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審決分類 |
審判 無効 2項容易に創作 無効としない L3 |
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管理番号 | 1073444 |
審判番号 | 無効2002-35058 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2003-04-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-02-18 |
確定日 | 2003-02-10 |
意匠に係る物品 | 道路用防獣さく |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1117988号「道路用防獣さく」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第一 請求人の申立及び理由 請求人は、「意匠登録第1117988号(以下、本件登録意匠という)を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申立、その理由として要旨以下のように述べた。 本登録意匠は甲第1号証の図6の意匠に基づいて、甲第2号証及び甲第3号証に示すように2本組の横線材の数を単に減じて合計3段の2本組横線材とし、更に甲第4号証或いは甲第5号証に示すようにフェンスの下側が横線材が密になるように横線材の数を単に増加したものに過ぎない。 したがって、本登録意匠は甲第1号証乃至甲第5号証に記載の公知意匠に基づいて容易に創作することができたものであるから、意匠法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであり、意匠法第48条の規定により無効にされるべきものです。 甲第1号証 特開2000-274118号公報 甲第2号証 実用新案登録第3041701号公報 甲第3号証 意匠登録第910504号公報 甲第4号証 意匠登録第1018889号公報 甲第5号証 意匠登録第779907号の類似3号公報 第二 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由として要旨以下に示すとおり主張した。 本件登録意匠は、甲第1号証ないし甲第5号証の意匠に基づいて容易に創作することができたものではなく、従って意匠法第3条第2項の規定に違反しておらず、本件審判請求は理由がない。 第三 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成12年12月26日の意匠登録出願に係り、平成13年6月22日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「道路用防獣さく」とし、その形態は、願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照) すなわち、形態は、 (ア)全体が、同長の縦線材と同長の横線材を右上がり平行四辺形パネル状の竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は43本を幅狭の等間隔垂直で、上端を略30度右上がりの傾斜状に配列し、横線材は、8本を、縦線材の上下端に突出した余地部を残して略30度右上がりの傾斜状に配列したもので、 (イ)横線材は、上方から1本目と2本目を2本一組一段として上部連結部材とし、6本目と7本目を2本一組一段として下部連結部材とし、その中央部に3本目と4本目を2本一組一段として中間連結部材とし、各段間を、隣り合う縦線材の左右の間隔の略10倍の長さで配し、 (ウ)中間連結部材と下部連結部材との中央に、1本の横線材を配し、下部連結部材と下端部の上から3分の2下端寄りに横線材1本を配したものであり、 (エ)縦線材の上下端の余地部は、上端は、極短い長さとし、下端は、隣り合う縦線材の左右の間隔に対して略同長として土中に埋設のための突出部を形成したものである点が認められる。(別紙第1参照) 2.甲号意匠 (1)甲第1号証 甲第1号証は、平成12年10月3日、特許庁が発行した公開特許公報に掲載された特開2000-274118号の防獣フェンスであって、その形態は、同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) すなわち、図6に表された意匠の形態は、 (ア)全体が、同長の縦線材と同長の横線材を右上がり平行四辺形パネル状の竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は37本を幅狭の等間隔垂直で、上端を略30度右上がりの傾斜状に配列し、横線材は、上部連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに略30度右上がりの傾斜状に配し、その中間に、中間連結部材として横線材を上下間隔幅狭の2本一組を一段として、隣り合う縦線材の左右の間隔の略6倍長のやや幅広等間隔で略30度右上がりの傾斜状に二段配したもので、 (イ)2本一組の横線材の上下の間隔は、隣り合う縦線材の左右の間隔よりわずかに短い間隔で形成したものである点、 (ウ)縦線材の上端部及び横線材の左右端部は、わずかに突出し、縦線材の下端部は上記縦線材の間隔の略2倍長突出した態様のものである点が認められる。 (2)甲第2号証 甲第2号証は、平成9年10月3日、特許庁が発行した登録実用新案公報に掲載された実用新案登録第3041701号の防獣フェンスであって、その形態は、同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第3参照) (2)-1 その図1に表された意匠の形態は、 (ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は41本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、上部連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに水平に二段配したもので、 (イ)隣り合う縦線材の左右の間隔と、横線材各段の横線材の上下の間隔を略同長とし、 (ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に余地部を残し、特に下端部の余地部は、上記縦線材の間隔の略3倍長とした点が認められる。 (2)-2 図2に表された意匠の形態は、 (ア)全体が、縦線材と横線材で竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は40数本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、上部連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに配し、その中間に、中間連結部材として横線材を上下間隔幅狭の2本一組を一段として、隣り合う縦線材の左右の間隔の略6倍長のやや幅広等間隔で三段配したもので、 (イ)隣り合う縦線材の左右の間隔と、上部連結部材、下部連結部材及び中間連結部材としての各段の横線材の上下の間隔を略同長とし、 (ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に余地部を残し、特に下端部の余地部は、上記縦線材の間隔の略3倍長として土に埋設のための突出部を形成した点が認められる。 (2)-3 更に、実用新案登録請求の範囲の請求項2に「(前略)上部連結部材と下部連結部材との間に、水平方向に設けてある所用数の中間連結部材とを備えており、(後略)」との記載があるものである。 (3)甲第3号証 甲第3号証の意匠は、平成6年10月27日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された登録意匠第910503号の意匠(別紙第4参照)であって、その意匠に係る物品は「フェンス」とし、その形態は、 (ア)全体が、縦線材と横線材で竪繁格子状に形成したもので、縦線材は41本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、上部連結部材として上下間隔幅狭の3本一組を一段として上端部に、中間連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として中間部及び下端部に、それぞれ隣り合う縦線材の左右の間隔の略13倍長のやや幅広等間隔で配したものである点、 (イ)上部連結部材、下部連結部材及び中間連結部材としての各段の横線材の上下の間隔を、隣り合う縦線材の間隔と略同長としている点が認められる。 (4)甲第4号証 甲第4号証の意匠は、平成10年8月19日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された登録意匠第1018889号の意匠(別紙第5参照)であって、その意匠に係る物品を、「フェンス」とし、その形態は、 (ア)全体が、縦線材と横線材で竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は、上端部を、背面側に向かって鈎状に湾曲させたもの18本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材10本を下方寄りがやや密になるように、水平に配し、 (イ)横線材の内、上方の2本は、湾曲した部分に配し、さらに、8本目及び9本目を除く6本を、隣り合う縦線材の左右の間隔の2倍弱の間隔で配し、8本目及び9本目の横線材は、7本目と10本目の横線材の間に等間隔に配したものである点が認められる。 (5)甲第5号証 甲第5号証の意匠は、平成5年11月18日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された登録意匠第779907号の類似3号の意匠(別紙第6参照)であって、意匠に係る物品を「フェンス」とし、その形態は、 (ア)全体が、縦線材と横線材で格子状に形成したものであり、縦線材は、8本をやや幅広の等間隔で垂直に配列し、両端を除く6本の上端に円錐状の忍び返しを設けており、横線材は、8本を下方寄りがやや密になるように水平に配し、 (イ)横線材は、上から1本目、2本目、3本目、5本目及び8本目のそれぞれの間隔を隣り合う縦線材の左右の間隔と同長とし、3本目と5本目の略中央に4本目の横線材を配し、5本目と8本目の間に、6本目及び7本目の横線材を略等間隔に配したものである点、 (ウ)上下端の横線材は、左右側に支柱に係止するための、環状体を水平に形成している点、 (エ)縦線材及び横線材の、上下左右端がわずかに突出したものである点が認められる。 3. 本件登録意匠の創作容易性についての判断 まず、請求人が主張するように、 (1)傾斜状に配した横線材8本の内、上方から1本目と2本目を2本一組一段として上部連結部材とし、6本目と7本目を2本一組一段として下部連結部材とし、その中央部に3本目と4本目を2本一組一段として中間連結部材とし配した配置構成のみを抽出し着目すると、 この点は、甲第1号証の図6の態様を基に、甲第2号証の図1,図2及び甲第2号証の請求項2の記載を勘案すると、上部連結部材2本一組一段、下部連結部材2本一組一段とした上下の段の間に中間連結部材の所用数を一段としたまでの創作に過ぎない。 しかしながら、 (2)横線材2本一組を一段として、上部連結部材、下部連結部材及び中間連結部材として三段配し、その二段目と三段目の上下間隔中央に横線材1本を配したものは、甲第1号証ないし甲第5号証のいずれにも明らかでなく、本件登録意匠の出願前に公然知られた態様とは認められず、 更に、 (3)下部連結部材の下方の余地部である突出部の下端寄りに横線材1本を配した態様のものも、甲第1号証ないし甲第5号証のいずれにも明らかでなく、本件登録意匠の出願前に公然知られた態様とは認められない。 すなわち、甲第4号証或いは甲第5号証に示すようにフェンスの下側が横線材が密になるように横線材配置した態様は認められるものの、本件登録意匠の形態の(ウ)に示す横線材の配置、構成について、横線材の数を単に増加したものに過ぎないとすることはできない。 そうすると、本件登録意匠は、甲第1号証ないし甲第5号証に基づいて容易に創作できたものとすることはできない。 4. むすび 以上のとおりであって、請求人の主張する理由によって、本件登録意匠の登録を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2002-11-29 |
結審通知日 | 2002-12-04 |
審決日 | 2002-12-27 |
出願番号 | 意願2000-37164(D2000-37164) |
審決分類 |
D
1
11・
121-
Y
(L3)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川越 弘 |
特許庁審判長 |
秋間 哲子 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 西本 幸男 |
登録日 | 2001-06-22 |
登録番号 | 意匠登録第1117988号(D1117988) |
代理人 | 内野 美洋 |
代理人 | 松尾 憲一郎 |
代理人 | 内野 美洋 |
代理人 | 高橋 清 |
代理人 | 松尾 憲一郎 |