• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1195352 
審判番号 不服2008-11850
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-08 
確定日 2009-03-17 
意匠に係る物品 インターホン 
事件の表示 意願2007- 15109「インターホン」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 経緯
本願は,2007年(平成19年)6月6日付の意匠登録出願であって,原審において,2008年(平成20年)1月8日付で拒絶の理由が通知され,2008年(平成20年)2月5日付で意見書が提出されたが,2008年(平成20年)4月8日付で拒絶査定がされたので,請求人は,これを不服として,2008年(平成20年)5月8日に審判請求をしたものである。


第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書および願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「インターホン」であり,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書の記載および願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)


第3 原審の引用意匠
原審で通知された拒絶の理由において,本願意匠に類似するとして引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国内において頒布された刊行物である日本国特許庁発行(発行日平成13年(2001年)10月15日)の意匠公報に記載された意匠登録第1123600号(意匠に係る物品,ドアホン子器)の意匠であって,その形態は,同意匠公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第4 請求人の主張の概要
請求人は,拒絶査定を不服として,請求の趣旨「原査定を取り消す,本願は登録をすべきものであるとの審決を求める」との審判請求をし,その請求の理由として概要次のとおり主張した。

原査定において,意匠全体として観察した場合,縦長矩形の縦中央に正面視縦長矩形部を設け,そこにカメラ部,スピーカー,呼出ボタンを配置した構成において共通している両者は類似するとの認定をしたが,カメラ部とスピーカーと呼出ボタンとの配置の共通のみをもって両者を類似するとした原査定の判断は失当である。
本願意匠と引用意匠とは,その形態において,基本的な構成態様について,前面中央部に上方からカメラ部,スピーカー,呼出ボタンを配した点と,四隅がRとなる縦長四角形状である点が共通するが,本願意匠は,引用意匠や先行周辺意匠には見られない特徴点,すなわち,
(1)基本的な構成態様として,前面中央部に上方からカメラ部,照明部,スピーカー,呼出ボタンを順番に配し,カメラ部とスピーカーとの間に照明部を設けた4段配置となっている点,
(2)カメラ部の下方で,カメラ部以外の照明部とスピーカーと呼出ボタンとを縦長四角枠によって囲んだ態様,
(3)縦長四角枠の上方寄りに位置し,横長四角形となっている照明部に係る態様,
(4)正面視外周に縦長四角形状の5重枠が表れる態様
などを有している。
本願意匠の全体の美感は,上側のカメラ部と,下側の縦長四角枠によって囲まれる照明部とスピーカー,呼出ボタンのグループとがそれぞれ独立した印象を受けるものであって,特に下側の縦長四角枠によって囲まれる領域は,構成部も多く,面積も大きいため,上側のカメラ部よりも主張が強くなり,重心の低い重量的な印象に繋がっていて,中でもスリットが密となるスピーカーが下方寄りとなって呼出ボタンと近接しているため,下方寄りの重心を一層意識させている。
一方,外周の枠もインパクトを与え,看者の注意を惹くため,中央で主張する構成部とほどよくバランスが取られており,中央に構成部が多くても乱雑な印象を与えない。また,全体的に上下方向の線が狭い間隔で多く表れるため,細身でシャープな印象も与えるものとなっている。
引用意匠の全体の美感は,中央に位置するスピーカーの印象が最も強いが,スリットの間隔がスリット幅よりも大きいため,左右に広がる平坦な印象を受け,また,縦長四角枠で囲まれるカメラ部とスピーカ,呼出ボタンとの一体感が高いため,重心が中央にあって安定したイメージが強くなっている。さらに,表れる線が比較的少なく,且つ間隔も疎であるため,全体にシンプルで軽量的な印象も受ける。
本願意匠は,引用意匠と創作性において大きな相違を有し,異なる美感を生じさせることは明白であるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,意匠登録を受けることができるものである。


第5 当審の判断
本願意匠と引用意匠とを対比すると,本願意匠の意匠に係る物品は,「インターホン」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「ドアホン子器」であるが,用途・機能はほぼ同じであり,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
また,両意匠の形態については,主たる共通点として,基本的な構成態様について,両意匠は,全体を奥行が短い略縦長直方体とし,前面側の「本体部」と背面側の「壁面取り付けベース部」が前後に重なってなるものである点,全体の高さ:幅:奥行の比率が,それぞれ「約4:3:1」であり,本体部は,正面視四隅が隅丸の縦長長方形をなし,その前面が平面視略緩やかな丸面状をなしている点,本体部とベース部の中間に小さな段差が設けられている点,本体部前面の中央部に略縦長長方形状の区画を設け,その区画の横幅の本体部のそれに対する比率が約6割程度,同じく区画の高さの本体部のそれに対する比率が約8割強であって,その区画の中に上方からカメラ部,スピーカー,呼出ボタンを配している点があげられる。また,具体的な態様については,カメラ部が横長長方形状をなし,スピーカーの放音孔として細幅なスリットが縦長長方形の区域の中に縦方向に7条設けられている点などが共通している。
一方,両意匠の形態についての主たる差異点としては,本体部前面の中央部の配置について,本願意匠では,カメラ部とスピーカーとの間に横長四角形の照明部を配して,カメラ部,照明部,スピーカー,呼出ボタンが上下方向に並ぶ4段配置となっているのに対し,引用意匠では,照明部がなく,カメラ部,スピーカー,呼出ボタンが上下方向に並ぶ3段配置となっている点,本体部前面の中央部に設けられた区画の面の構成について,本願意匠は,本体部の前面全体が平面視略丸面状とされた中で,区画の面は平面的に構成されており,その区画の中に配置された各部は少し盛り上げて配設されているのに対して,引用意匠では,区画の面は,凹面状に形成されており,その凹んだ区画の中に各部が面一に配設されている点があげられる他,呼出ボタンの具体的な形状,マイクの位置,スピーカーのスリットの態様などの差異点があげられる。

前述の共通点と差異点とを意匠全体として評価すると,上段より,カメラ部,スピーカー,呼出ボタンを配置した点は,本体部前面の中央の大半部を構成して目につきやすい部位に係る共通点であるから,一般的にはこれらの共通点が両意匠の類否判断を決定付けることもあり得るが,本願意匠の場合,本体部前面のほぼ中央であって,丸面状の区画面に設けられている各部位の態様は他に見受けられない特徴的なものであって,これらの差異点が類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものである。
以上のように,両意匠の類否判断について,意匠全体として差異点が及ぼす影響が,共通点が及ぼす影響を凌駕しているという他ない。
したがって,本願意匠は,引用意匠と類似するということはできない。


第6 むすび
以上のとおりであって,原審の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するから,同条同項柱書の規定により本願は拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-02-27 
出願番号 意願2007-15109(D2007-15109) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北代 真一 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
鍋田 和宣
登録日 2009-04-24 
登録番号 意匠登録第1360848号(D1360848) 
代理人 上田 恭一 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ