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審決分類 審判 補正却下不服   取り消す J1
管理番号 1185907 
審判番号 補正2007-500008
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2008-11-28 
種別 補正却下不服の審決 
審判請求日 2007-07-26 
確定日 2008-04-08 
意匠に係る物品 水質分析機 
事件の表示 意願2006- 26539「水質分析機」において、平成19年 4月20日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原決定を取り消す。
理由 理 由
1.本願意匠及び手続きの経緯
本願は、平成18年9月29日の意匠登録出願に係り、出願当初の願書の記載によれば、その意匠は、意匠に係る物品を「水質分析機」とし、形状を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。なお、本願は、願書に【意匠に係る物品の説明】欄を設けて意匠に係る物品について説明し、添付図面は6面図及び参考図である。

これに対し、審査官は、この意匠登録出願の意匠は、正面図上部に表された「モード切換ダイヤル」の内側の円形部の形状が明らかでなく、添付図面だけではその形状を特定することができないので、未だ具体的でないとの理由で、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないとの拒絶の理由を、平成19年3月13日付けで通知した。

この拒絶の理由に対して、出願人は、平成19年4月20日付けで意見書と共に手続補正書を提出し、【手続補正1】として、【意匠に係る物品の説明】欄の記載を変更し、【手続補正2】として、「部品名称等を詳細に示す参考図」を追加し、【手続補正3】として、「モード切換ダイヤル部を拡大し縦断面して示す参考図」を追加した。

2.補正の却下の決定とその理由
この平成19年4月20日付けの補正に対して、審査官は、『「モード切換ダイヤル部を拡大し縦断面して示す参考図」を追加されたが、これによると、円形ダイヤル部は内側に向かってわずかにへこんだ態様となっているが、それは出願当初の願書及び添付図面から想定できるものではない』として、この手続補正書による補正は、出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものと認められるとし、さらに、なお書きで、『この追加した図には、正面図に表されたダイヤル部の内側二重円に該当する箇所がなく、一致したものとなっていない』と追記し、平成19年6月20日付けで手続補正書を却下する決定をした。

3.審判請求の趣旨とその理由及び手続補正
出願人(以下、請求人という。)は、この補正の却下の決定に対し、平成19年7月26日付けで審判を請求した。その【請求の趣旨】は、『平成19年4月20日付け手続補正書に対して平成19年6月20日になされた補正の却下の決定を取り消す、との審決を求める』というものである。
そして、請求人は、審判請求と同日付けで手続補正書を提出し、【手続補正1】として「モード切換ダイヤル部を拡大し縦断面して示す参考図」を変更した。
また、請求人は、当該審判請求書の【請求の理由】の項において、『補正却下の決定に示されたとおり、補正図面には不備があり、図面が整合しない点があるので、別紙手続補正書にて図面を再度訂正した。よって、本件の拒絶する理由は解消されたので、再度の審判をお願いし本件意匠出願は登録されるものであるとの審決を求めるものである』と記載している。

4.当審の判断
平成19年6月20日付けの補正却下決定の理由は、『出願当初の願書及び願書添付の図面からは明らかでなかった「モード切換ダイヤル」の内側の円形部の形状を、当該補正により明らかにしたが、その補正図面が表す形状は、出願当初の願書及び添付図面から想定できるものではないから、出願当初の願書に添付した図面の要旨が変更された』とするものである。
しかし、審判請求と同日付けで「モード切換ダイヤル部を拡大し縦断面して示す参考図」を変更する補正が提出されたことにより、審査官が補正却下決定の理由の根拠としていた、平成19年4月20日付け手続補正書の【手続補正3】に記載した「モード切換ダイヤル部を拡大し縦断面して示す参考図」は、既に存在しない。また、【手続補正1】及び【手続補正2】に記載した補正の内容に、却下すべき理由は見当たらない。したがって、原決定は、その理由が無いのであるから、取消されるべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。

なお、請求人は、審判請求書の【請求の理由】に、本件について『登録されるものであるとの審決を求める』と記載しているが、本件審判請求は、【請求の趣旨】に記載されたように補正却下決定に対してなされたのであり、登録の可否が審理の対象となるものではなく、審決は上記のとおりである。
ところで、当該補正却下の決定は、本願意匠は『意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない』との拒絶の理由に応じた手続補正についてなされた決定であり、通常はそのような拒絶の理由に対しては、手続補正によりその理由が解消されるというものでもないとしても、本願意匠については、『「モード切換ダイヤル」の内側の円形部の形状が明らかでな』いことをもって、意匠法第3条第1項柱書違背とまでするのは、意匠法の目的からすれば、妥当ではない。
すなわち、願書の【意匠に係る物品の説明】欄に「発信部はリング状に形成され、モード切換えダイヤルが設置されている。ダイヤルの調整でデータの発信や、電源のON/OFF切換えができる。」とあることから、円形ダイヤル部はリング状をなし、調整出来る態様のものであることが明らかである。したがって、円形ダイヤル部内側の面であるモード切り替え表示マークが付された面は、極端に凹凸を付けたりすることは考えにくく、一般的には垂直状か、垂直状に近い態様と推認されるものである。そして、「モード切換ダイヤル」の内側二重円が表す態様は、リング内径が背面側に向かって縮径しているか、内径は一定で正面側開口部に面取りが施されているか等の態様が推認されるものである。しかし、当該二重円の間隔は極めて狭いことから、いずれにしても看取するのが困難な細部にわたる態様でしかなく、この部分が不明であるからといって、意匠の要旨認定が困難となる程のものとはいえない。
よって、手続補正によって出願当初にはなかった図面が追加されても、上記のような態様が表され、他の図面と整合性があれば、その形状は想定の範囲内にあると考えるのが相当である。
審理終結日 2008-01-16 
結審通知日 2008-01-22 
審決日 2008-03-13 
出願番号 意願2006-26539(D2006-26539) 
審決分類 D 1 7・ 14- W (J1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 北代 真一 
特許庁審判長 日比野 香
特許庁審判官 樋田 敏恵
前畑 さおり
登録日 2008-09-12 
登録番号 意匠登録第1341437号(D1341437) 
代理人 江口 裕之 
代理人 喜多 俊文 

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