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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1075052 
審判番号 不服2001-20503
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-15 
確定日 2003-03-28 
意匠に係る物品 端子金具 
事件の表示 意願2000- 28918「端子金具」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
1.本願意匠
本願意匠は、2000年10月13日の関連意匠(本意匠は、意願2000-28907号の意匠。)の意匠登録を受けようとする出願の意匠であって、意匠に係る物品及びその形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照)
2.引用意匠
引用意匠は、原審において拒絶の理由に引用した意匠であって、本願意匠の出願前、1998年(平成10年)4月7日発行の日本国特許庁意匠公報に記載された意匠登録第1006897号の意匠であり、意匠に係る物品及びその形態を同公報に記載のとおりとしたものである。(別紙第2参照)
3.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠は、いずれも電気コネクタ用の「端子金具」に係るものであるから、両意匠は、意匠に係る物品が一致する。
次に両意匠の形態については、全体を横長とし、長手方向の片側を略角筒状に形成して相手側端子を差し込むための接続部(以下、「差込接続部」と言う。)とし、その反対側に導体を固定接続する圧着部を形成した構成態様が共通している。しかしながら、形態の具体的な態様については、主として、以下のとおりの差異点が認められる。
(1)圧着部側の向かい合う垂直状の壁状部の態様について、本願意匠は、2か所にそれぞれ内側へ谷折り状とした同形同大の凹部を向かい合う対称状に形成し、凹部の上辺部分をそれぞれV字形状に切り欠き状としているのに対し、引用意匠は、2か所に大小の略矩形の孔部をそれぞれ向かい合う対称状に形成している点。(2)圧着部の導体接続用の向かい合うスリーブ片の態様について、本願意匠は、圧着部の先端側及び垂直状の壁状部右端側にそれぞれ1対形成したスリーブ片をそれぞれ略小台形状とし、いずれもその上辺を壁状部の上辺よりも上方に高く形成しているのに対し、引用意匠は、圧着部先端側の1対のスリーブ片のみであってそれぞれ略U字形状とし、その上辺を壁状部の上辺とほぼ同様の高さとしている点、(3)挿入接続部の上面の態様について、本願意匠は、略中央に横長の小突起及びその後方の後端に細長い孔部をそれぞれ施しているのに対し、引用意匠は、左端寄りの前方に横長小矩形状の板状部分をわずかに斜め右上に折り曲げ、その後方に横幅を略同幅とする横長小矩形状の板状部分を上方に折り曲げている点。(4)底面の態様について、本願意匠は、左端寄りの前後幅いっぱいに横長矩形状の孔部を設けてその開口部の長手辺から下方に小矩形状の板状部を形成し、その右側に小矩形状の凹部を、右端寄りの横列2か所に小三角形状の凹部を施しているのに対し、引用意匠は、左端寄りの前後幅いっぱいに縦長矩形状の小さな孔部を設けている点。
4.本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び差異点を総合して、意匠全体として、両意匠の類否について考察すると、共通しているとした前記の態様は、この種端子金具の形態の基本的な構成態様として、本願意匠の出願前より両意匠のほかにも多数見受けられ、両意匠にのみ共通する態様とは言えないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものと言わねばならず、両意匠の類否判断を左右するほどの要素として評価できない。
一方、前記差異点を検討すると、その(1)については、本願意匠に形成した圧着部側の向かい合う垂直状の壁状部の態様は、本願意匠の形態に特徴を形成し、形態全体の基調に影響を与えている要素であり、同壁状部の他の前記差異点に係る態様と相まって、その差異は、両意匠の類否判断与える影響が大きいものである。差異点の(2)については、向かい合うスリーブ片を2対形成すること自体は本願意匠のみに新規の態様とな言えないが、スリーブ片の具体的な態様についての前記差異点は、導体接続時に比較的注視する部位に係る点を勘案すると、その差異は、両意匠の類否判断にもやや影響を与えるものである。(3)及び(4)については、この種端子金具は、コネクタ用ハウジングに収納固定されるため、外側面に突起、孔部あるいは折り曲げた板状部分等を形成することが一般的であり、両意匠のほかにも様々の態様に形成したものが多数見受けられ、これら個々の部分のみを対比した場合には近似した態様のものが見受けられるが、突起、孔部及び折り曲げた板状部分を本願意匠のと同様に設けて構成した態様のものは、本願意匠の出願前に普通に見受けられるとは言えないから、その差異は、両意匠の類否判断にも影響を与えるものである。そして、これら差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果が、観る者に両意匠の形態に別異感をもたらしていると言えるから、両意匠の形態は、互いに類似しないものと言わざるを得ない。
以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が一致しているが、形態については類似しないものであるから、意匠全体として類似しないものと認められる。
5.結び
したがって、本願意匠は、引用意匠に類似しないものであり、意匠法第3条第1項第3号の規定により拒絶すべきものとすることはできない。また、他に本願意匠を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2003-03-13 
出願番号 意願2000-28918(D2000-28918) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅澤 修 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 西本 幸男
鍋田 和宣
登録日 2003-05-02 
登録番号 意匠登録第1177731号(D1177731) 
代理人 恩田 博宣 

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