• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H5
管理番号 1137851 
審判番号 不服2005-20272
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-10-20 
確定日 2006-06-20 
意匠に係る物品 電子計算機用本体 
事件の表示 意願2004- 39425「電子計算機用本体」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は、平成16(2004)年12月24日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「電子計算機用本体」とし、その形態は、願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第一参照)。

第2 引用意匠
本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本願の出願の日前に、特許庁が平成12(2000)年7月4日に発行した意匠公報に記載された意匠登録第1077346号の意匠であって、同公報の記載によれば、意匠に係る物品を「電子計算機用本体」とし、その形態を同公報に表されたとおりとしたものである(別紙第二参照)。

第3 両意匠の対比
本願意匠と引用意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態については、主として以下の共通点と差異点が認められる。
両意匠については、以下の共通点が認められる。
(A)全体が、正面から見て、略矩形状の本体部と、それを支えるスタンド部から成り、本体部は、上方に表示部の区画、下方に操作部の区画を設けたものであり、表示部は本体部の大部分を占め、四方周囲にやや広い幅のフレーム部を形成して、その内方を画面部としたものであり、操作部は、横方向に略3等分に分割して、その中央部分の内側に挿入部を配したものである。
(B)操作部の形状について
操作部の中央部分の内方に、共に略横長矩形状であるディスク挿入部と記録媒体挿入部が上下に配されており、上側のディスク挿入部の縦幅及び横幅は、下側の記録媒体挿入部のそれよりも大きく表されている。操作部の右側部分には、小円形状の電源ボタンが配されている。
(C)フレーム部の形状について
フレーム部の内側の辺について、面取り状の傾斜面が形成されている。
(D)スタンド部の構成態様について
高さの低い支柱と平面視略円形状の支持体で形成されている。
また、両意匠については、以下の差異点が認められる。
(ア)操作部の構成態様について
本願意匠では、操作部の前面がフレーム部の前面と略面一致状に形成されている。これに対して、引用意匠では、操作部の中央部分がフレーム部よりも僅かに後方に形成され、操作部の左右の部分が中央部分よりも更に後方に形成されている。また、引用意匠の中央部分の下端は、左右の部分の下端よりもやや下方に突出している。
(イ)操作部前面の形状について
本願意匠では、操作部の左右の部分と中央部分の下寄りの部分が連続し、その全面に、横筋状の凹凸模様が形成されているが、引用意匠の操作部の左右の部分には、ほぼ全面にスピーカー用の極小孔が複数個配されている。
(ウ)端子部及び受光部の有無について
本願意匠の操作部の左側の部分には略矩形状の端子部が配されているが、引用意匠にはない。また、引用意匠の操作部の中央部分下寄りには略横長矩形状の受光部が配されているが、本願意匠にはない。
(エ)フレーム部の傾斜面について
本願意匠の傾斜面は急傾斜状であり、正面視二重枠線状に表されているのに対して、引用意匠は緩傾斜状であり、二重枠線状には表されていない。

第4 両意匠の類否の判断
両意匠の共通点及び差異点を総合し、意匠全体として両意匠の類否を検討すると、前記の共通点は、いずれも本願意匠の出願前にこの種物品において他にも見受けられる態様であって、それらの共通点が重なったとしても、格別看者の注意を惹くものとはいい難いから、類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。
これに対して、差異点については、以下のように、類否判断を左右するといわざるを得ない。
先ず、差異点(ア)については、本願意匠に見られる操作部とフレーム部の前面の位置関係は、引用意匠とは明らかに異なっており、引用意匠に見られる操作部中央部分と左右の部分との段差も、本願意匠には無いものであり、これらの構成態様の差異は看者の視覚的注意を惹くものであって、両意匠の印象を別異のものとしていることから、差異点(ア)は両意匠の類否判断を左右するということができる。
次に、差異点(イ)については、正面の下方という目につきやすい部位に関する差異であり、かつその占める面積も大きいことから、その差異は両意匠の視覚的印象を異にするものであり、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものといえる。
そして、差異点(ウ)及び(エ)についても、その差異が正面方向からはっきりと看取されるものであり、正面方向の形状特徴がこの種物品の類否判断に与える影響が大きいことを考慮すると、両意匠の視覚的印象に変化を与えているというべきであるから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱とはいえない。
そうすると、(ア)及び(イ)の差異点は、いずれも両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものであり、(ウ)及び(エ)の差異点と相俟って、形態全体について異なる美感を看者に与えることから、両意匠の差異点は共通点を凌ぐものであると認められる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態において、差異点が共通点を凌ぐものであるから、本願意匠は、引用意匠に類似する意匠とは認められない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当せず、原査定の拒絶の理由によっては、拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2006-06-06 
出願番号 意願2004-39425(D2004-39425) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 奥家 勝治 
特許庁審判長 西本 幸男
特許庁審判官 岩井 芳紀
小林 裕和
登録日 2006-07-07 
登録番号 意匠登録第1279347号(D1279347) 
代理人 特許業務法人日東国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ