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審決分類 審判 補正却下不服  物品(物品の説明を含む) 取り消す F4
管理番号 1119495 
審判番号 補正審判1999-50133
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 1999-11-18 
確定日 2001-02-26 
意匠に係る物品 ブリスターパックホルダー 
事件の表示 平成10年意匠登録願第31号「ブリスターパックホルダー」において、平成11年6月14日付けでした手続補正に対してされた補正の却下の決定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原決定を取り消す。
理由 本願は、意匠に係る物品を「ブリスターパックホルダー」とする平成10年1月5日(パリ条約による優先権主張、1997年6月30日イギリス国)の意匠登録出願であって、その形態を願書に添付した図面に記載してなされたものである。
これに対し原審では、「この意匠登録出願の意匠は、願書の記載及び添付図面から総合して判断しても、使用の目的、使用の状態が不明であるから、意匠に係る物品を特定することができない。」として、工業上利用することができる意匠に該当しない旨の拒絶の理由を通知したところ、出願人は、意見書に代わる手続補正書(平成11年6月14日付)を提出し、願書に、意匠に係る物品の説明の欄を設け、「本物品は、ブリスターパック、すなわち、病院で入手する錠剤において、錠剤などを包装する一方が透明で膨らんでいる2枚重ねのシート状の包装済みのものを保持するためのホルダーであり、使用状態を示す参考図に表れているように、ブリスターパックを置いた上から固定具を押しつけることにより四方8カ所にある留め部にて固定され、2つに折り畳んだ状態として持ち運ぶものである。」と記載し、併せて使用状態を示す参考図を提出し、補正をされた。
原審は、この補正に対し、「・・・これらの補正は、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、出願当初の願書の記載及び添付図面を総合的に判断しても特定できなかった意匠の要旨を特定するものである。したがって、上記(平成11年6月14日付)手続補正書による補正は、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものと認める。」とし、補正の却下の決定をしたものである。
これに対し、審判請求人(出願人)は、補正の却下の決定の取消しを求め、審判の請求をしたものであるが、その主張は、当該手続補正書における意匠に係る物品の説明に記載した事項は、単に意匠に係る物品を説明したに過ぎないものであり、また、使用状態を示す参考図により新たに表した使用状態は、意匠に係る物品及び添付図面から容易に想起する事が出来る使用状態を単に表したに過ぎないものであって、この種意匠に属する分野における通常の知識を有する者が、当然に推定できる範囲内のものであり、出願当初の願書及び添付図面の要旨を変更するものではない、というものである。
そこで、上記決定の当否について検討するに、本願は前記のとおり、意匠に係る物品を「ブリスターパックホルダー」とするもので、これは、経済産業省令(旧通商産業省令)で定める物品の区分に掲げられた区分による出願ではなく、意匠に係る物品の説明もなされていなかったものであるが、「ブリスターパック(blister pack)」が、「プラスチックで商品を包んで台紙にはりつけたもの」(「小学館英和中辞典」昭和60年6月20日発行)を意味し、本願出願前に国内で使用されている外来語を収録した辞典にも「(商品や錠剤などの)プラスチック状の硬質透明カバーによる包装」(コンサイスカタカナ語辞典 1994年9月10日発行)と記載されていること、また「ホルダー」が「ささえるもの。はさむもの。」(「広辞苑」昭和48年発行版)を意味し、一般に「保持具」「固定具」等として使用されていると認められることから、意匠に係る物品の記載それ自体を、「商品、錠剤等を封入した台紙状の包装体(ブリスターパック)を保持するもの(ホルダー)」と解することが可能である。
そして、原決定の理由とする、出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても意匠の要旨を特定できない、との点につき、確かに、意匠に係る物品の記載する「ブリスターパック」は錠剤のみならず他のものも封入されることが想定され、「ホルダー」にも「ブリスターパック」に係わる様々の分野での(製造から取引段階を含めての)使用、様々な保持の態様、が想定されるとしても、本願に限ってみれば、その願書添付図面によれば、開閉する皿枠、及び2枚の板体には楕円孔が多数配列されており、且つ皿枠及び板体には対応する位置に着脱自在の嵌合部が認められることから、板体の楕円孔に、ブリスターパックの突出部(商品封入部)が嵌め合わされ、板体でブリスターパックの台紙部を押圧して固定するものと解することができ、さらには楕円孔の数、配列、また全体が開閉自在で、携帯時の便宜も考慮されていると認められること、等を総合すると、本願の意匠は、日常使用される錠剤等のブリスターパックの保持に関するもので、固定板でブリスターパックを押しつけて保持するもの、と解することが可能であり、出願当初の願書、及び添付図面に「意匠に係る物品の説明」或いは「使用状態を示す参考図」が記載されていなかったとしても、これにより、使用の目的、使用の状態が不明で意匠の要旨が特定できないとする原審の判断には無理がある。
そして当該手続補正書による補正は、この出願当初の願書及び添付図面の記載を総合して想定されるところを具体的に説明し、これに対応する使用状態を示したものであり、特殊な分野での使用、或いは想定できないような保持の態様を記載したものではなく、出願当初の意匠の内容を変更するまでのものとすることはできない。
以上のとおりであるから、当該手続補正書による補正が、「出願当初の願書の記載及び添付図面を総合的に判断しても特定できなかった意匠の要旨を特定するもの」とする原決定の理由には理由がなく、この補正を、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものとすることができず、原決定は取消しを免れない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2001-02-08 
出願番号 意願平10-31 
審決分類 D 1 7・ 2- W (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 遠藤 京子
特許庁審判官 市村 節子
西本 幸男
登録日 2005-07-15 
登録番号 意匠登録第1249387号(D1249387) 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 佐藤 一雄 
代理人 黒瀬 雅志 

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