ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H5 |
---|---|
管理番号 | 1109717 |
審判番号 | 不服2003-14394 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-07-25 |
確定日 | 2005-01-11 |
意匠に係る物品 | インクボトル |
事件の表示 | 意願2002- 612「インクボトル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、2002年(平成14年)1月11日に意匠登録出願したものであって、願書の記載および願書の添付図面の記載によれば、意匠に係る物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、意匠に係る物品を「インクボトル」とし、意匠登録を受けようとする部分の形態を同図面に示すとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.引用意匠 原審の拒絶理由に示した引用意匠は、1997年(平成9年)4月28日に日本国特許庁が公開した公開特許公報に記載された、特開平9-109406号(発明の名称「インクジェットプリンタおよびインクカートリッジ」)の図3に示したインクカートリッジのうち、最も手前に表わしたものの意匠であって、同公報の記載全体によれば、意匠に係る物品を「インクボトル」とし、その形態を同公報に記載した図面に示すとおりとしたものである。(別紙第2参照) 3.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品の機能および使用目的が共通していると認められる。 しかしながら、両意匠の形態については 、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。なお、引用意匠については、奥ゆき(横幅)を短く表した左側面を本願意匠の正面図の方向として形態の認定をする。 先ず、共通点として、全体の位置について、本願意匠は、側面を奥ゆきの長い略角柱状に形成したインクボトルの側面の中央寄りに一周し凹溝状に形成している部分(以下。「凹溝部」という。)の形態に係り、引用意匠もこれに相当する部分の形態が認められる。 一方、具体的な態様の差異として、(1)凹溝部の上下両側部分について、本願意匠は、インクボトルの左右両側面の部分を正面および背面の各部分よりも勾配のある態様としているのに対し、引用意匠は、下側部分に水平状の部分が認められるほかは、具体的な態様が不明である点、(2)凹溝部の後部上側の態様について、本願意匠は、左右対称状に上側の上部を切り欠いた態様の部分を形成しているのに対し、引用意匠は、その様な部分を形成していない点、そして、(3)インクボトルの側面に占める凹溝部の縦幅について、本願意匠はやや広幅であるのに対し、引用意匠はごく細幅である点が認められる。 4.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点および差異点を総合して、両意匠の類否について考察すると、略角柱状の容器等において、その側面の中央寄りに一周して凹溝部を形成したものは、普通に見受けられる態様であって、凹溝部にも様々な具体的な態様を形成したものが見受けられ、それぞれの態様によって形態上の特徴を形成する要素となる場合があるから、前記共通点は、両意匠のみに認められるものとは言えず、直ちに両意匠の類否判断を左右するほどの要素とはなり得ないものである。 一方、前記差異点について検討すると、差異点(1)については、前記のとおり、両意匠は具体的な態様において顕著な差異が認められ、両意匠のいずれも、側面を奥ゆきの長い略角柱状としたインクボトルの側面の中央寄りに一周して形成した部分であって、比較的目に触れやすい部位の態様についての差異である点を勘案すると、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。差異点(2)については、本願意匠の形態の特徴を形成している要素であって、引用意匠には認められない態様であるから、その差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。これらの差異点に係る態様に加え、差異点(3)に係る態様が相乗した場合に生じる意匠的な効果により、差異点は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと言える。 以上のとおりであり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品の機能および使用目的が共通しているが、形態については、共通点は両意匠のみに認められるものとは言えず、直ちに両意匠の類否判断を左右するほどの要素とはなり得ないものであるのに対し、差異点に係る態様を総合した場合の意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと言えるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。 5.結び したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当しないものであり、原審の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2004-12-27 |
出願番号 | 意願2002-612(D2002-612) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H5)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 下村 圭子 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 小林 裕和 |
登録日 | 2005-01-21 |
登録番号 | 意匠登録第1232368号(D1232368) |