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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1091623 
審判番号 不服2003-2868
総通号数 51 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-21 
確定日 2004-01-30 
意匠に係る物品 電磁誘導加熱調理器 
事件の表示 意願2002- 3492「電磁誘導加熱調理器」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成14年2月13日の出願であり、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「電磁誘導加熱調理器」とし、形態を願書の記載及び願書添付の図面代用写真に現されたとおりとしたものであって、意匠登録を受けようとする部分は、同写真において、青色を施した部分以外の部分である(別紙第一参照)。
すなわち、意匠登録を受けようとする部分は、平面視、枠体部及び排気パネル部を除く電磁誘導加熱調理器における平坦な矩形状の天板部分(以下、「天板部」という)である。
2.引用意匠
これに対し、原審の拒絶理由において、本願意匠と類似するとして引用した意匠は、本願出願前に日本国内に頒布された、特許庁意匠課が2001年7月27日に受け入れた株式会社東芝発行の製品カタログ「ビルトイン機器カタログ’01-6」第5頁所載の「電磁調理コンロ」の天板の部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HN13008079号)であって、その形態は同カタログに現されたとおりである(別紙第二参照)。
3.両意匠の対比
両意匠は、意匠に係る物品が共通し、天板部が対象である点でも共通し、その部分の形態については、主として以下の共通点と差異点が認められる。
[共通点]
天板部は、平面視平坦なやや横長の矩形状板であって、その表面の広い範囲に亘り透光性を有する暗色を背景に微細な白色点模様を密に点在したものとし、該表面上において、手前に左右一対、奥方中央に1つの計3つのヒ-タ部を示す円形白線模様を施し、手前の同大の2つのIHヒ-タ部は奥方のラジエントヒ-タ部より一回り大きな同心の多重円とし、それらの外周手前に沿って、数字を配し、使用時にはランプが点灯する円弧状のIHヒ-タ用火力表示部を設け、その間にも、数字を配し、使用時にはランプが点灯する幅狭なラジエントヒ-タ用火力表示部を設けて成るものである点。
[差異点]
(ア)表面に施された白色点模様について、本願意匠は、各ヒ-タ部と各火力表示部を除いた全面に不規則に施しているのに対して、引用意匠は、各ヒ-タ部、各火力表示部及びそれらの周囲を除いた全面に規則的に施している点。
(イ)IHヒ-タ部について、本願意匠は、中心部を暗色のやや小さな円とした三重の円から成り、外側の環状面には暗色を背景に規則的な白色小円模様を施し、内側の環状面にはヒ-タ部外方表面と同模様を施しているのに対して、引用意匠は、二重の円から成り、いずれの面も暗色としている点。
(ウ)ラジエントヒ-タ部について、本願意匠は、中心部を暗色の大きな円とした二重の円から成り、外側の環状面には暗色を背景に規則的な白色小円模様を施しているのに対して、引用意匠は、円形白線模様内が暗色の一つの円から成る点。
(エ)IHヒ-タ用火力表示部について、本願意匠は、白線で縁取った円弧状帯部の内面を暗色として、そこに数字複数個をに配しているのに対して、引用意匠は、そのような白線で縁取った円弧状帯部を有さず、IHヒ-タ部外周手前の暗色の表面上直に数字複数個を円弧状に配している点。
(オ)ラジエントヒ-タ部用火力表示部について、本願意匠は、白線で縁取った円弧状帯部の内面を暗色として、そこに数字複数個を配しているのに対して、引用意匠は、IHヒ-タ部外周手前の暗色の表面上直に数字複数個を直線状に配している点。
4.類否判断
そこで、上記の共通点及び差異点を総合して検討する。
まず、差異点(ア)ないし(オ)にみられるいずれの態様差においても、本願意匠の態様は、両意匠の共通点に係る態様を骨格態様として、構成各部を具体的に表したものであり、従来態様に照らしてみるに、本願意匠の特徴を成すものといえ、引用意匠とは視覚的にも大きく異なるものであることから、その差異は、両意匠別異の印象を十分にもたらすものであり、とりわけ、差異点(エ)及び(オ)の、IHヒ-タ部及びラジエンドヒ-タ部の各火力表示部にみられる白線で縁取った円弧状帯部の存在の有無に関する差異が、視覚上大きな効果を有するものと評価できることから、両意匠別異の印象を決定づけるものであり、結局のところ、これらの差異点は相俟って類否判断に大きな影響を及ぼすものといわざるを得ない。
一方、共通点は、この種物品分野において、一定の特徴は認められるものの、上記のとおり、両意匠別異の印象をもたらすに十分な差異点を有する両意匠にあっては、共通点として働く効果は未だ小さいといえる。
以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、天板部が対象である点でも共通しているが、その形態について、差異点が共通点を凌駕する両意匠は、類似するものとすることができない。
5.むすび
したがって、本願意匠は意匠法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶すべきものとした原査定は、当を得ないものであり、取消を免れない。
また、他に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2004-01-19 
出願番号 意願2002-3492(D2002-3492) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 雅美 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 渡邊 久美
伊藤 晴子
登録日 2004-02-20 
登録番号 意匠登録第1201207号(D1201207) 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 

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