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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1079830 
審判番号 不服2001-22225
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-12 
確定日 2003-06-23 
意匠に係る物品 アース端子 
事件の表示 意願2000- 33894「アース端子」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は、平成12年(2000年)11月28日に意匠登録出願されたものであって、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「アース端子」とし、その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照)
2.引用意匠
引用意匠は、原審において拒絶の理由に引用した意匠であって、本願意匠の出願前、平成12年6月19日発行の日本国特許庁意匠公報に記載された意匠登録第1074938号の意匠であり、同公報の記載によれば、意匠に係る物品を「接触子」とし、その形態を同公報に記載のとおりとしたものである。(別紙第2参照)
3.本願意匠と引用意匠の対比
先ず、意匠に係る物品について、本願意匠は「アース端子」とし、引用意匠は「接触子」としているが、いずれも配線基板とその上側のシャーシの間に取り付けて、両部材間の電位差を無くすために用いられるものに係るから、両意匠は、意匠に係る物品が一致する。
しかしながら、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの差異点が認められる。
(1)帯状の薄板体(以下、「帯板」と言う。)の一方の自由端側を、これと反対側の自由端の移動を規制するために折り曲げて枠状に形成した部分の態様について、本願意匠は、自由端の先端寄りの両側を同形同大の矩形状に形成してそれぞれ上方に直角状に折り曲げ、その上方を内側に直角状に折り曲げて先端を互いに向かい合わせた態様に形成しているのに対し、引用意匠は、先端よりもやや手前を上方に直角状に折り曲げ、その上方を直角状に折り返し、さらにその先端の両側を同形同大の矩形状に形成してそれぞれ下方に折り曲げ、それぞれの先端が下側の帯板に接する態様に形成している点、(2)帯板のシャーシとの接触部分の態様について、本願意匠は、水平状に形成しているのに対し、引用意匠は、正面視略への字形状としている点、(3)シャーシとの接触部分から左方の折り返し部分の間の傾斜状部分の態様について、本願意匠は、下方へ弧状に曲げているのに対し、引用意匠は、上方へ弧状に曲げている点、(4)配線基板に固定する側(下側)の帯板の態様について、本願意匠は、水平状とし、両辺に前後対称状に向かい合う小矩形の切欠き1対を2か所設けているのに対し、引用意匠は、上方に突出した正面視略台形状の屈曲部を形成している点、そして、(5)移動する自由端の先端側の態様について、本願意匠は、先端までの両側を対称状に切り欠いてやや幅狭に形成しているのに対し、引用意匠は、先端まで同幅としている点が認められる。
4.本願意匠と引用意匠の類否判断
そこで、前記差異点が両意匠の類否に与える影響について考察すると、差異点(1)については、前記のとおり、両意匠のものの構成態様が基本的に異なり、形態全体に与える影響が大きいと言えるものであるから、その差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。(2)については、本願意匠の水平状に形成した接触部分は、帯板の上側の態様を特徴づけ、形態全体の基調に影響を与える要素であるから、その差異は両意匠の類否判断にも影響を与えるものである。(3)については、両意匠の傾斜部分の折り曲げの方向が互いに異なっているため、移動する自由端側全体の態様の与える印象が、本願ではほっそりしているのに対し、引用意匠ではずんぐりしており、形態全体の基調に影響を与える要素であるから、その差異は両意匠の類否判断に与える影響が大きいものである。(4)帯板の配線基板側の具体的な態様についての差異であり、その差異は両意匠の類否判断にもやや影響を与えるものである。(5)については、やや限られた部位の態様についての差異であるが、差異点(2)及び(3)に係る態様と相まって、両意匠の移動する自由端側の具体的な態様に差異をもたらしているものであり、その差異は両意匠の類否判断にも影響を与えるものである。そして、これら差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果が、観る者に両意匠の形態に別異感をもたらしていると言えるから、両意匠の形態は、互いに類似しないものと言わざるを得ない。
以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が一致しているが、形態については類似しないものであるから、意匠全体として類似しないものと認められる。
5.結び
したがって、本願意匠は、引用意匠に類似しないものであり、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当しないものであるから、原審の拒絶理由により拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願意匠を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2003-05-15 
出願番号 意願2000-33894(D2000-33894) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅澤 修 
特許庁審判長 伊勢 孝俊
特許庁審判官 永芳 太郎
鍋田 和宣
登録日 2003-07-11 
登録番号 意匠登録第1183477号(D1183477) 
代理人 吉田 精孝 

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