12年12月20日の意匠登録出願に係り、意匠に係る物品が「テレビジョン共聴器」、意匠に係る形態が願書の記載及び願書に添付の図面代用写真に示されるとおりのものである。(別紙第1参照)
第2、拒絶理由
「この意匠登録出願の意匠は、下記に示すように、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められますので、意匠法第3条第2項の規定に該当します。
記 この意匠は、引用文献1に表された意匠を本体部分とし、引用文献2に表された意匠に見られる枠部分を組み合わせたものなので、公然知られた意匠を組み合わせて容易に創作できたものと認められます。
引用文献1 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第890922号の意匠(別紙第2 参照)
引用文献2 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第823114号の意匠(別紙第3 参照)」
第3、当審の判断、
1、本願意匠
本願意匠は、全体が、筐体状の本体部分と、その外周側面に沿って、周囲を囲む略薄板状の枠部分からなるもので、
(1)その筐体状の本体部分の形状は、
(イ)正面視縦長方形状で奥行きの狭い略直方体状の筐体の背面上方を後 方に 膨出させ突出部を形成した態様のもので、
(ロ)その前方側を、前面が垂直平滑面状で厚み(奥行き)の薄い略板状 の前面プレート部とし、その前面上下位置に円形の凹陥状のテレビ用分 岐接栓座を配し、
(ハ)背面上方の突出部は、上面視略横長方形状で背の低い略直方体状の 後端側左右辺を丸面状に面取りし、突出部の下面の左右位置に略円筒状 の入出力接栓座を垂下させたもので、
(ニ)突出部の下方側は、突出部の奥行きの略5分の2の厚み(奥行き) の略扁平直方体状とし、突出部直下の左右両端を背面視小方形状に切り 欠き凹陥部を形成した態様である。
(2)その枠部分の形状は、
(イ)全体が、正面視縦長方形状の略薄板状で、コンセント本体部分を密 接接合状に配設するための縦長方形状の開口部を有する主体部と、その 背面側外周縁に沿って設けられた細巾の縁枠部と、上下辺側に延設され た動物の顔の変形体状のフランジ部からなり、
(ロ)開口部は、主体部中央に左右辺側に細幅帯状の余地部を残して穿っ ている透孔で、
(ハ)縁枠部は、後方に向かって突出する側方視細巾帯状で、その輪郭が 背面視略縦長方形状のもので、
(ニ)主体部と縁枠部の左右辺角部には本体部分との連結のための係止部 が数個縦1列に設けられており、
(ホ)上下2個のフランジ部は、上下対称形状の同形同大で、先端側は水 平直線状で、左右端に角張った耳形状の延設部が形成され、左右巾の中 央の上方寄りに小円形、内方寄りに長円形状の透孔、その左右に鈎形状 の透孔を穿っている態様である。
2、公然知られた形状であるとして例示した引用文献について
(1)引用文献1の筐体状の本体部分の形状は、
(イ)正面視縦長方形状で奥行きの狭い略直方体状の筐体の背面上方を後 方に膨出させ突出部を形成した態様のもので、
(ロ)その前方側を、前面が垂直平滑面状で厚み(奥行き)の薄い略板状 の前面プレート部とし、その前面上下位置に円形の凹陥状のテレビ用分 岐接栓座コネクタを配し、
(ハ)背面上方の突出部は、上面視略横長方形状で背の低い略直方体状の 後端側左右辺を丸面状に面取りし、突出部の下面の左右位置に略円筒状 の入出力接栓座コネクタを垂下させたもので、
(ニ)突出部の下方側は、略倒縦長方形錐台状の頂面側を頂面と略同形の 奥行きの短い縦長直方体状に膨出させた態様である。
(2)引用文献2の枠部分の形状は、
(イ)全体が、正面視縦長方形状の略薄板状で、コンセント本体部分を密 接接合状に配設するための縦長方形状の開口部を有する主体部と、その 背面側外周 縁に沿って設けられた細巾の縁枠部と、上下辺側に延設さ れた動物の顔の変形体状のフランジ部からなり、
(ロ)開口部は、主体部中央に左右辺側に細幅帯状の余地部を残して穿っ ている透孔で、
(ハ)縁枠部は、後方に向かって突出する側方視細巾帯状で、その輪郭が 背面視略縦長方形状のもので、
(ニ)主体部と縁枠部の左右辺角部には本体部分との連結のための係止部 が数個縦1列に設けられており、
(ホ)上下2個のフランジ部は、上下対称形状の同形同大で、先端側は水 平直線状で、左右端に角張った耳形状の突出部が形成され、左右の中央 に長円形状の透孔その左右に鈎形状の透孔を穿っている態様のものであ る。
3、引用文献に基づく創作容易の判断
(1)本願意匠の本体部分について
引用文献1の意匠と比較すると、その形状の(イ)乃至(ハ)の点は、 共通しているものの、(ニ)の点においては、その態様が相違する。
この種テレビ共聴器の物品分野においては、その前面プレート部の周囲 を別物品のフラッシプレートで囲うなどして建物の壁面に装着され、本願 意匠の前面プレート部のみが建物の壁面側に表出するもので、その他は建 物の壁体内部に隠れてしまうもので、前面側が意匠の主要な部分を占める ものではあるが、しかし、その背面側も入出力接栓座、及び回路基板収納 部を配設しており、機能的に主要な位置を占め、その機能に伴う形態が、 前面側に比してややその影響が小さいとはいえ、やはり主要な部分を占め るものである。
そして、背面側の突出部の直下の態様を、本願意匠と同様の奥行きの凹 陥部を有さない扁平な直方体状とすること(参照、八木アンテナ発行の国 内カタログ「ケーブルテレビブースタ・端末機器」に掲載のCS・BS直 列ユニットCBE-70P、CBE-71、CBE-7Rなど)は一般的 であったが、突出部の直下の左右両端に方形状の凹陥部を形成した例が出 願前にみられないことから、本願意匠の本体部分の形状を、出願前公然知 られた形状に基づいて容易に創作できたものであると断ずることができな い。
すなわち、本願意匠の本体部分の背面側の突出部の直下の左右両端に設 けた凹陥部を有する態様が引用文献には認められないもので、本願意匠の 特徴であることが認められる。
(2)本願意匠の枠部分について
引用文献2の意匠と比較すると、縁枠部の上下辺の切り欠き部の有無、 及びフランジ部の先端左右の耳形状部分及びその左右の円形透孔の有無の 差異点があるが、それらの差異点は、いずれも共通点(イ)乃至(ホ)に 比して、微弱な差異であって、本願意匠の枠部分の形状は、出願前公然知 られた枠部分の形状の同一性の範囲内に属する形状と認められ、原審が、 本願意匠の枠部分を公然知られた形状と判断したことには誤りはない。
(3)組み合わせについて
枠部分と本体部分を組み合わせることは当然であり、本願意匠の枠部分 の形状は、前記3、(2)のとおりに公然知られた形状であることも明ら かであるが、本体部分の形状は、出願前公然知られた形状とは認められず 、且つ、公然知られた形状に基づいて容易に創作できた形状であるとも認 められないから、本願意匠が公然知られた形状に基づいて容易に創作でき たものと認められない。
従って、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当しない。
また、他に拒絶理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2002-12-06 
出願番号 意願2000-38216(D2000-38216) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 奥家 勝治 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 西本 幸男
鍋田 和宣
登録日 2003-01-31 
登録番号 意匠登録第1168260号(D1168260) 
代理人 中島 知子 
代理人 佐竹 弘 

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