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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 K3 |
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管理番号 | 1137824 |
審判番号 | 不服2005-14656 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2006-07-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-08-01 |
確定日 | 2006-06-01 |
意匠に係る物品 | コンバイン |
事件の表示 | 意願2004- 26923「コンバイン」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願意匠 本願意匠は、願書の記載および願書に添付した図面の記載によれば、2004年(平成16年)9月6日に、意願2004-26922号の意匠を本意匠とする関連意匠の意匠登録出願をしたものであって、意匠に係る物品を「コンバイン」とし、意匠に係る物品の部分の意匠登録を受けようとするものであり、その形態を同添付図面に表したとおりとしたものである。 (この審決に添付した図面第1参照。) 2 本意匠 本願意匠の本意匠(以下、単に「本意匠」という。)は、願書の記載および願書に添付した図面の記載によれば、本願意匠の出願と同日の2004年(平成16年)9月6日に、意匠登録出願をしたものであって、意匠に係る物品を「コンバイン」とし、意匠に係る物品の部分について意匠登録を受けているものであり(意匠登録第1239995号)、その形態を同添付図面に表したとおりとしたものである。 (この審決に添付した図面第2を参照。) 3 本願意匠と本意匠の対比 本願意匠と本意匠は、いずれもコンバインに係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、その機体正面の左右両端に取り付けた斜め上向きの刈取サイドカバーにそれぞれ設けて左右対称状に配置したライトの部分の意匠であるから、意匠に係る物品の部分の機能および構成位置が共通していると認められ、形態については、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。 先ず、共通点として、(1)全体の構成は、左右両方のライト部を、いずれも、正面視縦長の略長円形状の枠部(以下、「ライト枠部」という。)の内側に、正面視略半月状のリフレクタ部をその直線状部分を機体正面の内方に向けて設け、甲丸面状のレンズ部をライト枠部の前端に接合してライト部の前方を覆い、これらを互いに左右対称状に構成している態様が認められ、各部の具体的な態様について、(2)ライト枠部は、いずれも、縁部の機体正面の内方側の部分を略直線状とし、機体側面寄り部分を機体正面の内方側の部分よりも後方へ緩やかな弧状に形成している点、(3)リフレクタ部は、いずれも、全体が機体正面の内方にやや傾斜し、縁部の機体側面寄り部分を直線状部分よりも後方へ弧状に形成し、縁部の上側部分に略半円筒状の斜め下方に短く突き出た庇状部を形成し、内側の凹面状部分に竪組格子状の模様を施し、略中央に小柱状に突出したバルブ部を取り付けている点、(4)ライト枠部のリフレクタ部との間の上下両側部分の態様は、上側部分を略下弦の三日月状とし、下側部分を略鎌の刃状に現している点、そして、(5)レンズ部は、機体側面寄り部分をやや平坦面状とし、前方をやや外膨らみ状に形成し、全体を透明としている点が認められる。 一方、差異点として、(1)左右のリフレクタ部の態様について、本願意匠は、それぞれ1個であるのに対し、本意匠は、それぞれ上下2個が互いに接し、下側のリフレクタ部の庇状部が上側のものよりもわずかに大きい点、(2)ライト部全体の縦の長さについて、本意匠は本願意匠よりも長い点、そして、(3)本意匠は、リフレクタ部が互いに接した部分の左側の部分を前記略下弦の三日月状の部分よりも小さい痩せた略三角形状とし、右側の部分をそれよりも小さい縦長三角形状に現しているのに対し、本願意匠はそのような部分が現れていない点が認められる。 4 本願意匠と本意匠の類似性についての判断 以上の共通点および差異点を総合し、意匠全体として、両意匠の類似否類似すなわち類似性について考察すると、共通点(1)は、両意匠の形態全体の骨格的態様に係り、正面視略半月状のリフレクタ部の直線状部分を機体正面の内方に向けて構成した態様は両意匠に新規のものであって両意匠を特徴づける要素と言えるものであるから、両意匠の類似性に与える影響が大きいものである。共通点(2)は、リフレクタ部の側方視を可能にし、ライト部全体の側方視態様を特徴づける要素であり、共通点(3)は、リフレクタ部に新規の態様を形成し、ライト部全体の正面視態様を特徴づけ、前記共通点(2)に係る態様と相まって形態全体に与える影響が大きいから、両意匠の類似性に与える影響も極めて大きいものである。共通点(4)は、略下弦の三日月状の部分および略鎌の刃状の部分が、リフレクタ部を機体正面の内方にやや傾斜して構成している点と相まって特徴を形成し、形態全体の基調に影響を与えていると言えるから、両意匠の類似性に与える影響が極めて大きいものである。共通点(5)は、レンズ部の表面の形態としてはほかにも見受けられる態様に類すると言えるが、前記のとおり、リフレクタ部の縁部の機体側面寄り部分を直線状部分よりも後方へ弧状に形成しているため、全体の側方視態様に影響を与えているから、両意匠の類似性にも影響を与えるものである。そして、これら共通点に係る態様が相まって生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性を左右するほどの大きな影響を与えていると言える。 一方、前記差異点について考察すると、差異点(1)および(2)については、この種物品分野に限らず車両の分野において、リフレクタ部を1個設けることはライト部の構成態様として普通に行われ、本願意匠にのみ格別新規とは言えないものあり、また、形態全体の長さも、リフレクタ部の単なる増減に伴う必然的な変更の範囲にすぎず、両意匠に共通するとした形態全体の基調を変ずるほどのものでもないあるから、これらの差異が、両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。差異点(3)については、いずれも前記略下弦の三日月状の部分よりも小さく、形態全体としては限られた部分についての差異であり、また、略下弦の三日月状の部分および略鎌の刃状の部分のように形態全体の基調に影響を与えるほどの特徴を形成しているとは言い難いから、その差異が、両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。そうすると、差異点が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも微弱であるから、これらの差異点を綜合したとしても、その視覚的効果は両意匠の類似性を左右するほどのものとは言い難い。 したがって、本願意匠と本意匠は、意匠に係る物品が共通し、意匠に係る物品の部分の機能およびその構成位置についても共通し、その形態については、共通点に係る態様が相まって生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性を左右するほど大きな影響を与えているのに対し、差異点を綜合したとしても両意匠の類似性を左右するほどの影響があるとは言い難いから、両意匠は、互いに類似するものであると言うべきである 。 5 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定により、その本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができるというべきであるから、原審の拒絶査定は取消を免れない。 また、本願意匠について、他に拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2006-05-18 |
出願番号 | 意願2004-26923(D2004-26923) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(K3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 橘 崇生、中田 博康 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 上島 靖範 |
登録日 | 2006-07-07 |
登録番号 | 意匠登録第1279465号(D1279465) |
代理人 | 北村 修一郎 |