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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 H2 |
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管理番号 | 1079825 |
審判番号 | 不服2001-3272 |
総通号数 | 44 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2003-08-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-03-05 |
確定日 | 2003-06-24 |
意匠に係る物品 | フラッシプレート |
事件の表示 | 平成11年意匠登録願第 8271号「フラッシプレート」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、平成11年3月30日の意匠登録出願に係り、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「フラッシプレート」とし、その形態を願書に添付した図面に示すとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.引用意匠 引用意匠は、原審において、本願意匠が類似するとして引用した意匠であって、本願意匠の出願前の平成10年1月12日に出願をし、その後、設定の登録がなされた登録第1047204号の類似第1号の意匠に係り、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「フラッシプレート」とし、その形態を願書に添付した図面に示すとおりとしたものである。(別紙第2参照) 3.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠を対比すると、意匠に係る物品については、いずれも電気配線に使用するフラッシプレートに係るものであるから、両意匠の意匠に係る物品は一致する。 次に、両意匠の形態については、主として、以下に示すとおりの共通点及び差異点が認められる。 先ず、共通点として、全体は、正面視縦長長方形状の扁平な枠体であって、壁面側に取り付ける枠体(以下、「取付枠」という。)にその前方を収納する枠体(以下、「収納枠」という。)をはめ込み、その前方の略全体を覆う枠体(以下、「化粧枠」という。)を重ね合わせて構成したものであり、具体的な態様において、収納枠は、上下両端の前方にごく細幅の突状部分を形成し、左右両側面をごくわずかな前後の段差状とし、取付枠は、上下両方に壁面側へ固定するための固定板部を形成し、その左右両側に複数本の補強用桟を上下の固定板部と一体状に形成している点が認められる。 一方、差異点として、取付枠の態様について、本願意匠は、固定板部を横長矩形状に形成してそれぞれ1か所に小孔を設け、開口部寄りの縦桟のうち、右側のものを取付板部の右側に設けた小矩形枠と、左側のものを開口部上下の凸状縁とそれぞれ一体状に形成し、収納枠外側四辺寄りの横桟及び縦桟を該四辺の内側に密着状とし、四隅部寄りを小さく曲げて設けているのに対し、引用意匠は、固定板部を開口部寄りの左右幅が狭い略凸型状に形成してそれぞれ複数箇所に小孔を設け、開口部寄りの縦桟をいずれも開口部上下の凸状縁とそれぞれ一体状に形成し、これらの縦桟の外側にそれぞれ2本の縦桟を設けてその上下両方を取付板部の左右両側に設けた横桟とそれぞれ一体状に形成し、収納枠外側四辺寄りの桟の四隅部寄りをやや大きな弧状に形成している点が認められる。 4.本願意匠と引用意匠の類否 以上の共通点及び差異点を総合し、意匠全体として両意匠の類否について考察すると、前記共通点は、本願意匠の出願前より、両意匠とほぼ同様に形成した態様のものが見受けられ、両意匠にのみ共通する態様とは言いがたいから、両意匠の類否判断に与える影響は微弱にとどまり、それほど評価できないものである。 一方、前記差異点について考察すると、前記のとおり、固定板部および補強用桟のそれぞれの態様に差異がある上、収納枠外側四辺寄りの桟の四隅寄りの態様について、本願意匠は、横桟及び縦桟を該四辺の内側に密着状とし、四隅部寄りを小さく曲げているため、収納枠外側四辺との隙間がほとんどないすっきりとした態様であるのに対し、引用意匠は、四隅部寄りをやや大きな弧状に形成しているため、収納枠外側四辺との隙間がやや大きく、縦横の桟の構成と相まってやや複雑な印象を与えているものであり、また、両意匠のいずれも複数の枠体を組み合わせて構成したものであるが、その使用目的および使用態様からみて、通常、先ず、取付枠のみを収納枠と分離して取り付け、次に収納枠および化粧枠を装着するものであるから、取付枠の態様を観察することが必要であり、化粧枠側と同様に取付枠にも注意を払うものである点を勘案すると、その差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいと言える。そして、本願意匠の出願前に、収納枠および化粧枠を前記共通点にかかる態様と同様に構成したものと、取付枠を本願意匠と同様に形成したものとを組み合わせて構成したものも見受けられないから、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと認められる。 以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が一致しているが、形態については、共通点は両意匠の類否判断に与える影響が微弱にとどまるのに対し、差異点は両意匠の類否判断を左右するほどのものと認められるから、意匠全体として類似しないものと言うほかない。 5.むすび したがって、本願意匠は、引用意匠に類似しないものであるから、意匠法第9条第1項の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願意匠を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2003-06-10 |
出願番号 | 意願平11-8271 |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(H2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 楽 勝広 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 永芳 太郎 |
登録日 | 2003-07-04 |
登録番号 | 意匠登録第1183113号(D1183113) |
代理人 | 安藤 淳二 |