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審決分類 審判    G2
管理番号 1198789 
審判番号 無効2008-880019
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-07-22 
確定日 2009-04-03 
意匠に係る物品 運搬車 
事件の表示 上記当事者間の登録第1295670号「運搬車」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1295670号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由として、概要以下の主張をし、証拠方法として甲第1号証を提出した。
登録第1295670号意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、その出願前に既に意匠登録されている、登録第961324号意匠(以下「甲号意匠」という。)に類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、その登録は、意匠法第48条第1項第1号により無効とされるべきである。
すなわち、本件登録意匠は、甲号意匠の下記(a)ないし(f)の斬新な創作ポイント、即ち意匠上の特徴である要部をそっくりそのまま備えている。
(a)運搬車の四隅にキャスターを設けた本体台部は、いずれもおよそ丸パイプで形成された丸パイプ枠状の台部であって、前後端部寄りには更に丸パイプが架設されていて、中央部には架設パイプが無く大きく開口したデザインである。即ち、いずれの登録意匠も、丸パイプ枠状で中央部が大きく開口した運搬車である。
(b)丸パイプ枠状の本体台部に、建築現場にある足場板を架設装着して足場板を底板とした運搬車に構成できるデザインとなっている。
(c)本体台部は伸縮させて長さ調整自在な構成である。
(d)本体台部の四隅に丸パイプを立設している。しかもこの丸パイプ支柱は単に差し込み固定するものではなく、内側に夫々倒れて丸パイプ枠状の本体台部上に倒し収納できるデザインである。
(e)全体として四隅の丸パイプ支柱により囲む半ボックス形の運搬車となるデザインで、更に前後片側二本だけ倒し収納して、片側ハンドル付手押し運搬車としても使用できるデザインである。
(f)丸パイプ支柱の各上端部には内側に折曲自在となる取手部が設けられており、これを内側に90度折曲することで手押し取手として使用できたり、あるいは積み荷のストッパーとして機能するデザインである。
そして上記(a)?(f)は、いずれも先行登録意匠である甲号意匠の出願前には無かったデザインであり、しかも単に組み合わせが無かっただけでなく、(a)?(f)の夫々が、いずれも全く斬新なデザインである。そして本件登録意匠は、甲号意匠の要部そのものの(a)?(f)をすべて備え、要部をそっくりそのまま踏襲したデザインであり、両意匠は明らかに類似し、本件登録意匠は意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当する。

第2.被請求人の答弁及び理由
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、概要以下の主張をし、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
請求人が甲号意匠の斬新な創作ポイントとする(a)?(f)について、実開平6-85167号公報(乙第1号証)、及び実開平6-63471号公報(乙第2号証)には、本体台部が丸パイプ枠状の台部で、中央部に架設パイプが無く大きく開口し、かつ本体台部四隅に丸パイプ支柱を立設したデザイン、すなわち、(a)及び(d)を備えた運搬車が開示されおり、また(a)の、台部の前後端部寄りに丸パイプを架設した点も、補強の面等から当業者が適宜行う程度のもので、これらはいずれも意匠的な特徴には至らない。
してみると、甲号意匠は、基本的な全体骨格の構造が公知であって、(c)(e)及び(f)などの点で登録を受けたものと考えられるところ、本件登録意匠は、本体台部の四隅には平面視で本体台部が略H形状をなすように大きく張り出したバンパー機能を有する緩衝部材が設けられて、看者に対して強い印象を与えるものとなっており、形状が独創的で美感を生起するものとなっている。
また(c)(e)及び(f)の点について、本件登録意匠は、本体台部の左右の枠体下部に、ノブ形状とした伸縮固定ねじが突設されているが、甲号意匠ではこれに対応する部材の形状が大きく異なり、また丸パイプ支柱を倒伏動作させるための操作レバーの形状も大きく異なっている。
更に倒伏自在の丸パイプ支柱について、本件登録意匠は、下端からやや離隔した位置に枢支部を有し、この枢支部に連結される横架パイプと左右の丸パイプ支柱とによって、その形状は略H型となっており、また倒伏させた状態では、その下端部側が枢支部よりも後方に突出し、そして丸パイプ支柱の長さが本体枠部の略1/2である。他方、甲号意匠は、丸パイプ支柱の枢支部が支柱下端で、しかも丸パイプ支柱の長さは本体枠部の長さの1/2以上であるから、倒伏させた状態では前後の丸パイプ支柱の先端同士が重なり合ってしまう構成である。
更に、丸パイプ支柱の各上端に設けられた取手部について、本件登録意匠は角型で、収納時においては丸パイプ支柱の外側に重ねられた状態となり、そのため取手部に形成された長手状溝が露出するのに対し、甲号意匠の取手部は丸型で、収納時には、丸パイプ支柱の内側に隠れてしまう構造であり、取手として使用しない場合の外観が全く異なる。
以上のように、本件登録意匠は、その最も重要な本体台部の形状が、運搬車としてこれまでにない独特の美感を奏する形状であり、甲号意匠とは、要部自体の形状が異なり、なおかつ、各部位においてもそれぞれ形状が異なっており、両意匠が非類似であることは明らかである。

第3.当審の判断

1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成18年2月22日に意匠登録出願があり、平成19年2月9日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1295670号意匠であり、意匠に係る物品を「運搬車」とし、形態を、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。(別紙第1参照)

2.甲号意匠
本件登録意匠が意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するとして請求人が提出した甲号意匠は、平成8年8月22日発行の意匠公報に記載された意匠登録第961324号の運搬車の意匠であり、その形態は当該公報に記載されたとおりである。(別紙第2参照)

3.本件登録意匠と甲号意匠の対比
本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は意匠に係る物品が、共に建築資材の運搬等に使用される台車であって、共通する。そして形態において、主として以下の共通点と差異点が認められる。

まず共通点として、主に以下の点が認められる。
(1)下面に車輪を取り付けた横長矩形の台枠と、その左右両辺に起倒自在に設けられた、手押し用のハンドル枠からなるものである。
(2)台枠は、横方向に平行に配された前後2本の管体(以下「横管」とする。)と、2本の横管の間に縦方向に架け渡された5本の管体(以下「縦管」とする。)からなり、横管は、それぞれ、2本の丸管が摺動自在に嵌合されて伸縮可能となった構成で、台枠全体が左右に伸縮調節可能の構成となっている。
(3)横管につき、左方の嵌入される管(以下「左方管」とする。)と右方の嵌入する管(以下「右方管」とする。)の寸法比が、短縮状態の外観上、略3対1弱で、短尺状態での太さが同径であり、この横管に対して縦管が、左方管の左端と、そのやや右寄りと、右端近くの3ヵ所、そして右方管の右端と、そのやや左寄りの2ヵ所の計5ヵ所に配されて(以下、左から右へ順次「縦1管」ないし「縦5管」と記載する。)、台枠の短縮状態において、縦3管と、縦4管とが、台枠の右寄りで、外管と内管の嵌合部を挟んで幅狭状に並列する構成となっており、そして縦2管と縦3管の間が、台枠中央やや左寄りにおいて、台枠横幅の2分の1強を占める大きな空所を形成し、台枠左右において、縦1管と縦2管、及び縦4管と縦5管が、各々、台枠横幅の5分の1弱の間隔で並列する構成となっている。
(4)台枠の四隅において、縦1管と縦2管、及び縦4管と縦5管の間の前後両端を上面視矩形状に区画する態様で、台枠下面に座板が取り付けられて、この座板の下面に車輪が取り付けられている。
(5)左右のハンドル枠について、台枠と等幅状に構成された左右同形のもので、それぞれ、前後一対の起立する支柱と、前後一対の支柱の下部に横架された1本の横架管からなる構成であり、横架管の位置を、台枠上面より僅かに上位置として、横架管を軸に、ハンドル枠全体が回動起倒する構成とし、且つ左右の横架管の間に、底板として足場板等を敷設できる構成としている。
(6)ハンドル枠の計4本の支柱の上端に、同形の短筒状の取っ手が取り付けられている。そして取っ手は、長さが支柱の大略1/4程度で、台枠の前後方向に向かい合わせに、自在に折曲でき、折曲して横水平となる構成となっている。
(7)台枠、及びハンドル枠を構成する管材が、ほぼすべて、ほぼ同じ太さの丸管で構成されている。即ち、台枠の横管(左方管と右方管)と、縦1管、及び縦5管を除く縦管、そしてハンドル枠の支柱と横架管が、ほぼ同じ太さの丸管で構成されている。
(8)台枠の横幅(最短縮状態)と、台枠の前後幅と、ハンドル枠の高さの比率が、おおよそ6対4対3である。

次に差異点として、主に以下の点が認められる。
(ア)本件登録意匠は、台枠の四つの角部に、座板の外半分の幅を前後に突出させたことによる隅切方形板状のガード部材が設けられているが、甲号意匠は、このガード部材に相当する突出がない。
(イ)台枠縦管のうちの縦1管と第5管の断面形状が、本件登録意匠は中空の略L形状であるが、甲号意匠は円形である。
(ウ)ハンドル枠下部の構成について、本件登録意匠は、支柱の下端が、横架管の接合位置から更に下方に延長されて、台枠(横管)下端まで伸び、そして横管とのコーナー部分に5角形の当て板が取り付けられて、この当て板に横架管の両端が軸止されて回動する構成となっているが、甲号意匠は延長部分がなく、支柱の下端が横架管とL字形に接合し、そして当て板がなく、台枠とは横架管の内寄りの前後2箇所で止め具により固定されて回動する構成である。
(エ)ハンドル枠を倒した状態において、本件登録意匠は、支柱の下端が台枠の外方に突き出し、また左右のハンドル枠の上端が台枠中央で重ならないが、甲号意匠は、支柱の下端が台枠から突き出さず、また台枠の最短縮状態において、左右のハンドル枠の上端部が台枠中央で僅かに重なる態様となる。(台枠を積み重ねる場合、台枠を若干伸ばす必要がある。)
(オ)支柱上端の短筒状の取っ手について、本件登録意匠は角筒状で、収納時において支柱の外側に重なり、また取っ手に設けられた細溝が収納時に外面に露出することとなるが、甲号意匠は円筒状で、収納時において支柱の内側に収まり、従って、取っ手に設けられた細溝も外面に露出しない。

4.検討
そこで上記の共通点と差異点を意匠全体として検討する。
まず上記の(1)ないし(8)の共通点は、全体の基本的な構成と、その具体的な態様をそのまま表すもので、一体となって、運搬車としての骨格と全体の形態的まとまりを形成している。そしてとりわけ(2)(3)、及び(5)(6)の共通点は、甲号意匠がそれ以前に知られていた態様に対して持つ、極めて独自性の高い構成態様であることが認められ、先行登録意匠である甲号意匠の形態上の特徴をよく表すところであり、その余の共通点と一体となって、運搬車としての全体形状を極めて独自性の高い、特徴的なものとしている。従って、両意匠の共通点は、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものである。
この点について詳述するに、まず(1)の点について、運搬車の構成として、下面に車輪を取り付けた横長矩形の台枠と、その左右両辺に設けられた手押し用のハンドル枠からなる構成は、実開平6-85167号(乙第1号証)、実開平6-63471号(乙第2号証)等に認められ、またこのような構成の運搬車において、ハンドル枠を起倒自在の構成としたものも、甲号意匠の出願日(平成7年5月2日)の前に、意匠登録第599884号、実公昭50-10263号等に認められる。従って(1)の共通点をことさら新規な特徴として重要視することはできない。しかしながらこの(1)の構成は、両意匠において全体の骨格を構成しており、他の(2)ないし(8)の各部の構成態様と一体化して、運搬車としての全体のまとまりを形成する基礎となっている。従って両意匠の類否判断において、前提となる重要な共通点である。
次に(2)及び(3)の点について、これらは台枠の具体的な構成態様を表すものであるところ、台枠の構成として、複数の管材、又は枠材を縦横に配して台枠とすることは運搬車においては普通にみられ(前掲事例参照)、また台枠全体を左右に伸縮調節可能とした構成も、さほど一般的ではないとしても、例えば特開昭62-218264号、実開平2-71066号、特開平6-191410号等に認められる。更に台枠の縦枠の配置に関して、台枠左右に縦に2本の縦枠を並列させた構成も、前掲の実開平2-71066号、特開平6-191410号等に認められ、更に横枠を2本、縦枠を5本とした上で2本の縦枠を左右に並列させた構成も、実公昭45-24818号に認められる。
しかしながら、台枠の左右両辺にハンドル枠を設け、且つ台枠全体を伸縮自在の構成とした運搬車において、横管を2本、縦管を5本として、これら横管、縦管の主たるところを丸管で構成し、この横管に対して縦管を、共通点(3)のとおりの位置、間隔で配置した構成は、甲号意匠の前に認めることができず、(2)及び(3)の構成態様は、(1)と一体となって、甲号意匠の特徴をよく表し、更に(4)の座板、車輪の配置の共通性、(7)の共通性、(8)の全体の構成比率の共通性とも一体化して、両意匠において大きな部分を占めて、全体の形態的まとまりの主たる部分を構成し、看者に運搬車としての形態上の共通感を極めて強く印象付けるところとなっている。従って、(2)及び(3)の共通点は、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
そして(4)の点については、該部に座板、及び車輪が取り付けられることは、前掲の実公昭45-24818号、実開平2-71066号、特開平6-191410号等に認められるとおりそれ自体は格別新規な特徴とはいえないところであるが、(1)ないし(3)、及び(7)、(8)の構成態様と一体化して、両意匠の共通性を強調している。
次に(5)及び(6)の点について、これらはハンドル枠の構成に係るものであるところ、ハンドル枠を台枠と等幅状とすること、また左右同形とすることは、従来から認められ(乙第1号証、乙第2号証)、またハンドル枠の具体的な構成として、前後に一対の支柱を設けた構成、或いは台枠四隅に4本の支柱が起立する構成も、乙第1号証、意匠登録第1081983号公報の使用状態参考図、或いは前掲の意匠登録599884号意匠の左右の水平桿を除いた構成等に認められる。しかしながら、前後一対の支柱の下部を1本の横架管で連結固定して、ハンドル枠全体を略倒コ字枠状とし、横架管の位置を台枠上面より僅かに上位置として、ハンドル枠全体が横架管を軸に回動起倒するものとした態様、且つ、この横架管に、適宜の長さの足場板を、台枠を伸縮自在とすることにより敷設できようにした構成は、少なくとも当審において甲号意匠の出願前に認めることができず、この(5)の構成態様は、(2)の構造と一体化して、甲号意匠の持つ極めて独自性の高い特徴を形成している。そしてさらに両意匠は、4本の支柱の上端に、それぞれ4つの同形の短筒状の取っ手を設け、台枠の前後方向に、適宜、向かい合わせに折曲できる構成としたものであり、この構成自体も運搬車のハンドル枠として極めて特徴的なものと認められる。すなわち、ハンドル枠の(5)及び(6)の構成態様は、甲号意匠を強く特徴付けるところを形成しており、そして(1)ないし(4)の共通する構成態様と一体となって、運搬車としての骨格と形態的まとまりを形成している。従って、(5)及び(6)の共通点は両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものである。
そして(7)及び(8)の共通点は、(1)ないし(6)構成態様と一体化して、その全体としてのまとまりの共通性を強化し、看者に、全体としてのまとまりの共通性を極めて強く印象付けるところとなっている。
以上のとおりであって、両意匠の共通点は、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものである。

一方、差異点について、(ア)の点は、運搬車としての全体構成に対しては付加的な部分というほかなく、しかも運搬車、台車等においては、四隅にガード板を突出させて表すことは従来から一般的に行われており(実開昭49-107059号、意匠登録第659898号、前掲の意匠登録第1081983号等)、運搬車としての全体構成が特徴的である両意匠においては、全体形態を別異に特徴付けるまでの差異とは認めることができない。
(イ)の点は、縦1管、縦5管が、ハンドル枠の横架管の直下に位置することから、形状差としてさほど目立たず、台枠についての(2)及び(3)の共通する構成態様の中でみられる微差に止まる。
(ウ)の点は、両意匠においては、形態全体としてみれば、支柱の下端の延長もさほど長いものではなく、また当て板もさほど大きいものではなく、また各種物品においてコーナー部分に補強板、当て板等を配することはしばしば行われ、看者が特に新規な特徴として着目するほどのものとはいえず、両意匠のハンドル枠に関する構成上の共通性、即ち、台枠左右のハンドル枠を、上端に折曲自在の取っ手を設けて下部を横架管で連結した倒コ字枠状のものとし、このハンドル枠全体が、横架管を軸に回動起倒するものとした(5)及び(6)の構成態様が極めて特徴的な両意匠にあっては、何れも、共通する構成態様の中での部分的な変更の範囲のものと判断せざるを得ない。
(エ)の点は、本件登録意匠のハンドル枠を倒した状態での支柱下端の突き出しもさほど大きいものではなく、また、台枠の短縮状態において左右のハンドル枠の上端が中央で重ならない点での差異も、両意匠ともに、台枠が伸縮自在の構成であることから顕著な差異とはいえず、何れも全体としては微弱な差異に止まる。
そして(オ)の点については、ハンドル枠について、4本の支柱の上端にそれぞれ、長さが支柱の大略1/4程度の、折曲自在の同形の筒状の取っ手を設けたという(6)の特徴的な共通点の中でみられる差異であり、収納時に細溝が露出するか否かの差異を考慮に入れてもなお、運搬車全体としては局所的な差異に止まる。

なお被請求人は、他にも横管下面の台枠の伸縮固定ねじに関する差異、折畳み操作レバーに関する差異についても主張するが、いずれも外観形状においては、極く小さく表された部分に関するもので、意匠上の形状差として類否を左右するほどのものとは認めることができない。

以上のとおりであって、両意匠の差異は何れも共通する全体構成、或いは共通する各部の構成態様の中でみられる微弱な差異というほかなく、類否判断に及ぼす影響が微弱と判断せざるを得ず、これに対して両意匠の共通点は、運搬車としての骨格を形成して、全体の形態的まとまりを形成し、且つ運搬車としての特徴をよく表すものであり、類否判断に極めて大きな影響を及ぼし、そして差異は関連効果を考慮しても、共通点が形成する全体の形態的まとまりを覆し、両意匠を別異に特徴付けるまでには至らず、意匠全体として共通点の類否に及ぼす影響が差異のそれを凌駕し、両意匠は意匠全体として類似する。

5.むすび
従って、本件登録意匠は、甲号意匠に類似し、甲号意匠はその出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠であるから、本件登録意匠は意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するにもかかわらず意匠登録を受けたものであり、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2009-01-19 
結審通知日 2009-01-21 
審決日 2009-02-18 
出願番号 意願2006-4069(D2006-4069) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香橘 崇生 
特許庁審判長 本田 憲一
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 2007-02-09 
登録番号 意匠登録第1295670号(D1295670) 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 吉井 剛 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 松尾 憲一郎 
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