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審決分類 審判    D4
管理番号 1174165 
審判番号 無効2007-880012
総通号数 100 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2008-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-08-29 
確定日 2008-02-21 
意匠に係る物品 ミスト機能付き移動式扇風機 
事件の表示 上記当事者間の登録第1281627号「ミスト機能付き移動式扇風機」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1281627号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申し立て及び理由の要点
請求人は,「登録第1281627号意匠の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と申し立て,その理由として要旨以下のように主張し,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第10号証の書証を提出している。
<1>意匠登録無効理由の要点
1.登録第1281627号意匠(以下,「本件登録意匠」という。)は,甲第3号証に示すように、その出願前に外国において、公然知られた意匠、並びに、頒布された刊行物に記載された意匠であるから,意匠法第3条第1項第1号及び第2号の規定により意匠登録を受けることができないものであり,同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。(無効理由1)
甲第3号証に示された、表紙に「台中縣機器商業同業公會」と記載された外国刊行物は、中華民国94年(西暦2005年:平成17年)3月25日に発行されたものである。その第02頁に記載された「大農精密科技股▲ふん▼有限公司 TANONG PRECISION TECHNOLOGY CO.,LTD」の「扇風機」の意匠(以下、「引用意匠」という。)は、本件登録意匠と同一である。
2.本件登録意匠は、その意匠登録が意匠の創作をした者でない者であってその意匠について意匠登録を受ける権利を承継しないものの意匠登録出願に対してされたものであるから、意匠法第48条第1項第3号の規定により無効とすべきである。(無効理由2)
<2>無効理由1(意匠法第3条第1項第1号及び第2号)
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成17年12月21日に意匠登録出願されたものであり,その意匠登録第1281627号公報(以下、「本件意匠公報」という。甲第1号証。)によれば,(a)意匠に係る物品を「ミスト機能付き移動式扇風機」とし,(b)「本物品は、移動式車台上に扇風機、操作盤、および水タンクが設置され、該水タンクから延出する送水ホースが扇風機ファンの正面側および/または背面側に装着された少なくとも1個のノズルへ接続されてなるミスト機能付き移動式扇風機」、すなわち、ミスト機能を有し、かつ移動可能な「扇風機」に属するものである。そして、本件登録意匠の形態は、本件意匠公報の図面に記載されたとおりのものである。
なお、以下、本件意匠公報に掲載された全ての図面を総称するときは以下「本件図面」ということとし、意匠の方向を説明する際には、正面方向を「前」、背面方向を「後」、平面方向を「上」、底面方向を「下」として、説明する。
2.引用意匠
引用意匠は,中華民国94年(西暦2005年:平成17年)3月25日に発行された、表紙に「台中縣機器商業同業公會」と記載された外国刊行物の第02頁に記載された写真によって現された、「大農精密科技股▲ふん▼有限公司 TANONG PRECISION TECHNOLOGY CO.,LTD」の「扇風機」の意匠であり、その形態は、当該写真によって現されたとおりのものである(別紙第2参照)。
3.本件登録意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本件登録意匠に係る物品は、ミスト(噴霧)機能を有し、かつ移動可能な「扇風機」である。
一方、引用意匠の意匠に係る物品は、掲載される物品の画像に、車輪が存在すること、さらに、水タンク、扇風機、水タンクから延出する送水ホースが扇風機ファンに装着されていること、が示されていること、及び、説明文に「造霧系統(Foggy System)」と記載されていることから、「移動式車台上に扇風機、水タンクが設置された、ミスト機能付き移動式扇風機」である。
ゆえに、本件登録意匠に係る物品と、引用意匠に係る物品とは同一である。
(2)意匠の対比
(a)要部
両意匠に係る「ミスト機能付き移動式扇風機」は、上部において支柱に支持された「扇風機」が、中部において「水タンク」が、下部に主として高圧送水するためのポンプなどが配された「移動式車台」が、各々表わされている。
両意匠は、ミスト機能付きという特殊な機能を有すること、移動式という特殊な態様の扇風機であることから、「扇風機」部分、「水タンク」部分、「移動式車台」部分と、これら各部分を必須構成とする全体的なまとまりを要部とすべきものである。
(b)共通点
(A)扇風機について、(A-1)概要、6枚の「羽根」と、この羽根を覆う「胴材」と、この胴材の前面を覆う「網材」及びこれを支持する「棒材」と、網材の一部として設けられた「噴霧部」と、羽根を稼働させる「モータ部」と、このモータ部の下部に設けられた角度調整可能な「支柱」と、この支柱の上下方向途中に設けた「ハンドル」を有する。その詳細は、(A-2)胴材は、左右側面図において、短筒の側面視前後方向両端部に段部が表れる。(A-3)網材は、正面図、背面図、斜視図において、胴材の縁部から中央部材の間において、径方向に等間隔で同条件で数えた限りにおいて全17本の同心円で表れる。(A-4)棒材は、正面図において、胴材の円環の中央に配置された中央部材の外形縁部から該胴材の周縁端面部に亘って等角度間隔で放射状に8本表れる。また、正面図及び斜視図において、胴材の前面では、網材の外周側から4本目から6本目に亘って後側に屈曲して表れる。(A-5)噴霧部は、正面図及び斜視図において、網材の外周から数えて6本と7本の間に存在する円環部材と、この円環部において等間隔で、かつ前方に向かって突出した5個の噴霧ノズルとが表れる。(A-6)羽根は、正面図において、等角度間隔で6枚表れる。(A-7)モータ部は、左右側面図及び背面図において、胴材の上下左右方向中央に表れる。(A-8)支柱は、正面図において、胴材の下端左右中央から、背面図においてモータ部の下端で左右中央から、下方に延出して表れる。(A-9)ハンドルは、正面図及び背面図において、支柱の後面側で該支柱と直交状に表れる。
(B)水タンクについて、(B-1)概要、水タンクは、平面視略長円状の端面を有する筒状で下部が移動式車台のカバーにより隠れた「タンク」部分と、タンク部分の上面及び前面で該タンクを左右分割した位置に支柱から延びた「ガイド」部分と、を有する。その詳細は、(B-2)タンクは、正面図及び背面図において、左右幅はハンドルより若干狭い程度とされ、途中から上方へ向かうにつれて左右幅が狭く(左右側面図において前後幅は変わりがない)、また、途中から上方部分しか表れないが長円状の模様部が表れており、この模様部分は上部に上下方向の複数の縦線が左右方向に等間隔で、上部を除く部分に左右方向の複数の横線が上下方向に等間隔で、各々表れる。(B-3)ガイドは、正面図及び平面図において、左右幅中央位置に表れる。
(C)移動式車台について、(C-1)概略、移動式車台は、内部を左右側面及び前面、並びに水タンク部位を除く上面を覆う「カバー」と、下面後部左右側面に突出した2つの「後輪」と、を有している。その詳細は、(C-2)カバーは、正面図において、左右方向から前側に向かって左右幅が狭くされており、この左右幅は下部より上部の方が狭いため、この輪郭線が表れ、また、左右側面図において、前部上側から下側に向かって正面図の左右中央を頂上部分としてしだいに左右方向下方に向かう円弧部分の輪郭が表れている。(C-3)後輪は、正面図において、カバーの左右側面の外側に両輪が突出状に表れ、また、側面視において、両輪の前後方向後部がカバーの左右側面の前後方向後端部からはみ出て表れる。
(c)差異点
(A)扇風機について
甲第3号証の写真の方向から見た場合に現れる形状について、意匠的相違点を見出すことができない。
(B)水タンクについて
甲第3号証の写真の方向から見た場合に現れる形状について、本件意匠公報の正面図右側における蓋部が、引用意匠は上下の高さが小さいものであるが、本件登録意匠は上下の高さが大きいものである。
(C)移動式車台について
甲第3号証の写真の方向から見た場合に現れる形状について、意匠的相違点を見出すことができない。
(3)両意匠に係る物品と意匠の共通点及び差異点の評価
本件登録意匠に係る物品と引用意匠に係る物品は、共に同一物品であると認められる。
また、両意匠は、「扇風機」部分、「水タンク」部分、「移動式車台」部分を詳細に比較しても差異点を見付けることの方が困難なほど共通点が多い。
差異点として挙げた、水タンクの正面図右側における蓋部の相違は、あくまで水タンクを部分的に見て確認できるほどのものであって、この差異点が、看者にとって視覚を通じて美感を起こさせたり、両意匠の識別を可能とする点であるとは言えず、そして、圧倒的に前記共通点及びに各部分を必須構成とする全体的なまとまりに紛れて、当然に両意匠の類否を決するほどのものとは言えない。
(4)まとめ
以上のことから、本件登録意匠と引用意匠とは、意匠に係る物品も同一で、意匠も同一であると認められる。
したがって、本件登録意匠は,その出願前に外国において、公然知られた意匠、並びに、頒布された刊行物に記載された意匠と同一の意匠であるから,意匠法第3条第1項第1号及び第2号の規定により意匠登録を受けることができないものであり,同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
<3>無効理由2(意匠法第48条第1項第3号)
甲第3号証に掲載された物品に係る意匠を創作した者は「大農精密科技股▲ふん▼有限公司」に属する「林 英仁」であり、本件意匠公報に記載の「陳 亮▲そう▼」ではない。
本件意匠登録は、真の創作者でない者が創作者とされ、かつ真の創作者より意匠登録を受ける権利を承継しない「株式会社ニューヨー」がした意匠登録出願に対してなされたものである。したがって、意匠法第48条第1項第3号の規定により無効とすべきである。
第2.被請求人の答弁及び理由の要点
被請求人は,「審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求める。」と答弁し,要旨以下のように反論している。
1.無効理由1について
本件登録意匠(登録第1281627号意匠)は、引用意匠(甲第3号証の意匠)とは違うものである。本件登録意匠は、タンク上には、水位センサーが設置されている。これは外観に大きな違いを生じさせる。後の左下に制御盤があり、タイマーが内蔵されていることも大きな相違点である。他にも外観に関して、バルブと延長するソケットやフィルターの排水口には電磁バルブがついているなど数々の違いがある。したがって、本件登録意匠と引用意匠とは異なるのは明らかである。
2.無効理由2について
上記のような相違点を含む本創作は、本件登録意匠の創作者である「陳亮▲そう▼」によるものである。
3.よって、意匠法第48条第1項第1号及び意匠法第48条第1項第3号の無効理由には該当しない。
第3.当審の判断
登録第1281627号意匠(以下,「本件登録意匠」という。)は,甲第3号証に示された意匠(以下、「引用意匠」という。)と同一であり、その出願前に外国において頒布された刊行物に記載された意匠であるから,意匠法第3条第1項第2号に規定する意匠に該当し、同条の規定により意匠登録を受けることができないものである。したがって、その他の無効理由について検討するまでもなく、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
本件登録意匠と引用意匠が同一と判断される理由は、以下に示すとおりである。
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成17年12月21日に意匠登録出願され、平成18年8月4日に意匠権の設定の登録がされたものであり,その願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品を「ミスト機能付き移動式扇風機」とし、その形態を願書及び願書添付の図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
2.引用意匠
引用意匠は,中華民国94年(西暦2005年:平成17年)3月25日に発行された、表紙に「台中縣機器商業同業公會」と記載された外国刊行物の第02頁の記載および写真に現わされた、「大農精密科技股▲ふん▼有限公司 TANONG PRECISION TECHNOLOGY CO.,LTD」の「扇風機」の意匠である。その写真によれば、車輪が存在し、さらに、水タンク、扇風機、水タンクから延出する送水ホースが扇風機ファンに装着されていること、及び、説明文に「造霧系統(Foggy System)」と記載されていることから、引用意匠の意匠に係る物品は、「ミスト機能付き移動式扇風機」と認められ、その形態は、当該写真によって現わされたとおりのものである(別紙第2参照)。
3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、意匠に係る物品については、共に「ミスト機能付き移動式扇風機」で一致し、形態については以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(a)基本的構成態様
両意匠は、下面後部左右側面に車輪を設け上面が前下がりの略箱状カバーの「移動式車台」を有し、該車台の上面カバー後部をコ字状に切り欠き略縦長筒状の「水タンク」を設置し、車台の後端部に設けた支柱に後部を支持された略短円筒形状の「扇風機」を上部に設けた基本的構成態様において共通する。
(b)具体的構成態様
両意匠は、具体的構成態様のうち、下記の点で共通する。
(A)扇風機について、(A-1)概要、6枚の「羽根」と、この羽根を覆う「胴材」と、この胴材の前面を覆う「網材」及びこれを支持する「棒材」と、網材の一部として設けられた「噴霧部」と、羽根を稼働させる「モータ部」と、このモータ部の下部に設けられた「支柱」と、この支柱の上下方向途中に設けた「ハンドル」を有し、その詳細は、(A-2)胴材は、略短円筒の側面視前後方向両端部に段部が表れ、(A-3)網材は、胴材の縁部から中央円板部材の間において、径方向に等間隔で全17本の同心円で表れ、(A-4)棒材は、胴材の円環の中央に配置された中央円板部材の外形縁部から該胴材の周縁端面部に亘って等角度間隔で放射状に8本表れ、また、胴材の前面では、網材の外周側から4本目から6本目に亘って後側に屈曲して表れ、(A-5)噴霧部は、網材の外周から数えて6本と7本の間に存在する円環部材と、この円環部において等間隔で、かつ前方に向かって突出した5個の噴霧ノズルとが表れ、(A-6)羽根は、等角度間隔で6枚表れ、(A-7)モータ部は、胴材の背面部中央に表れ、(A-8)支柱は、細長円柱状で、胴材の背面部中央のモータ部の下端から、下方に延出して表れ、(A-9)ハンドルは、支柱の後面側で該支柱と直交状に表れる点で共通する。
(B)水タンクについて、(B-1)概要、水タンクは、平面視略長円状の端面を有する筒状で下部が移動式車台の上面カバーにより隠れた「タンク」部分と、タンク部分の上面及び前面で該タンクを左右幅中央位置に支柱から延びた「ガイド」部分と、を有し、その詳細は、(B-2)タンクは、左右幅がハンドルより若干狭い程度で、途中から上方へ向かうにつれて左右幅が狭くされ、また、前面部に半楕円状の模様部が表れており、この模様部分は上部に上下方向の複数の縦線が左右方向に等間隔で、上部を除く部分に左右方向の複数の横線が上下方向に等間隔で、各々表れ、(B-3)ガイドは、細幅帯状板で構成される点で共通する。
(C)移動式車台について、(C-1)概略、移動式車台は、内部を左右側面及び前面、並びに水タンク部位を除く上面を覆う前下がりの略箱状「カバー」と、下面後部左右側面に突出した2つの「後輪」と、を有し、その詳細は、(C-2)カバー全体は、左右方向から前側に向かって左右幅が狭く、かつ、上面から前面へは前下がりに連続し側面視円弧状の湾曲面を形成し、 (C-3)後輪は、カバーの左右側面の外側に両輪が突出状に表れ、また、カバーの後端部からはみ出て表れる点で共通する。
(2)差異点
両意匠は、下記の点において差異がある。
すなわち、(A)本件登録意匠の水タンクの右上には、長円柱形状の水位センサーが設置されているのに対し、引用意匠の水タンクの右上には、短円柱形状の蓋が設けられている点、(B)車台の背面部において、本件登録意匠は、背面部の左下に略直方体状制御盤があり、また、バルブと延長するソケットやフィルターの排水口には電磁バルブがあるのに対し、引用意匠の写真には背面部の全体が現われておらず、それらがあるか否かが確認できない点において差異がある。
4.両意匠の類否判断
意匠の類否を判断するに当たっては,意匠全体として類否判断するが,そのためには,共通点及び差異点について,意匠全体に占める割合、物品特性、及び先行公知意匠を参酌し、看者の注意を引く部分か否かを評価し,意匠全体として両意匠の全ての共通点及び差異点を総合的に観察した場合に、需要者に対して異なる美感を起こさせるか否かを判断する。
この種扇風機の性質,用途,使用態様を参酌すると、需要者は、全体的な構成態様に注目し、特に、引用意匠を現わす写真のように、床に置いた状態での上方斜め前方向から観察した場合の構成態様を中心に意匠を認識するものと認められる。また、公知意匠を参酌すると、本件登録意匠の出願前及び引用意匠の公開前において、略短円筒形状の「扇風機」はすでに公然知られており(例えば、意匠登録第512910号参照。)、また、扇風機や送風機を車台に載置する構成もすでに公然知られていた(例えば、意匠登録第896375号、同第1115368号参照。)。しかし、本件登録意匠と引用意匠の基本的構成態様、すなわち「移動式車台」の後部に「水タンク」を設置し、支柱で「扇風機」を支持した基本的構成態様は、新規なものであり、かつ、下面後部左右側面に車輪を設け上面が前下がりの略箱状カバーの「移動式車台」の構成態様は、この種扇風機や送風機においては新規なものである。したがって、両意匠の基本的構成態様及び「移動式車台」の構成態様は特徴的な構成態様であり、看者の注意を引くものと認められる。
そうすると、本願意匠と引用意匠の共通する(a)基本的構成態様は、意匠全体の大部分を占め、両意匠の造形的な骨格を形成する構成態様で、看者の注意を引くものであり、かつ、公知意匠には見られない特徴的な構成態様であり、格別に看者の注意を引くものである。さらに、両意匠は、具体的構成態様のほとんどの部分において細部まで完全に共通し、それらの共通点を総合的に勘案すると、意匠全体として美感がほぼ完全に共通する。
これに対し、差異点は全く微弱であって、両意匠のほぼ完全に共通する美感を変更するまでのものではない。
すなわち、差異点(A)水タンクの右上の長円柱形状の水位センサーの有無は、意匠全体から観ればごく一部位に係るもので、かつ、円柱形状の高さの差異でしかなく、意匠全体として観ると全く看者の注意を引くものではない。差異点(B)は、車台の背面部というあまり看者の注意を引かない部位に係る差異であり、また、全体から観ればごく小さな、作動を助ける付加的な部品の差異であり、これら制御盤等の有無は、意匠全体として観ると全く看者の注意を引くものではない。そして、これらの差異点を総合して考慮しても、両意匠の全体としてほぼ完全に共通する美感を変更するまでのものではない。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態においてもほとんどの部分において細部まで完全に共通し、共通点が差異点を圧倒的に凌駕しており、意匠全体としてほぼ完全に美感が共通するものであるから、両意匠は同一の意匠である。
5.むすび
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第2号に掲げる意匠に該当し、同条の規定により意匠登録を受けることができないものである。したがって、その他の無効理由について検討するまでもなく、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2007-12-06 
結審通知日 2007-12-12 
審決日 2008-01-09 
出願番号 意願2005-37576(D2005-37576) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (D4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 並木 文子 
特許庁審判長 梅澤 修
特許庁審判官 前畑 さおり
樋田 敏恵
登録日 2006-08-04 
登録番号 意匠登録第1281627号(D1281627) 
代理人 岩原 義則 
代理人 溝上 哲也 
代理人 溝上 満好 
代理人 山本 進 
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