ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 H5 |
---|---|
管理番号 | 1093276 |
審判番号 | 不服2001-17506 |
総通号数 | 52 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-01 |
確定日 | 2004-02-03 |
意匠に係る物品 | カラープリンタ用固形インクスティック |
事件の表示 | 意願2000- 14860「カラープリンタ用固形インクスティック」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、アメリカ合衆国を第1国出願(出願日:1999年12月3日)とする優先権を主張して、2000年(平成12年)6月2日に意匠登録出願し、原審において拒絶査定がなされた後、手続き補正により、本意匠を意匠登録願2000年第14861号の意匠と表示する補正をして、関連意匠の意匠登録出願としたものであって、その願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、意匠に係る物品を「カラープリンタ用固形インクスティック」とし、その形態は、添付図面に示すとおりであって、意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものである。(別紙第1参照) 2.原審の拒絶理由 原審は、「プリンタ用固形インクにおいては、この出願前からその形状について全体を略直方体形状とし、その対面する二側面を種々の形状に凹ませることは広く知られており(例:引用文献1)、またこの凹部を平面視で点対称の位置になるように設けることも広く知られています(例:引用文献2)。この出願の意匠は、上記の出願前から広く知られた要素を組み合わせて、略直方体状の対面する二側面に、平面視で点対称の位置となるように台形状の凹部を設けてプリンタ用の固形インクとし、その上部を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分として現したものであると判断され、容易に創作することができたものと認めます。」として、引用文献1「1996年3月9日発行のドイツ意匠公報第1375頁に記載のプリンタ用固形インクの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH09027896号)」、および引用文献2「1998年1月24日発行のドイツ意匠公報第410頁に記載のプリンタ用固形インクの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH11041816号)」を示し、この意匠登録出願の意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとした。(各引用意匠は別紙第2参照) 3.請求人の主張の要旨 二側面に直線部分を有していない引用意匠1および引用意匠2を組み合わせたとしても、二側面に直線部分と凹凸部とを有し、かつ点対照的に配した意匠は、容易に創作できたということはできない。 本願意匠に見られるように、側面に直線部と凹凸部とを有する同種の物品について、意匠登録がなされている例をみても、本願意匠について容易に創作できたものであるとの認定は適切を欠く。 4.当審の判断 本願意匠は、意匠に係る物品を「カラープリンタ用固形インクスティック」とし、その形態は、平面視角丸矩形状の略直方体のインクスティックの長い方の各側面に、丸面状の凸状部分の左右両側に匙面状の凹状部分を左右対称状の連続面に形成して凹凸部分とし、これら両方の凹凸部分を互いに点対称状となるよう反対方向に寄せて形成した態様において、該インクスティックの上端寄りの周囲に示したジグザグ状の境界線から上部を形成している部分である。 意匠の創作においては、物品の形態の一部分を広く知られた形状に基づいて形成しているものであっても、その形状の変形、構成比の変更、組合せ等により構成態様に創意工夫をした結果、形態上の特徴を形成し、形態全体の基調にも大きな影響を与える要素となり得るものである。 確かに、この種物品の意匠として、本願意匠の出願前より、プリンタ用固形インクの形態の全体を略直方体形状とし、その対面する二側面に形成した凹み、すなわち凹部の形状も種々の態様のものが見受けられるところ、引用文献1に示した意匠については、凹凸部分を長い方の各側面全体に形成し、かつ互いに左右対称状であり、また、短い方の各側面には上端から下端に向かって次第に拡大した突出部を形成しているから、本願意匠のように、凹凸部分を互いに反対の方向に寄せて平面視点対称の位置となるように設けることが容易であると言える証拠には該当しないものである。また、引用文献2に示した意匠については、凹凸部分が左右対称状ではなく、互いに点対称状に設けているものの、本願意匠のようにその各側面に平坦面状部分を形成していないものである。 さらに、形態全体については、略直方体形状と言っても、面取りの部位や形状等によって形態全体の基調に影響を与えるものであるからその態様は多種多様であり、長短の両方の側面から成るプリンタ用固形インクにおいて、対面する2側面は2通り存在する点も考慮すると、これら広く知られた形状を組み合わせることにより、本願意匠の形態が容易に形成されるとは言いがたい。 そうしてみると、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとは言えない。 よって、本願は、原審において拒絶査定がなされた後に、本意匠を意匠登録願2000年第14861号の意匠と表示する補正をして、関連意匠の意匠登録出願としているから、本願意匠と本意匠の類比について検討すると、両意匠は、その形態の具体的な態様において、凹状部分に対する凸状部分の左右幅の比に軽微な差異が認められるほかは共通し、全体として互いに類似するものと認められる。 5.むすび したがって、本願意匠は意匠法第3条第2項の規定に該当し拒絶すべきものであるとした原審の拒絶査定は、違法になされたものと言わざるを得ず、取り消しを免れない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 以上のとおりであるから、本願意匠は、本意匠を意匠登録願2000年第14861号の意匠とする関連意匠として登録すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2004-01-19 |
出願番号 | 意願2000-14860(D2000-14860) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(H5)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中田 博康 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
永芳 太郎 鍋田 和宣 |
登録日 | 2004-03-12 |
登録番号 | 意匠登録第1203944号(D1203944) |
代理人 | 加藤 和詳 |
代理人 | 中島 淳 |