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審決分類 |
審判 C4 |
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管理番号 | 1139448 |
審判番号 | 無効2005-88027 |
総通号数 | 80 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2006-08-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-11-29 |
確定日 | 2006-06-19 |
意匠に係る物品 | 美容マッサージ器具 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1219824号「美容マッサージ器具」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1219824号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下の主張をし、立証として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 登録第1219824号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)は、本件登録意匠の出願前に日本国内において頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第3号証に記載された意匠と同一若しくは類似するものであるから、意匠法第3条第1項第2号若しくは同項第3号に規定する意匠に該当し、意匠登録を受けることができない意匠であり、同法第48条第1項第1号の規定に該当し、無効とすべきものである。 即ち、本件登録意匠は、意匠に係る物品が「美容マッサージ器具」であり、その形態の要旨は以下のとおりである。 A 全体の基本的構成態様 (a)本体の両側板は略正三角形状である。 (b)両側板を繋ぐように上部頂部に円筒状の握り手部を設けている。 (c)下部の両頂部にそれぞれ円筒状の回転ローラーを取り付けている。 B 各部の具体的構成態様 (a)両側板は上下にやや長い二等辺三角形状である。 (b)両側板の前・後部の傾斜片が外方に緩やかな凸円弧状曲面に、底部片はやや小さな凹円弧状曲面に形成している。 (c)本体中央部に両側板を繋ぐように水平な中板が側板に固着されている。 (d)下部の回転ローラーは上部の握り手部と同径の太さである。 (e)回転ローラーの周側面に、ローラーと同長の長円形状板が3枚等間隔で張り付けられている。 そして、上記の基本的構成態様、及び具体的構成態様を同じくし、更に細部の形状においても一致し、少なくとも類似することが明らかな意匠が、甲第1号証ないし甲第3号証の刊行物に記載されており、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第2号、若しくは同項第3号に規定する意匠に該当する。 第2.被請求人の答弁 当審では、請求書の副本を被請求人に送達し、期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたが、被請求人からは答弁書の提出がなされなかった。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成16年2月20日に意匠登録出願をし、平成16年8月27日に意匠権の設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品が「美容マッサージ器具」であり、その形態が、願書及び願書に添付した図面に記載のとおりである。(別紙第一参照) 2.甲号意匠 請求人は、本件登録意匠と少なくとも類似する意匠が、その出願前に頒布された刊行物に記載されていた、として甲第1号証ないし甲第3号証を提出している。 甲第1号証は、東京都中央区京橋3丁目5番7号所在の主婦と生活社が、2002年(平成14年)4月9日に発行した雑誌「週刊女性」4月9日号の公告頁(第185頁)の写しであり、「なぜ、マイナスイオンでやせるの?」と題されて見開き状に掲載された広告記事の左頁に、「トルマリン・ビューティー・ローラー(ツインタイプ)」と表示された美容マッサージ器具の意匠が認められるものである(別紙第二、甲第1号証意匠参照)。 また甲第2号証は、東京都千代田区一番町25所在の株式会社宝島社が、2002年(平成14年)7月28日に発行した雑誌「別冊宝島」665号の第58頁の写しであり、その右下に、「トルマリンスプルトンビューティーローラー」と表示された美容マッサージ器具の意匠が認められるものである(別紙第二、甲第2号証意匠参照)。 更に甲第3号証は、株式会社ベネッセコーポレーション発行のカタログ誌「ベネッセ通販あなたにエールショップ2003年4月号別冊春号もっとキレイの素」の第29頁の写しであり、その下段に、「トルマリンビューティーローラー ツイン」と表示された美容マッサージ器具の意匠が認められるものである。(別紙第二、甲第3号証意匠参照)。 そして甲第1号証に記載の意匠、甲第2号証に記載の意匠、及び甲第3号証に記載の意匠は、形状が細部に至るまで一致していることが認められ、当審ではこれを「甲号意匠」として以下検討する。 3.本件登録意匠と甲号意匠の対比検討 本件登録意匠と甲号意匠とを対比するに、両意匠は意匠に係る物品が共通し、形状について、(1)略三角形状を呈する一対の側板と、これを繋ぐように、側板の頂部、及び左右の下角部に横架された、握り手、及び回転ローラーからなるものである点、(2)側板は、上下にやや長い略角丸二等辺三角状を呈し、前後の傾斜辺がごく僅かな凸曲状で、底辺が浅い凹曲状をなすものである点、(3)頂部に設けられた握り手は円筒状で、その両端に当たる側板外面に、薄い円盤状の留め具が配されている点、(4)両下角に配された回転ローラーは、握り手と略同径の円筒状で、その周面にローラーと同長の3枚の長円板が等間隔に張り付けられており、両端に設けられた短円柱状の突起が側板の角部に切欠かれた凹湾部に軸止状に嵌合されており、この凹湾部は全周がC字状に縁取られている点、(5)握り手と回転ローラーの間が仕切板で仕切られている点、が共通し、更に全体、及び各部の構成比率、細部の角丸や、凸曲、凹曲の度合いに至るまで共通している。そしてこれらの共通点は、両意匠の形態全体に亘るところをなして、全体の基調を形成しており、またこの共通点は両意匠の特徴を最もよく表すところであるから、類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものである。 一方差異点としては、両意匠には、外観上、類否に影響を及ぼすほどの差異を特に認めることができず、仮に極く小さな部分での寸法比率、形態処理等に若干の違いがあると仮定しても、その差異は類否判断に影響を及ぼすほどのものとは到底認められず、してみると、両意匠は共通点が差異を圧して類否を決定付けることが明らかであるから、両意匠は全体として類似するというほかないものである。 そして甲号意匠は、甲第1号証の刊行物に記載され、また甲第2号証の刊行物に記載され、更には甲第3号証の刊行物に記載されており、そしてこれら刊行物が、それぞれ、本件登録意匠の出願前に頒布されていたことは明らかであるから、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するというほかない。 4.むすび 以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するにもかかわらず意匠登録を受けたものであるから、その登録を無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2006-04-19 |
結審通知日 | 2006-04-21 |
審決日 | 2006-05-09 |
出願番号 | 意願2004-4812(D2004-4812) |
審決分類 |
D
1
113・
113-
Z
(C4)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
日比野 香 |
特許庁審判官 |
市村 節子 正田 毅 |
登録日 | 2004-08-27 |
登録番号 | 意匠登録第1219824号(D1219824) |
代理人 | 山本 哲也 |
代理人 | 村田 幸雄 |