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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1201885 |
審判番号 | 不服2008-26730 |
総通号数 | 117 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-09-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-10-17 |
確定日 | 2009-07-17 |
意匠に係る物品 | 電子計算機用データ表示機 |
事件の表示 | 意願2007- 33615「電子計算機用データ表示機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願は、2007年(平成19年)12月7日に出願され、願書及びその添付書類の記載によれば、本意匠を意願2007-33539号と表示し、意匠法第4条第2項の規定の適用及び、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「電子計算機用データ表示機」とし、意匠登録を受けようとする部分の形態を、願書の記載および添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決に添付した「図面第1」参照) 2 引用意匠 原審において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、2007年11月2日に独立行政法人工業所有権情報・研修館が受け入れたカタログ「DAEWOO LUCOMS CCTV LCD Display Series」第4頁上段の写真版に、「L710SC」と表示して掲載されたデータ表示機のスタンドを除く表示機本体部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD19006433号)である。(審決に添付した「図面第2」参照) 3 本願意匠と引用意匠の対比 3-1 意匠に係る物品について 本願意匠と引用意匠は、いずれもに電子計算機に接続するデータ表示機に係るものであるから、意匠に係る物品が共通している。 3-2 意匠に係る物品の部分の用途及び機能並びに、位置、範囲及び大きさについて 本願意匠に係る物品の部分は、電子計算機用データ表示機の横長直方体状の筐体の前端に近接した部位から前方であって、表示部の周囲に枠状に形成した部分であり、一方、引用意匠に係る物品も、前記カタログの記載によれば、内部機構を有し、一定の奥行きからなる筐体であると推認できるものであり、本願意匠に係る物品の部分に相当する部分を構成しているものと認められるから、両意匠は、意匠に係る物品の部分の用途及び機能並びに、位置、範囲及び大きさが共通している。 3-3 本願意匠と引用意匠の形態について 本願意匠と引用意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。 先ず、共通点として、全体は、筐体の前端に近接した部位から前方であって横長長方形状の表示部の四辺に接して周囲に枠状に形成した部分(以下、「枠状部」という。)である点、枠状部の上下左右のそれぞれ正面の枠幅(以下、「枠幅」については当該部分の長さ方向に対して直角方向の幅とする。)をいずれも枠状部の前端に近接した部位から前方の前後幅よりもやや広幅とし、また、上枠部分と左右両枠部分の枠幅が略同幅である点、枠状部の下枠部分の正面の枠幅をこのほかの正面の枠幅よりも広幅に形成している点、そして、下枠部分の正面略中央に横長略台形状の操作部を設けている点が認められる。 一方、差異点として、(1)枠状部正面の外周縁の態様について、本願意匠は、全周をごく細い段欠き状に形成しているのに対し、引用意匠は、そのような段欠きを形成していない点、(2)枠状部正面の内周縁と表示部正面との構成態様について、本願意匠は、ごく細幅の段差があるのに対し、引用意匠は、段差よりも段差面をやや広幅とした几帳面状に形成している点、(3)下枠部分の態様について、本願意匠は、左右両枠部分の前端面と同一面状とし、その枠幅を左右両枠部分の枠幅の約2.5倍に形成し、下方略2分の1の横幅略全幅の操作部を除いた部分に、微少な円形を多数密集して施しているのに対し、引用意匠は、上方略半分を左右両枠部分の前端面と同一面状として、その枠幅を左右両枠部分の枠幅と略同幅に形成し、下方略半分を上方略半分の前端面よりもわずかに段落ちした段差面状であってやや暗調子としている点、そして、(4)操作部の配置態様および下枠部分の左右全幅に対する横の長さについて、本願意匠は、下枠部分の前端面下端寄りに設け、約4の1の長さとしているのに対し、引用意匠は、前記下方略半分の前端面上端に設け、約2分1の長さとしている点が認められる。 4 本願意匠と引用意匠の類似性についての判断 前記共通点及び差異点を総合し、意匠全体として、本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。 まず、共通点について、全体について共通しているとした態様は、この種物品の筐体の正面に、横長長方形状の表示部の周囲に接して枠状に形成した態様はありふれた態様であり、両意匠のみに共通する点であるとは言えない。枠状部のそれぞれ正面の枠幅について共通するとした態様は、本願意匠と引用意匠の対比すべき形態がいずれも枠状部の前端に近接した部位から前方の部分であり、枠状部正面の枠幅は、枠状部の前記近接した部位より前方の前後幅よりもやや広幅となるのは必然の態様であると言える。枠状部の下枠部分の正面の枠幅をこのほかの正面の枠幅よりも広幅に形成した態様及び、下枠部分の正面略中央に横長略台形状の操作部を設けた態様は、この種物品において、両意匠のほかにも多数見受けられるから、いずれも両意匠のみに共通する点であるとは言えない。そうすると、共通しているとした前記各態様はいずれも両意匠のみに共通する点ではないから、これら共通点にかかる態様が相まって生じる意匠的な効果を考慮したとしても、両意匠の類似性についての判断を左右するものとはなり得ない。 一方、前記各差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響を以下考察する。 差異点(1)については、本願意匠の段欠き状部分はごく細い態様のものであるが、枠状部正面の外周縁全周に形成され、枠状部を特徴づける要素であり、枠状部正面及びこれに連続する外周縁が目に触れやすい部位である点を考慮すると、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言うべきである。差異点(2)については、本願意匠及び引用意匠のそれぞれの態様はすでに見受けられる態様のものであるが、差異点(1)にかかる態様と相まって意匠全体を特徴づける意匠的な効果が生じている点を考慮すると、その差異は両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(3)については、本願意匠の下枠部分は、左右両枠部分の前端面と同一面状とし、その枠幅を左右両枠部分の枠幅の約2.5倍に形成しているため、下枠部分のみが広幅である態様が明瞭であり、さらに、下方略2分の1の横幅略全幅の操作部を除いた部分に微少な円形を多数密集して施しているのに対し、引用意匠は、上方略半分を左右両枠部分の前端面と同一面状としてその枠幅を左右両枠部分の枠幅と略同幅に形成し、これより下方略半分を上方略半分の前端面よりもわずかに段落ちした段差面状であってやや暗調子としているため、枠状部の上下左右の前端面の枠幅をいずれも略同幅としている態様に見える視覚的効果を生じているから、その意匠的な効果による差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(4)については、本願意匠は、下枠部分の前端面に設けているのに対し、引用意匠は、下枠部分の下方略半分の前端面上端に設けているため、引用意匠の差異点(3)にかかる態様と相まって生じる意匠的な効果により、操作部を下枠部分の下端より下方に設けている態様に見えるから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。そうすると、差異点(1)、(3)および(4)は、いずれも両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいから、差異点に係る態様が相乗した意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。 したがって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、物品の部分についての用途及び機能並びに、位置、大きさ及び範囲が共通しているが、形態については、共通点よりも差異点にかかる態様が相乗して生じる意匠的な効果の方が両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいから、両意匠は、全体として美感が異なり、類似しない。 5 結び 以上のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-07-01 |
出願番号 | 意願2007-33615(D2007-33615) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 鍋田 和宣 |
登録日 | 2009-08-07 |
登録番号 | 意匠登録第1369175号(D1369175) |
代理人 | 羽切 正治 |