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審決分類 |
審判 G2 |
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管理番号 | 1111305 |
審判番号 | 無効2004-88018 |
総通号数 | 63 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-03-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-08-10 |
確定日 | 2005-01-21 |
意匠に係る物品 | 自動車用ホイール |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1184841号「自動車用ホイール」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1184841号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1. 請求の趣旨及び理由の要点 審判請求人(以後、請求人という。)は、「登録第1184841号意匠(以下、本件登録意匠という。)の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、本件登録意匠は本件出願前に頒布された刊行物に記載された意匠と同一、若しくは、少なくとも類似するものであると審判請求書の記載のとおりの主張をし、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 第2. 答弁及び理由の要点 被請求人は、「登録第1184841号意匠の登録を無効とする審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由として、答弁書に記載のとおりの反論をし、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。 その答弁の趣旨は、概ね次のとおりである。 請求人の主張に対する認否として、本件登録意匠の説明の記載のうち、「D.さらに、上記各スポーク部はその長さ方向の中央部が最も外方に突出する」の記載、及び、本件登録意匠と証拠の意匠との対比の記載のうち、「甲第1号証と甲第2号証には本件登録意匠と実質的に同一の自動車用ホイールの意匠が開示されている。」の記載を否認し、意匠登録の理由の要点は争い、その他の記載は認めるとした。 そして、その理由を以下のとおり述べている。 (a)ディスクの表面を形成する湾曲面に差異がある。すなわち、ディスクの表面はすべて湾曲面で構成されているが、その湾曲面について、ハブ孔からの張り出しの湾曲度が本件登録意匠よりも引用意匠(甲各号証意匠)の方が大きく、また、最高位については、本件登録意匠はスポーク部より中心に近い部分であるのに対し、引用意匠(甲各号証意匠)はスポーク部のほぼ中央で、最高位からリム内面に接する湾曲面も本件登録意匠は大きな湾曲でリム内周面に近づき、寸前で小径の円弧によってリム内周面に接するのに対し、引用意匠(甲各号証意匠)は最高位からほぼ均一な径の円弧によってリム内周面に接している。 (b)外側孔壁面部の円弧状湾曲度に差異がある。すなわち、外側孔壁面部の3個のボルト孔がある面において、本件登録意匠は外周から約1/5の幅までは垂直面となっているが、残り4/5の部分は背面側へテーパ状に処理され、該垂直面はボルトの取付け孔を囲むように半円状に広がり、その半円形状の側面はテーパ面と結合するため円柱状が露出する形態となっているのに対し、引用意匠(甲各号証意匠)のボルトの取り付けられている面は全く平らであって本件登録意匠にあるようなテーパ面は見当たらない形態である。湾曲面の少しの変化によって看者に与える影響は大きく変わる場合があるが、今回の場合、最高位の位置がこれだけ違うことによる印象の違いは大きなものである。 以上のように、ディスク面の湾曲面と、外側孔壁面部のボルト取付面に大きな差異点が存在し、これら差異があるディスク表面とボルト取付面とを併せるとほとんど正面図全体となるから、差異は意匠全体の類否を左右するものである。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成14(2002)年9月5日に出願(意願2002-24103)され、平成15(2003)年7月25日に意匠権設定の登録がなされた意匠登録第1184841号であって、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品を「自動車用ホイール」とし、その形態を同図面記載のとおりとしたものである。 すなわち、(い)円形のディスクの外周縁にリムを一体に設けてなる自動車用ホイールであって、(ろ)ディスクは、その中心に円形のハブ孔を設け、且つ、このハブ孔の周囲から外縁がリムの内周縁に連なった6本のスポーク部を周方向に等間隔毎に放射状に設けていると共に隣接するスポーク部間にリムの内周縁に沿って長円形状の透孔を設けてなる形状を有し、(は)上記各長円形状の透孔は、リムの内周縁に沿う外側孔壁面部の円弧状湾曲面をディスクの中心側に向かって凸円弧状に湾曲した内側孔壁面部の湾曲部よりも緩やかな湾曲度に形成していると共に、これらの内外側孔壁面部よりも湾曲度の大きい両側孔壁面部の湾曲面によって上記スポーク部の長さ方向の中央部がくびれた形状に形成してあり、(に)さらに、上記各スポーク部は、全長に亘って凸円弧状に湾曲していると共に、上記各透孔の外側孔壁面部に、ディスクの外周縁をリムの内周縁に一体に固着させた3個のボルトを設けたものである。 さらに、(ほ)上記ハブ孔の周囲に5個のボルト孔と隣接するボルト孔間に該ボルト取付孔よりも小径の孔をそれぞれ周方向に等間隔毎に設けて、各スポーク部の湾曲の張り出しの最高位を中心に近い部分に置いて、最高位からリムに接する湾曲度をリム寸前で強めて形成し、透孔のリムの内周縁に沿う外側孔壁面部の円弧状湾曲面を平らな面で形成した。 2.引用意匠 甲第1号証意匠及び甲第2号証意匠は同一の意匠と認められ、すなわち、(イ)円形のディスクの外周縁にリムを一体に設けてなる自動車用ホイールであって、(ロ)ディスクは、その中心に円形のハブ孔を設け、且つ、このハブ孔の周囲から外縁がリムの内周縁に連なった6本のスポーク部を周方向に等間隔毎に放射状に設けていると共に隣接するスポーク部間にリムの内周縁に沿って長円形状の透孔を設けてなる形状を有し、(ハ)上記各長円形状の透孔は、リムの内周縁に沿う外側孔壁面部の円弧状湾曲面をディスクの中心側に向かって凸円弧状に湾曲した内側孔壁面部の湾曲部よりも緩やかな湾曲度に形成していると共に、これらの内外側孔壁面部よりも湾曲度の大きい両側孔壁面部の湾曲面によって上記スポーク部の長さ方向の中央部がくびれた形状に形成してあり、(ニ)さらに、上記各スポーク部は、全長に亘って凸円弧状に湾曲していると共に、上記各透孔の外側孔壁面部に、ディスクの外周縁をリムの内周縁に一体に固着させた3個のボルトを設けたものである。 さらに(ホ)上記ハブ孔の周囲に5個のボルト孔と隣接するボルト孔間に該ボルト取付孔よりも小径の孔をそれぞれ周方向に等間隔毎に設けて、各スポーク部の湾曲の張り出しの最高位を中心に近い部分に置いて、最高位からリムに接する湾曲度をほぼ均一に形成し、透孔のリムの内周縁に沿う外側孔壁面部の円弧状湾曲面を、垂直面とテーパ面とで円柱状が露出する形態に形成し、中央のハブ孔に蓋材をはめ込んで形成した。 3.本件登録意匠と引用意匠との対比 本件登録意匠と引用意匠とを比較すると、まず、意匠に係る物品については一致し、形態については、本件登録意匠と引用意匠の全体構成(い)と(イ)、同様にディスク部の構成形態(ろ)と(ロ)、同様に透孔の構成形態(は)と(ハ)、そして、同じくスポーク部の構成形態(に)と(ニ)は、ほぼ共通とするものの、各スポーク部の湾曲の張り出しの最高位の位置、該最高位からリムに接するまでの湾曲度、そして、透孔のリムの内周縁に沿う外側孔壁面部における円弧状湾曲面部の形状についてと、中央のハブ孔の態様に差異が認められる。 そこで以上の共通点と差異点を総合して両意匠を全体として検討すると、ほぼ共通とする点は両意匠の大部分を占め、両意匠の基調を形成し、強い類似性をもたらしていると認められる。 これに対し、差異点はいずれも類否判断を左右する要素とはなり得ない。 すなわち、各スポーク部が湾曲して張り出したところの最高位の位置や、該最高位からリムに接するまでの湾曲度についての差異は、両意匠のスポークとも凸円弧状に形成した中でのアールの状態に係るもので、その部位を克明に対比観察して初めて明らかになる程度の差異であるのに対して、共通するディスク部やスポーク部の態様は圧倒的な視覚効果が認められ、その中で上記差異は希釈されてしまい、類否判断に影響を及ぼすまでには至らない。 また、透孔のリムの内周縁に沿う外側孔壁面部の円弧状湾曲面部の形状についての差異は、本件登録意匠に形成された円柱状はボルトを中心に形成されたもので、ボルトを除いた円柱状のみを視認できるものでなく、むしろ、ボルトの存在を強調するものであるから、ボルト配置の共通性の前に希釈されてしまうものであり、しかも、本願意匠の円柱状は面積的に小さなものであるから円柱状にはさほどの視覚効果はなく、この差異の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 中央のハブ孔の態様について差異は、いずれの態様ともこの種物品分野にあってはありふれており、一般的改変の範ちゅうにあるもので類否判断に影響を及ぼすものではない。 結局、上記差異点はいずれも微弱なものにとどまり、それらが相まって奏する効果を検討しても、上記共通点を凌駕して両意匠を別異のものとする程のものとは認められない。 また、両意匠は上記のような差異点が認められるから、同一の意匠とまではいえないものである。 4.むすび 以上のとおり、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当し、同条柱書きの規定により意匠登録を受けることができないものであるから、同法第48条第1項第1号の規定により、無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2004-11-19 |
結審通知日 | 2004-11-24 |
審決日 | 2004-12-10 |
出願番号 | 意願2002-24103(D2002-24103) |
審決分類 |
D
1
113・
-
Z
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 富永 亘 |
特許庁審判長 |
藤木 和雄 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 岩井 芳紀 |
登録日 | 2003-07-25 |
登録番号 | 意匠登録第1184841号(D1184841) |
代理人 | 犬飼 達彦 |
代理人 | 岡田 英彦 |
代理人 | 福田 鉄男 |
代理人 | 石岡 隆 |
代理人 | 門奈 清 |