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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする F3
管理番号 1099790 
審判番号 無効2003-35419
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-06 
確定日 2004-06-17 
意匠に係る物品 タックラベル 
事件の表示 上記当事者間の登録第1174672号「タックラベル」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1174672号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、登録第1174672号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1.本件意匠登録を無効とすべきである理由1
甲第1号証は、エーワン株式会社のホームページ上で公開された新商品紹介の画像を印刷したものである。これによれば、「品名:マルチプリンタラベル 品番:31343/31344」の発売日が本件登録意匠の出願前の平成14年8月19日であることが明確に示されている。甲第2号証の2によれば、本件登録意匠の出願時に提出された見本の裏面には、品番を示す「31343」と「31344」とが明確に現されている。すなわち、出願時に見本として提出されたタックラベルは、出願前である平成14年8月19日に既に販売が開始されたものであるため、この見本によって現される本件登録意匠は、意匠登録出願前に日本国内において公然知られた意匠と同一のものとなる。したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものである。
2.本件意匠登録を無効とすべきである理由2
甲第3号証は、本件登録意匠の出願前、遅くとも平成14年3月31日までにアスクル株式会社により発行されたカタログ「2001秋・冬号Vol.9No2」第372頁である。また、甲第4号証は、甲第3号証のカタログに記載され、エーワン株式会社より販売されているタックラベル(品名:インクジェットプリンタラベル 品番:28919)である。すなわち、甲第4号証のタックラベル(以下、先行意匠1という。)は、遅くとも平成14年3月31日までに販売が開始され、公然知られる状態に至ったタックラベルである。したがって甲第3号証と甲第4号証とによって甲第4号証の先行意匠1が本件登録意匠の出願前に公知であったことが明白となる。
本件登録意匠と先行意匠1を比較すると、いずれも裏面は全く同一であり、先行意匠1の表面に形成された12枚のラベルには文字が全く記載されていないのに対して、本件登録意匠の12枚のラベルにはそれぞれの下辺付近に文字が記載されているという相違点がある。
しかしながら、各ラベルに記載された「このラベルは紙製品に貼ったままリサイクルできます。」という文字は、専ら、ラベル使用者に対する情報伝達のための文字であり、模様を構成するものではない。すなわち、文字が見本中に現されていても、ただ単に削除を要しないとして残っているに過ぎない。したがって、意匠を構成しない文字を捨象して、本件登録意匠と先行意匠1とを対比すると、両者は、全く同一の意匠となり、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第1号の規定により意匠登録を受けることができないものである。
各々のラベルに文字が一直線上状に記載されているという形態の意匠であると認定しても、本件登録意匠は、先行意匠1に類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。すなわち、同種商品を購入する需要者は、A4サイズの各用紙にラベルが何面設けられているかに注意して購入するため、裏面の模様に注意しないのと同様に、表面の文字には、全く注意することがない。各々のラベルに付された文字は、それを模様として認識したとしても意匠の要部を構成するものではなく、文字を加えることは意匠としては微細な形態に過ぎない。
3.本件意匠登録を無効とすべきである理由3
甲第5号証は、タックラベル(品名:環境に配慮したタックシール 品番:WOP861/WGB861)が本件登録意匠の出願前、平成14年7月11日に、「第13回国際文具・紙製品・事務機器展」において展示され、公然知られる状態に至ったことを、この見本市の主催者である社団法人全日本文具協会が証明した証明書である。
本件登録意匠と甲第5号証のタックラベル(以下、先行意匠2という。)とを比較すると、表面は各々のラベルの下辺に一直線状に文字が記載されている点を含めて全く同一である一方、裏面に記載されて専らラベル使用者に対する情報伝達のための文字が相違する。
しかしながら、本件意匠権者は、出願当初に「裏面は無模様である。」と願書に表記したように、タックラベルの裏面は意匠を構成しないと判断している。常識的には、この物品の購入者は裏面の記載を見て購入することはなく、裏面に記載された文字は、専ら情報伝達のためだけに使用されているものであって模様と認められず意匠を構成しないだけでなく、意匠に係る物品の観察者によって注視されることはない。
したがって、裏面に現された文字等による形態が、意匠の要部を構成することはなく、本件登録意匠は、表面の形態が同一である先行意匠2に類似することになり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。
さらには、本件登録意匠と前述の先行意匠1とは、裏面の形態が同一であるため、本件登録意匠は、表面が同一の先行意匠2と裏面が同一の先行意匠1とに基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであり、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである。
第2.被請求人の答弁
当審は、本件審判請求書の副本を被請求人に送達し、期間を指定して答弁書を提出する機会与えたが、被請求人からは何らの応答もない。
第3.当審の判断
請求人は、本件意匠登録を無効とすべきである理由として、理由1ないし理由3を主張するので、そのうち、まず、理由2について判断する。
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年9月26日に意匠登録出願をし、平成15年4月4日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1174672号意匠であり、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「タックラベル」とし、その形態を願書の記載及び願書に添付した図面代用見本に現されたとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.甲号意匠
請求人が本件意匠登録を無効とすべきである理由2の証拠方法として示す甲第3号証及び甲第4号証のうち、甲第3号証のカタログ「ASKUL2001秋・冬号Vol.9No.2」は、表紙右下の「カタログ有効期限2002年3月31日」との記載によれば、本件登録意匠の出願前の遅くとも平成14年3月31日までに、アスクル株式会社により発行されたものと認められ、甲第3号証に示す意匠(以下、「甲号意匠」という。)は、同カタログの第372頁最下段図版部に「A4 12面」3、9として掲載されたインクジェット用ラベルの意匠であり、その形態は、同カタログ掲載の図版及びその関連記事に現されたとおりである(別紙第2参照)。
3.本件登録意匠と甲号意匠の対比検討
本件登録意匠と甲号意匠を対比するに、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態については、主として以下の共通点と差異点がある。
[共通点]
印刷する側を表面として、表面側の印刷用紙と裏面側の剥離台紙とが貼り合わされた、全体形状が縦長長方形状のシート状のものであり、表面側において、縁部全周に細幅の余白部を設け、この余白部の内側の縦長長方形状面を、余白部との境界線も含んで、長辺と平行に3本、短辺と平行に7本、直線状の切取線を入れて、等分に分割し、縦2列横6段に区画された12面の横長長方形状のラベルを形成している点。
[差異点]
本件登録意匠は、裏面側において、商品の使用説明等の必要事項を記載する範囲を囲う大小の略長方形状の枠線を表しているのに対して、甲号意匠は裏面側の態様は不明である点。
そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点は、この種タックラベルの分野においては格別の態様とはいえないものの、とりわけ、この種意匠の主要部といえる表面側の態様が両意匠共通していることから、両意匠の形態全体の基調を形成し、両意匠間に強い共通感をもたらしているものといえ、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。
一方、差異点については、この種タックラベルの分野において剥離台紙面に商品の使用説明等の必要事項を記載する範囲を囲う枠線を表すことは、甲第5号証に示すタックラベルの意匠などにも見られるように、本件登録意匠の出願前に普通に行われており、また、この種意匠において、裏面側は専ら商品の使用説明等の必要事項が記載される面であり、需要者が購入時に裏面側の態様に注意を向けることはほとんどないことから、裏面側の態様は看者の注意を惹くほどのものではなく、さらに、甲第3号証のカタログの場合のように、この種意匠のカタログにおいては意匠の裏面側は開示されていないのが普通であることからも、この種意匠の裏面側は、意匠の主要部とはいえず、以上を総合すると、裏面側の態様についての差異点は、両意匠の類否判断を左右するものではない。
したがって、共通点が差異点を凌駕することは明らかであり、本件登録意匠は、意匠全体として、甲号意匠に類似するものである。
4.むすび
以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当するものであり、同法同条第1項の規定に反するにもかかわらず登録されたものであるから、その登録は、同法第48条第1項第1号に該当し、その余の請求の理由について判断するまでもなく、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-04-16 
結審通知日 2004-04-20 
審決日 2004-05-06 
出願番号 意願2002-26297(D2002-26297) 
審決分類 D 1 11・ 113- Z (F3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 永芳 太郎 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 渡邊 久美
市村 節子
登録日 2003-04-04 
登録番号 意匠登録第1174672号(D1174672) 
代理人 筒井 大和 
代理人 小塚 善高 
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