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審決分類 |
審判 D4 |
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管理番号 | 1165668 |
審判番号 | 無効2006-88020 |
総通号数 | 95 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2007-11-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2006-12-20 |
確定日 | 2007-09-10 |
意匠に係る物品 | レンジフードフィルターの枠 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1279946号「レンジフードフィルターの枠」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1279946号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立て及び理由 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証を提出した。 1.意匠登録無効の理由の要点 本件登録意匠は、甲第1号証の意匠(意匠登録第960964号の意匠)と類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。 2.本件意匠登録を無効とすべき理由 本件登録意匠と甲第1号証の意匠の意匠に係る物品および形態の共通点及び差異点の評価に基づく類否の結論 (1)本件登録意匠と甲第1号証の意匠の意匠に係る物品は同一である。 (2)本件登録意匠と甲第1号証の意匠は形態に多数の共通点を有する。 共通点のうち、四隅正円形の押し圧は甲第1号証の意匠の特徴の1として高く評価されるべきものと考える。 他方、差異点は当業者であるならば通常に考えられる程度の微細なものである。 従って、形態の共通点は差異点を凌駕するため一般需要者は両意匠を全体として似ていると思うに違いないと考える。 (3)意匠に係る物品が同一で、形態が類似しているため、両意匠は類似するものと判断されるべきである。 第2.被請求人の対応 審判長は、請求人の申立てに対して、被請求人に、答弁書を提出する機会を与えたが、何ら応答がない。 第3.当審の無効理由通知 審判長は、被請求人に対して、次のとおり、無効理由を通知した。 「本件の意匠登録は、合議の結果、以下の理由によって無効とすべきものと認められます。これについて意見がありましたら、この通知の発送の日から30日以内に意見書の正本1通及びその副本2通を提出して下さい。 理 由 本件登録意匠は、その出願前に国内において頒布された特許庁発行の公開特許公報記載の平成11年特許出願公開第108408号(公開日:平成11年4月23日)の【図1】?【図5】に表された「レンジフード用フィルタ装置の保持枠」の意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号に該当するから、その意匠登録は、同法同条の規定に違反してされたものであり、その意匠登録を無効にすべきである。」 第4.無効理由の通知に対する被請求人の対応 被請求人に対して、上記無効理由を通知し、意見書を提出する機会を与えたが、被請求人から何ら応答がない。 第5.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、意匠登録原簿、出願書類によれば、平成18年2月17日の意匠登録出願に係り、平成18年7月14日に意匠権の設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「レンジフードフィルターの枠」とし、その形態は、願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.無効の理由として引用した意匠 当審において無効の理由として引用した意匠(以下、「引用意匠」という)は、本件登録意匠の出願前に国内において頒布された特許庁発行の公開特許公報記載の平成11年特許出願公開第108408号(公開日:平成11年4月23日)の【図1】?【図5】に表されたレンジフード用フィルタ装置の保持枠の意匠であって、その形態は、同公報の図面により表されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.両意匠の比較 (1)意匠に係る物品については、両意匠ともに、レンジフードのフィルタを保持するために使用される枠体であるから、共通している。 (2)次に、両意匠の形態については、以下の共通点及び差異点が認められる。 なお、本件登録意匠の向きを、正面図において90度右に回転させて、【図2】(A)を正面図とする引用意匠の向きに合わせて比較する。 すなわち、両意匠の形態は、全体を細幅の薄板体でやや縦長長方形の枠体としたものであり、枠体の構成について、上・下枠及び左・右枠をそれぞれ対をなし、上下枠を左右枠よりやや幅広とし、上・下枠の左右端部の背面側で左・右枠をそれぞれ当接し、当該4個所で小円形の押し圧をかけて留めたものとし、上・下枠について、外側辺の背面側に鉤形片を形成し、背面側の上下ほぼ中央に左右枠と当接する細幅帯状片を左右幅全体に亘って突設し、左・右枠について、外側辺から背面側へ屈曲させて、枠全体を断面L型とした点が共通している。 一方、両意匠には、主として、以下の点に差異が認められる。 すなわち、(ア)上・下枠の幅に対する左・右枠の幅について、本件登録意匠の方が引用意匠より僅かに細幅としている点、(ウ)下枠の中央上端部について、引用意匠は、前方へ僅かに突出する薄板片を設けて把手としているのに対して、本件登録意匠は、そのような把手がない点。 4.両意匠の類否判断 両意匠を全体として観察し、これらの共通点及び差異点の類否判断に及ぼす影響について、総合的に検討する。 まず、両意匠の共通点は、両意匠の形態全体の骨格をなすとともに、形態全体に係わるものであるから、看者に強い共通感を与えるものであり、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。 これに対し、差異点は、形態全体として観察した場合、次のとおり、いずれも微弱なものであって、類否判断に及ぼす影響は僅かなものである。 すなわち、差異点(ア)の左・右枠の幅の差は、僅かなものであるから、意匠全体から見れば、格別看者の注意を引くものとはいえず、この差異は微弱なものというほかない。差異点(イ)の把手の有無の差は、引用意匠に見られる把手は、意匠全体としてみた場合、極めて小さいものであり、ほとんど目立たないものであるから、部分的かつ微弱な差異といわざるを得ない。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、共通点が類否判断に大きな影響を及ぼすのに対して、各差異点は、いずれも微弱なものであって、それらの相まった視覚効果を考慮しても、両意匠の共通感を凌駕するものとはいえないから、本件登録意匠は、引用意匠に類似するものというほかない。 5.むすび 以上のとおり、本件登録意匠は、その出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し、その意匠登録は、同法同条の規定に違反してされたものであるから、同法第48条第1項の規定により、その意匠登録を無効にすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2007-07-17 |
結審通知日 | 2007-07-20 |
審決日 | 2007-07-31 |
出願番号 | 意願2006-3681(D2006-3681) |
審決分類 |
D
1
113・
113-
Z
(D4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 並木 文子 |
特許庁審判長 |
藤 正明 |
特許庁審判官 |
市村 節子 山崎 裕造 |
登録日 | 2006-07-14 |
登録番号 | 意匠登録第1279946号(D1279946) |