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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) J1
管理番号 1093327 
判定請求番号 判定2003-60042
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2004-04-30 
種別 判定 
判定請求日 2003-05-30 
確定日 2004-03-22 
意匠に係る物品 標尺 
事件の表示 上記当事者間の登録第994608号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面に示す「標尺」の意匠は、登録第994608号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求の趣旨及び理由
請求人は、結論同旨の判定を求める、と申し立て、その理由として判定請求書の記載のとおりの主張をし、証拠方法として意匠登録第994608号の原簿謄本及びその意匠公報の写し並びにイ号図面の書証を提出したものである。
第2.被請求人の答弁の趣旨及びその理由
被請求人は、イ号図面に示す「標尺」の意匠は、登録第994608号の意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない、との判定を求めると答弁し、その理由として答弁書に記載のとおりの反論をしたものである。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠(登録第994608号意匠)
本件登録意匠は、平成7年12月29日の意匠登録出願に係り、平成9年6月27日に登録の設定がなされたものであり、その願書の記載及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「標尺」とし、形態を願書及び願書に添付された図面に表されたとおりのものである(別紙第一参照)。
2.イ号意匠
本件判定請求の対象とされるイ号意匠は、判定請求書によれば、意匠に係る物品が「標尺」であり、その形態はイ号図面に表されたとおりのものである(別紙第二参照)。
3.両意匠の比較検討
両意匠は、意匠に係る物品がともに「標尺」であって共通し、その形態については、主として以下の共通点と差異点が認められる。
すなわち、共通点として、(1)縦細長の矩形平板状の標尺であって、正面及び背面に目盛線と目盛数字を付し、長手方向の両端部に金具を取り付けた基本的構成、(2)正面の目盛線について両側縁に対称に設け、一定間隔毎に、先端を略三角形状とする短線を繰り返して配し、これを一単位とし、この間にさらに目盛線を櫛目状に4本付して、その下から3番目の目盛線の内側に目印となる図形を付した点、(3)正面の目盛数字として、幅中央の左右目盛線の間に数字をゴシック体状の縦向きに表し、下端より上方に向かって単位毎に「1」から「9」までの数字を順に繰り返して表し、10単位毎の表示を1桁の加算表示としている点、(4)正面について、2単位毎に明調子と暗調子を交互に塗り分けて縞模様にし、暗調子の部分については、左右の目盛線及び中央の目盛数字との間に極僅かな幅の隙間を残して、これら目盛線及び目盛数字を避ける態様で2単位毎に目盛数字を取り込む態様で表されたものである点、(5)背面の目盛線について、右側縁のみに設け、正面の右側目盛線と同様の態様でやや長めに表した点、(6)背面の目盛数字について、目盛の左方にゴシック体状の横向きの数字を単位毎に順次上方へ繰り返し10単位毎に1桁の加算表示として表した点、(7)上端の金具を、断面逆U字状の等幅のものとし、下端の金具をこれより稍幅のあるものとし、下端寄りを略矩形状に刳り抜き、これを片側に倒した点、が認められる。
一方差異点は、(イ)全体の長さについて本件登録意匠は20単位であるのに対して、イ号意匠は、50単位で横幅に対する長さが本件登録意匠登録の2.5倍である点、(ロ)各単位の中間の目印となる図形を、本件登録意匠は三角形としたのに対して、イ号意匠はダイヤ形とした点、(ハ)背面塗り分け模様を本件登録意匠は10単位毎としているのに対し、イ号意匠は2単位毎とし、暗調子の部分の左側縁に極小幅の余地を残して枠取り状に表している点、が主として認められる。
そこで上記の共通点と差異点につき、イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かの判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
まず、両意匠において共通する基本的構成の(1)については、両意匠の全体の骨格を成し、(2)乃至(7)の各態様と一体となって全体の基調を形成している。とりわけ両意匠の目盛線、目盛数字および塗り分けの具体的な表現の酷似性は、正面の表現を左右対称のものとしている共通性とも相関連して両意匠の共通感を看者に強く印象づけており、意匠全体として、これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいといわなければならない。
これに対して前記差異点(イ)は、この種物品分野においては従来から横幅に対する長さ、或いは単位数の違う何種類もの仕様のものが用意されていることが通常であり(例えば、平成6年6月21日タジマツール営業部発行の「7タジマツール ホットニュース 雨・錆なんのその」第2,3頁掲載の製品名「シムロンロッド」とする標尺(特許庁意匠課受入1995.3.3、意匠課公知資料番号HN07006237号))、長さの差、或いは単位数の差を形態上の特徴として大きく評価できず、両意匠においても目盛線、目盛数字、或いは塗り分けについての具体的な表現の共通性を凌いで形態を特徴付けるものとは到底いえず、類否判断に及ぼす影響は微弱で、(ロ)の点については、極小さなもので凝視して見なければその形状の相違に気づきにくいほどのものであって、共通する構成態様の中での微差に止まる。(ハ)について、塗り分けの単位数の違いがイ号意匠において特に独自性を備えるものでなく、両意匠の塗り分けの単位についてはそれぞれが格別独自の特徴ともいえず(前掲事例参照)、左側縁の余地も極幅狭で前記した共通点を凌いで両意匠を別異に特徴付けるまでのものとは到底いえない。
さらにこれらの差異点が相俟って表出する効果を勘案しても、各共通点から惹起される両意匠の共通感を凌ぐ効果を認めることができない。
上記のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態において共通する態様は相俟って両意匠全体に共通する基調を形成しており、これに対して各差異点は、いずれも類否判断に及ぼす影響が微弱なものであってこの基調を覆すに至らず、全体として共通点が差異点を凌駕して類否判断を支配するというべきものであるから、イ号意匠は、本件登録意匠に類似することを免れない。
従って、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論の通り判定する。
別掲
判定日 2004-03-10 
出願番号 意願平7-39640 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (J1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鍋田 和宣 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 1997-06-27 
登録番号 意匠登録第994608号(D994608) 
代理人 木村 高明 
代理人 杉村 興作 

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