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審決分類 審判 無効  2項容易に創作 無効とする C3
管理番号 1073447 
審判番号 無効2002-35274
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-06-28 
確定日 2003-02-10 
意匠に係る物品 アイロン掛け台用基台 
事件の表示 上記当事者間の登録第1102289号「アイロン掛け台用基台」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1102289号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.請求人の申立及び理由の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立、その理由として要旨以下に示すとおり主張し、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
意匠登録第1102289号意匠(以下、本件登録意匠という)は、出願前公知の甲第1号証に示す意匠の基台本体と甲第2〜7号証に開示されている意匠構成を単に寄せ集めたにすぎないもの、もしくは甲第1号証の基台本体裏面の脚支持部およびこれに取り付けられている脚を、甲第2〜7号証に開示されている意匠構成の脚支持部およびこれに取り付けられている脚に、単に置き換えたにすぎないものであり、これら各号証から当業者が容易に創作できたものであるから、意匠法第3条第2項の規定に該当し、同法第48条第1項第1号の規程により、無効とされるべきものである。
2.被請求人の答弁及び理由の要点
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めるとし、その理由として要旨以下に示すとおり主張し、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
甲第1号証の意匠は、アイロン掛け台用基台本体として意匠を特定する資料として不十分であり、メッシュを形成する菱形の開口部が本件登録意匠の方が細かく多数現れており、本件登録意匠と同じ意匠でないことは明らかであり、甲第2号証ないし7号証のスチール製の脚支持部と脚に関し、本件登録意匠のものとは全て異なる部分が存在し、何れも「木製テーブル等にビス止め取り付けて使用する」もので、本件登録意匠のようにスチール製のアイロン台、あるいはメッシュ状アイロン台に取り付けられたものはなく、また、「4個の脚部を取り付けるにしても、さまざまな位置、角度が考えられ」るから、請求人が主張する理由及び提出した証拠方法によって、本件登録意匠を無効とすることはできない。
3.当審の判断
(1)本件登録意匠
本件登録意匠は、意匠登録原簿、願書の記載及び添付図面代用写真によれば、平成11年12月25日の意匠登録出願に係り、平成12年12月22日に本意匠を登録第1101983号として設定の登録がなされた登録第1102289号意匠であり、意匠に係る物品を「アイロン掛け台用基台」とし、その形態は、願書の記載及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりのものである。(別紙第1参照)
すなわち、その形態は、平板状基台本体部と、その裏面4箇所の隅部(後述する半円弧状辺側は円弧の両起点)のやや内側に、脚部を設けたもので、本体部につき、長方形短辺の1辺を半円弧状とし、全体の長手方向の長さに対して短手方向の長さの比を略5:3としたもので、外周形状を角棒状のフレームにより形成し、その上面全体に斜格子状のメッシュが張られており、各脚部は、脚支持部と脚支柱部からなり、方形状の脚支持部は、その長手方向をそれぞれ基台本体部の短手方向に対してやや内側に向け傾斜するように取り付けられ、脚支柱部は内側に折りたたみ可能で、立てた状態において下方に向けやや斜め外側に開いた状態で脚支持部に取り付けられており、脚支持部につき、周面方向に脚支柱が挿入される2本の回動溝が設けられた倒半円柱凸形状の長方形面の周囲外側に全体が長方形状の鍔部を有するもので、なお、2本の平行回動溝の詳細については、半円柱凸形状の内側(基台本体部に対して)の鍔部付近から頂部を僅かに越えた付近まで設けられたもので、その上下両端部にはそれぞれ外向き及び内向きの切り欠きが設けられており、そして、各脚支柱部につき、細丸棒を細幅V字状に折り曲げたもので、その2つの上端はそれぞれ前記脚支持部の2本の回動溝に填め込まれ、下端折り曲げ部付近の僅かの長さ部分を、接地面を増やすため外側に向けて折り曲げている。
(2)本件登録意匠の基台本体部の形状の公知性について
請求人が、本件登録意匠が公然知られた形状に基づき容易に創作できたとする根拠の基礎となる基台本体部は、本件登録意匠の出願前に株式会社ドウシシャ(本件請求人)により販売された、製品名を「SI-1スチームアイロン台」とするアイロン掛け台の基台の本体部(カバー部と脚部を除いた部分)であって、その形態は、甲第1号証である平成11年(ワ)第12231号事件訴状の物件目録とそれに添付された別紙写真、及び、この訴状に添付された甲第三號證の「被告の製品説明書」(株式会社ドウシシャが作成したと認められる「スチームアイロン台SI-1」と題するパンフレット)の写真版に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。なお、この製品名をSI-1とするアイロン掛け台は、甲第1号証の記載の全体から、甲第1号証の訴状の訴えの日である平成11年11月18日以前、すなわち本件出願前に販売され、公然知られていたものと認められる。
そこで、本件登録意匠の基台本体部の形態と、甲第1号証に現された製品名をSI-1とするアイロン掛け台用基台本体部の形態とを比較してみると、甲第1号証に現されたものは、本件登録意匠と同様に「長方形短辺の1辺を半円弧状とし、全体の長手方向の長さに対して短手方向の長さの比を略5:3としたもので、外周形状を角棒状のフレームにより形成し、その上面全体に斜格子状のメッシュが張られ」たものであり、本件登録意匠の基台本体部の形状は、その出願前に公然知られた形状に該当する。
なお、被請求人は、甲第1号証は、アイロン掛け台用基台本体として意匠を特定する資料として不十分であり、また、メッシュの「菱形の開口部」の大きさと数が本件登録意匠と異なると主張するが、甲第1号証の中の物件目録とそれに添付された別紙写真、及び、訴状に添付された甲第三號證の「被告の製品説明書」に現された内容全体を合理的に解釈すれば、前記認定の形態は十分認識することが可能であり、また、メッシュの菱形開口部の大きさ、すなわち目の粗さに差異が認められるとしても、その差異は僅かであり、この種物品において、強度、重量、平坦性を考慮した場合、メッシュの厚みと目の荒さは一定の範囲で定まり、その範囲での多少の目の粗さの異なるメッシュを用いたものは従来から多数存在するから、その差異は、周知の僅かな改変に相当する微差であって、両意匠の実質的同一性に影響を及ぼさないと認められる。
(3)本件登録意匠における脚部の公知性について
次に、本件登録意匠の脚部と、甲第4号証に表された脚部、及び甲第5号証に表された脚部(別紙第3参照)とを比較してみると、甲第4号証及び甲第5号証に現された何れの脚部も、本件登録意匠のものと同様に、脚支持部と脚支柱部からなるもので、脚支持部の形状につき、「周面方向に脚支柱が挿入される2本の回動溝が設けられた倒半円柱凸形状の長方形面の周囲外側に全体が長方形状の鍔部を有するもの」で、2本の平行回動溝の詳細については、半円柱凸形状の一方の「鍔部付近から頂部を僅かに越えた付近まで設けられたもので、その上下両端部にはそれぞれ外向き及び内向きの切り欠きが設けられ」ており、脚支柱部につき、「細丸棒を細幅V字状に折り曲げたもので、その2つの上端はそれぞれ前記脚支持部の2本の回動溝に填め込まれ、下端折り曲げ部付近の僅かの長さ部分を、接地面を増やすため外側に向けて折り曲げ」たものであり、本件登録意匠の脚部の形状は、公然知られた形状に該当するものと認められる。
なお、被請求人は本件登録意匠の脚部と比較して、甲第4号証に表されたものは「2筋の溝の有り様」が、甲第5号証に表されたものは「2筋溝の終端の有り様」が異なると主張する。しかしながら、何れのものも共通した位置に2本の平行溝を設けた点が共通するだけでなく、更に「上下両端部にはそれぞれ外向き及び内向きの切り欠き」を設けた点までもが共通しており、その差異は、格別意義のない僅かな溝部の態様に関するものにすぎず、本件登録意匠「アイロン掛け台用基台」の創作における脚部全体の同一性を妨げるまでに至る差異に該当しない。
(4)本件登録意匠の創作容易性についての判断
そこで、甲第1号証に現されたアイロン基台本体部に、甲第4号証及び甲第5号証に現された脚部を本件登録意匠の態様で取り付けることに関する容易性の有無について検討する。
甲第2号証によれば、長方形短辺の一方側を曲線状にすぼめつつ突出させたアイロン台の基台本体部裏面に、脚支持部を本件登録意匠の取り付け位置に相当する位置、すなわち、半円弧状辺側に相当する部分については、曲線状に窄まる起点部のやや内側とし、立てた状態において下方に向けやや斜め外側に開いた状態になるよう、本件登録意匠と同様に「それぞれ基台本体部の短手方向に対して」脚支持部の「長手方向をやや内側に向け傾斜するように」取り付けられられたものが現されている。したがって、甲第1号証に現されたアイロン基台部に、甲第4号証及び甲第5号証に現された脚部を本件登録意匠のような態様で取り付けることは、公然知られた取り付け態様に該当し、また、格別な創意を要しないものと認められる。
なお、被請求人は、「4個の脚部を取り付けるにしても、さまざまな位置、角度が考えられ」、また、アイロン台のメッシュ状基台に直接脚部を取り付けることは強度的に問題があり、そのようなものは従来存在せず、新しい美感が生じている旨主張する。
しかしながら、この種の脚支持部の取り付けに関し、使用の目的上、自由かつ任意にさまざまな位置、角度が選択しうるものではなく、当業者であるならば、当然のごとくアイロンを掛ける使用時の脚を立てた状態において、使用の妨げとならない範囲において最大の安定性を求めるはずであり、なお、本件登録意匠についてもこれを意図しているものと認められが、この相反する2面性を考慮した場合、取り付け態様に格別の特徴があるならば別として、通常、多少の幅はあるにしても、基台本体部の形状ごとの最も合理的な取り付け位置と角度は、自ずと一定の範囲で定まると認められ、また、仮にその範囲がある程度の幅があったとしても、その範囲において何れを選択したとしても、当業者であるならば適宜任意に選択しうる設計的事項にすぎず、創作の実質的同一性に影響を及ぼさないものと認められ、メッシュに直接溶着した点についても、ビス止めと溶着は周知の固着手段の置換にすぎず、製品化する場合において通常考慮する補強手段を講じることをせず、前述のように極めて容易に着想し得たものをそのまま現したからといって、創作が容易でなかったとすることはできず、また、新規な美感が生じたからといって、意匠法第3条第2項の適用が除外されるわけではない。
このように、本件登録意匠の基台本体部の形状、及び、脚部の形状はその出願前に公然知られたものであり、脚部の取り付け態様についてもその出願前に公然知られたものであり、また、当業者であるならば格別な創意を要したとは認められないので、本件登録意匠は、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、その出願前に日本国内において公然知られた形状に基づいて、容易に創作する事ができたものである。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであって、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2002-12-05 
結審通知日 2002-12-10 
審決日 2002-12-24 
出願番号 意願平11-35747 
審決分類 D 1 11・ 121- Z (C3)
最終処分 成立 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 2000-12-22 
登録番号 意匠登録第1102289号(D1102289) 
代理人 谷口 俊彦 
代理人 梶崎 弘一 
代理人 柳野 隆生 
代理人 尾崎 雄三 
代理人 鈴木 崇生 
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