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審決分類 審判 補正却下不服  物品(物品の説明を含む) 取り消す F4
管理番号 1106051 
審判番号 補正2002-50053
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-12-24 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 2002-07-02 
確定日 2003-09-19 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2000- 25520「包装用容器」において、平成13年12月14日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原決定を取り消す。
理由 [1]本願は、2000年(平成12年)3月17日ドイツ国にした出願に基づきパリ条約第4条の規定による優先権を主張した、平成12年9月12日の意匠登録出願であって、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、その形態が願書に添付した図面に記載されたものである。
[2]出願人は、平成13年12月14日付で手続補正書を提出し、「意匠に係る物品の説明」の欄に、「『使用目的』本願意匠に係る物品は、電子計算機本体等をその包装部に包装することにより、粉塵や湿気の多い工場の環境の中でも電子計算機等の使用を可能にする。『使用方法・状態』包装される対象物は、『参考図』に示すように様々な表示態様を持つ電子計算機等である。」と追加記載し、併せて、右側面図、左側面図、平面図、底面図を変更し、正面図中央縦断面図、及び参考図を追加した。
[3]この手続補正書について原審は、以下の理由で、意匠法第17条の2第1項の規定により、却下をすべきものと決定した。
この手続補正書により、願書の記載及び願書に添付の図面を変更、追加したが、当該物品は、電子計算機本体を収納して電子計算機の一部を構成する筺体であり、出願当初の、持ち運び等にあたって内容物を保護しようとする包装用容器とは使用の目的、使用の状態が明らかに異なり、これらの補正内容は、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず、また、当該補正は、本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものであることから、上記手続補正書による補正は、出願当初の願書の記載の要旨を変更するものと認められる。
[4]出願人は、この決定を不服として、本件審判を請求したものである。
[5]そこで原決定の当否について検討する。
本願意匠は、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、願書に添付した図面に、正面視が横長方形状で、前後方向にやや奥行きのある筒状の枠体において、前面側が額縁状に形成されて前面板が嵌め合わされ、背面側が背面板で塞がれた筺状のものが記載されている。
原審が却下すべきものと決定した平成13年12月14日付の手続補正書による補正は、本願意匠が、その使用の目的を、室内の粉塵や湿気等から電子計算機等の機器類を保護するために、これらの機器類を収納、保管して使用するもの、との意匠に係る物品の説明である。なお、この手続補正書において記載されている「包装」の意味は、その記載の全体から「収容」或いは「保管」に近い意味と解される。
ところで、本願意匠は意匠に係る物品を「包装用容器」とするもので、経済産業省令で定める物品の区分を示す意匠法施行規則別表第一によれば、「32包装用容器、包装紙等」の下段に「包装用容器」と示されており、願書の意匠に係る物品の記載に基づく限り、原審が判断したとおり、商品販売に際して商品を入れたり、持ち運びに際して商品が破損しないように保護する容器、と解さざるを得ない面があるとしても、願書に添付した図面によれば、本願意匠が比較的硬質の素材で成型されたと認められる、稍奥行きのある額縁枠状のもので、商品を持ち運んだ後にそのまま使い捨てられるような、単に持ち運びを主目的とする簡易容器とは考え難く、むしろ、中にものをいれて恒常的に使用されるような容器と考えるのが自然であること、そして「包装」の意味するところが意匠法(意匠法施行規則)上はさておき、一般には「(1)うわづつみ(2)荷造り」(広辞苑第5版)、「(1)表面をつつむこと、(2)荷造り」(大漢語林初版)、或いは「物品をつつむこと」(新潮現代国語辞典第2版)とあり、必ずしも中に商品を入れて、持ち運びに際して商品が破損しないように保護するためでなく、やや広く、単にものを包んだり、中にものを入れて保護したりする意味でも使用されていることが否定できないこと、そして本願意匠は前面側が額縁状に構成されているのに対し、背面側は全体が背面板で簡略にビス止めされているに止まり、その形状は、前面側を何らかの表示面として、中にものをいれて設置されるようなもの、と考えられないわけでなく、これら願書の記載、及び添付図面の記載を総合して意匠を把握すれば、意匠に係る物品として記載された「包装用容器」の「包装」とは、むしろ「収容して保護する」或いは「保管する」等の比較的広義の意味で記載したものと解するのが自然で(この意味において、意匠に係る物品を「包装用容器」とするのは意匠法7条に照らして適切ではなく、適切な区分、或いはこれと同程度のものに補正がなされるべき余地がある。またこの手続補正書で追加された正面図中央縦断面図は、前面板、背面板を備えていないものが表されており、この点についての合理的な説明、或いは適切な補正がなされるべき余地がある。)、従って、本願について、手続補正書により、その使用目的が、室内等において各種の設備や機器等を保護したり保管したりすることにあると記載したとしても、出願当初の願書の記載、及び添付図面の記載の全体に照らせば、意匠の内容に実質的な変更があったものとすることができない。
従って、当該手続補正書でなされた願書の記載、及び添付図面の記載の補正は、出願当初の願書の記載又は願書に添付した図面の要旨を変更するまでのものとはいえず、この手続補正書による補正を意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした原審の決定は取消を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2003-09-03 
出願番号 意願2000-25520(D2000-25520) 
審決分類 D 1 7・ 2- W (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 濱本 文子杉山 太一 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 市村 節子
山崎 裕造
登録日 2004-09-10 
登録番号 意匠登録第1220893号(D1220893) 
代理人 久野 琢也 
代理人 矢野 敏雄 
代理人 ラインハルト・アインゼル 
代理人 山崎 利臣 

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