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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) D2
管理番号 1094839 
判定請求番号 判定2003-60096
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2004-05-28 
種別 判定 
判定請求日 2003-12-09 
確定日 2004-03-29 
意匠に係る物品 座椅子 
事件の表示 上記当事者間の登録第1010563号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「座椅子」の意匠は、登録第1010563号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号図面及びその説明書に示す「座イス RZF-103」(以下、「イ号意匠」という。)は、意匠登録第1010563号(以下、当該意匠を「本件意匠」という。)に類似する意匠の範囲に属す、との判定を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張した。
本件意匠とイ号意匠との形態を全体観察すると、看者が両意匠を比較対比したときには、本件意匠よりもイ号意匠の方が、背フレーム部(審決注:「背凭れ部」の誤記と解せられる。)の上部が下部よりも幅狭となるように上部左右コーナーを面取りされていることが相違点として確認されるが、両意匠の比較を時間的又は空間的間隔を置くことにより、両者の違いが表現できない程度のものであり、その違いは設計的微差に過ぎない。
また、イ号意匠の背フレーム部の上部が略T字状に背凭れ部の背後に露出して接続され、可撓性管の一部は幅狭の蛇腹となっている相違点についても、看者が意匠の創作を比較検討するのは、背フレーム部より前の座部の方向からであり、かつ、両意匠の比較を時間的又は空間的距離を置くことにより、前記差異点は印象に残らない程度の意匠の創作性の違いに過ぎないものであるから、設計的微差に過ぎない。
したがって、本件意匠とイ号意匠とを全体観察しても、両者の相違点は設計的微差に過ぎないから、本件意匠とイ号意匠とは互いに類似するものである。
第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、イ号図面及びその説明書に示す「座イス RZF-103」の意匠は、登録第1010563号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない、との判定を求める、と答弁し、その理由として、要旨以下のとおり主張し、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
座部について、本件意匠では正面視において中央を窪ませて略凹状に湾曲させているのに対して、イ号意匠では正面視において座面が平板状である点において差異があり、背凭れ部について、本件意匠では正面視において底辺が大きい正の曲線であり、かつ上辺が底辺よりも小さい曲率の正の曲線であり、全体が曲線で形成されると同時に、背面板よりもクッション部の上側が突出しているのに対して、イ号意匠では、正面視において横長の長方形であり、四隅を角丸とし、両上隅の角丸が両下隅の角丸よりも大きい曲率の角丸とし、背面板とクッション部とが略同一同大形状である点において大きい差異があり、背フレーム部について、本件意匠では正面視において幅広の表面が平滑な略J字状であるのに対して、イ号意匠ではその大部分が蛇腹状である正面視において幅広の略J字状であり、しかも凭れ部への接続部は略T字状である点において差異がある。
このように、イ号意匠は本件意匠と比較して大きく差異があるもので、しかもこの種の意匠では正面視及び平面視に一番着目すべき部分があるところ、座面、背凭れ部、背フレーム部については極めて顕著な差異が見られるばかりか、これらの差異によって本件意匠にあっては全体として丸みのある平滑な柔らかい印象を与えるのに対し、イ号意匠ではがっちりとした硬質的な印象を与える。これを微差であるとして双方が類似しているとの請求人の判断は到底採用されるものではない。また、本件登録意匠が登録されたときの請求人の別の意匠との関係から判断しても、イ号意匠が本件意匠に類似するとするのは合理性を欠くものである。
第3.当審の判断
1.本件の請求の趣旨
請求人は、判定請求書の請求の趣旨の項において、イ号図面及びその説明書に示す「座イス RZF-103」は、意匠登録第1010563号に類似する意匠の範囲に属す、との判定を求める、と申し立てているが、判定請求書の請求の趣旨の項及び請求の理由の項において請求人の述べるところ全体によれば、本件の請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に示す「座イス RZF-103」の意匠は、登録第1010563号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求める、であると認められる。
2.本件意匠
本件意匠は、平成8年5月28日に意匠登録出願をし、平成10年3月6日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1010563号意匠であり、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「座椅子」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。
3.イ号意匠
イ号意匠は、その形態を、判定請求書に添付のイ号図面及びその説明書により示すとおりとするものであって、意匠に係る物品が「座椅子」と認められる(別紙第2参照)。
4.本件意匠とイ号意匠の対比検討
本件意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については主として以下の共通点及び差異点がある。
先ず、共通点として、全体が、座部と背凭れ部と背フレーム部から成る背座部に回転座を組み合わせたものであって、座部を、平面視略隅丸方形状の厚手の板状とし、背凭れ部を、背面板前方にクッション部を当てて成る、座部よりやや幅狭で正面視漸次上窄まり状の厚手の板状とし、側面視J字状に曲げたやや厚手の帯板状の背フレーム部で座部下面と背凭れ部背面板とを略直角に接続して背座部を構成すると共に、座部下方に座部と同程度の幅の略偏平円錐台状の回転座を配して、座部を回動自在に軸支した構成態様としている点がある。
一方、差異点として、(1)背凭れ部につき、本件意匠は、正面視略半円形状で、下辺を緩やかな凸弧状辺とし、両下隅を隅丸としたものとし、クッション部が背面板上方にはみ出すように背面板をクッション部より一回り小さくしているのに対して、イ号意匠は、正面視略横長隅丸台形状で、両上隅を両下隅よりも丸みの大きいものとし、クッション部と背面板を略同形同大としている点、(2)背フレーム部につき、本件意匠は、座面幅の略30%のかなり広幅なものとし、表面を平滑面状とし、背面板下端内方に入れて取り付けており、また、背フレーム部から連続状に背面板下側に略倒コ字状の線状を表しているのに対して、イ号意匠は、座面幅の略16%の幅とし、上下部を除く大部分の表面を蛇腹状とし、上部を略T字状として背面板略中央に露出して取り付けている点、があり、その他に、(3)座部につき、本件意匠は、正面視緩やかな凹弧状に湾曲しているのに対して、イ号意匠は、略平坦状である点、がある。
そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点のうち、座部と背凭れ部と背フレーム部から成る背座部における両意匠の共通態様は、背座部の具体的な態様について(1)ないし(3)の差異点がある中で、単に背座部の態様の概容において両意匠共通するに止まるものであり、しかも、その態様は、例示するまでもなく椅子の意匠の分野において従前から見られるものであって、格別のものではなく、また、座部下方に座部と同程度の幅の略偏平円錐台状の回転座を配して、座部を回動自在に軸支した態様とすることも、座椅子の意匠の分野においてありふれた態様であり、以上の点を考慮すると、背座部に回転座を組み合わせて成る両意匠の共通態様は、格別のものとはいえず、それのみをもって両意匠の類否を決するほどの特徴とはなり得ないというべきであり、共通点が類否判断に及ぼす影響は、さほど大きいものではない。
一方、差異点につき、(1)の点は、背凭れ部の態様を具体的にあらわすところであるが、その態様は、形態全体の中でかなりの部分を占めており、顕著に観察される形態上の主要な部分に係るものであることを考慮すると、共通態様に格別の特徴の認められない両意匠にあっては、形態全体の基調の形成に強く関わるものといえるところ、背凭れ部について、本件意匠は丸い印象を、イ号意匠は四角い印象を、それぞれ看者に与えるものといえ、その印象は大きく異なり、してみると、その差異は、両意匠を別異の基調のものと看者に印象付ける効果を発揮するものであって、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものといえる。
(2)の点についは、背フレーム部の態様を具体的にあらわすところであるが、とりわけ、座面幅に対する背フレーム部幅の差異は、本件意匠は太首でイ号意匠は細首との印象を強く惹起しており、その他に表面態様の差異と背面板への取り付け態様の差異もあり、結局のところ、背フレーム部の差異は、(1)の背凭れ部の差異にさらに加わることで、両意匠が別異の基調のものとの印象を決定付けているといえる。
その他、(3)の点については、両意匠の座部の態様はいずれもありふれたものであり、その差異は特に看者の注意を惹くものではなく、両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
以上によれば、両意匠の形態についての共通点が類否判断に及ぼす影響は、さほど大きいものではないのに対して、とりわけ、(1)と(2)の差異点は、相俟って共通点を凌駕するものであることは明らかであり、その他に(3)の差異点もあり、したがって、意匠全体として、イ号意匠は、本件意匠に類似するものとはいえない。
5.結び
以上のとおりであって、イ号意匠は、本件意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2004-03-17 
出願番号 意願平8-15549 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (D2)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 遠藤 行久 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 伊藤 晴子
渡邊 久美
登録日 1998-03-06 
登録番号 意匠登録第1010563号(D1010563) 
代理人 濱田 俊明 
代理人 樋口 武尚 
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