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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H5 |
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管理番号 | 1111261 |
審判番号 | 不服2003-20407 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-10-20 |
確定日 | 2005-01-07 |
意匠に係る物品 | インクカートリッジ |
事件の表示 | 意願2002- 29503「インクカートリッジ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.手続きの経緯 意匠登録出願人(本件審判請求人に同じ)は、2002年(平成14年)10月29日に、意願2002-29502号を本意匠(別紙第2参照。)として関連意匠の出願(別紙第1参照、以下、「本願意匠」という。)をしたところ、原審において、本願意匠は本意匠に類似する意匠と認められず意匠法第10条第1項の規定に該当しないから拒絶すべきものである旨通知がなされたのに対し、意見書を提出し、本願意匠は同本意匠の関連意匠として登録すべきものである旨主張したが、同主張を採用できないとして拒絶の査定がなされたため、同査定を不服として審判請求に及び、原査定を取り消し本願意匠を登録すべきものとの審決を求めると同時に、手続補正により本願の本意匠の表示を削除したものである。 2.本願意匠と本意匠の対比 本願意匠と本意匠は、いずれも意匠に係る物品が共通し、意匠登録を受けようとする部分の用途および機能が共通しているが、その形態については、主として以下のとおりの共通点および差異点が認められる。 先ず共通点として、意匠に係る物品の背面視右下に形成した部分であって、横長略矩形状の凹状部(以下、「凹状部」という。)の周囲にごく細幅の縁部を形成し、全体の横の長さを縦の長さの約2倍としている点が認められる。 一方、具体的な態様の差異点として、(1)凹状部の形成位置について、本願意匠は、右下隅部に形成しているのに対し、引用意匠は、右端の下端寄りに形成している点、(2)凹状部の態様について、本願意匠は、左側面および上面を凹状部背面(正面視横長略矩形状の垂直面部分)に対して垂直状とし、下面および右側面をそれぞれ開放しているのに対し、引用意匠は、左側面および上下両面を凹状部後面に対して垂直状とし、右側面のみを開放して上端の左右全幅に細幅の溝状部を形成し、凹状部背面の右側面寄りの上下両方にそれぞれ小さな突起を設けている点、そして(3)全体の縦横の長さの比について、引用意匠は本願意匠に比べてやや横長である点が認められる。 3.本願意匠と本意匠の類否判断 以上の共通点および差異点を総合し、意匠全体として両意匠の類否について考察すると、両意匠の形態についての前記共通点は、横長略矩形状の凹状部の周囲にごく細幅の縁部を形成し、全体の横の長さを縦の長さの約2倍としている態様にとどまるものであり、凹状部の具体的な態様については共通している点が認められず、両意匠の凹状部がいずれも意匠登録を受けようとする部分の大部分を構成している点を考慮すると、これら共通点が両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものにとどまる。 一方、前記差異点について考察すると、差異点の(1)および(2)に係る態様は、背面視のみならず、側方視のみならず底面視によっても認められる態様であって、両意匠の形態を具体的態様を形成して特徴づけている要素であり、両意匠に係るインクカートリッジを機器本体に着脱する際などに比較的注視する部位でもある点も勘案すると、これら具体的な態様についての差異は、両意匠の類否判断に与える影響が大きいものである。そして、これら差異点および差異点の(3)にかかる態様を総合した場合の意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと言える。 以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品および意匠登録を受けようとする部分の用途、機能が共通しているにもかかわらず、形態については、共通点が両意匠の類否判断に与える影響は微弱にとどまるものであるのに対し、差異点を総合した場合の意匠的な効果は両意匠の類否判断を左右するほどのものであるから、両意匠は、全体として互いに類似しないものであると言うほかない。 4.むすび したがって、本願意匠は、本意匠の関連意匠としての登録を受けることができないものであり、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとした原審の判断に誤りはない。 そして、前記のとおり、本願は、審判請求と同時に願書の本意匠の表示を削除する補正がなされているから、原審の拒絶の理由によっては拒絶できないものであり、また、当審において、他に拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2004-12-27 |
出願番号 | 意願2002-29503(D2002-29503) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 小林 裕和 |
登録日 | 2005-02-10 |
登録番号 | 意匠登録第1234248号(D1234248) |
代理人 | 恩田 博宣 |