• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1
管理番号 1206610 
審判番号 不服2009-8648
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-22 
確定日 2009-10-16 
意匠に係る物品 着座用背もたれクッション 
事件の表示 意願2008- 6321「着座用背もたれクッション」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成20年3月13日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「着座用背もたれクッション」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
これに対して,原査定において,拒絶の理由として引用された意匠は, 特許庁特許情報課が2005年5月12日に受け入れた2005年4月5日発行の米国特許商標公報(DVD-ROM番号:USP2005W14)に記載された意匠特許第USD503,580S号のチャイルドシート用クッション(特許庁意匠課公知資料番号第HH17506367号)の意匠であって,その形態は,当該公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。
本願意匠は,着座斜面に着座した場合に,伸縮性素材からなる着座斜面が沈み込み,座椅子形状に変形して着座形状を保持し,また,背面を底にして着座斜面に着座した場合に,伸縮性素材からなる着座斜面と底面が変形して,リクライニング状態で身体を保持する,クッションであり,このため,該着座斜面に着座したときに内部流動性充填剤(発泡ビーズ)が前方に流動して変形するのを防止するための正面視長方形状の非伸縮性垂直面が非常に重要な要素となるのであって,この機能を実現する本願意匠の基本的形態自体が,この種物品の需要者にとり,最も注意を喚起する部分となり,意匠の最大の創作ポイントであると認められる。
これに対して,引用意匠は,長方形面(斜面)には長方形状の取っ手が縫着されてなるため,かかる面に着座することはなく,また,用途が子供用であることからも,引用意匠は上面が着座面であることは明白である。
本願意匠は,上記のような創作意図により創作されたもので,そもそも使用時の基本的形態が全く相違するほか,引用意匠では発揮し得ない使用状態における形状の変化(底面を床につけた場合と背面を床につけた場合との着座斜面の伸張度合いが全く相違する)を発揮することができる。
そして,本願意匠と引用意匠の相違は,上記のように,本願意匠の創作のポイントに係るものであり,意匠の要部における相違であると認められるのである。
以上より,両意匠を対比するに,基本的な構成態様においても具体的な構成態様においても,両意匠は上記のごとき差異点を有し,かつ両意匠の差異点は,両意匠の要部にかかるべき部分であり,かかる相違は両意匠を別異の意匠として看者に印象づけるのに十分な相違点である。
よって,両意匠は非類似の意匠と認めることができる。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,意匠に係る物品がともにクッションであるから一致する。
次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点,すなわち側面形状において両意匠は共に直角二等辺三角形の両狭角側を切り欠いた形状である点は,概ね一致するとしても,使用目的,使用方法,使用状態が大きく異なることから,この点が一致することを以て,両意匠が類似するということはできない。
一方,相違点については,本願意匠が伸縮性素材からなる面と非伸縮性素材からなる面との組み合わせと内部の流動性充填剤により,使用時においては,座椅子状の形態になったり,リクライニング状の形態になったりするなど,使用方法毎に形態が変化するものであり,その形態の変化を含めて意匠登録を受けようとするものであるから,単なるクッションである引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであるということができる。
したがって,上記相違点は,僅かな相違とはいえないものであり,この点が類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-10-06 
出願番号 意願2008-6321(D2008-6321) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 斉藤 孝恵 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2009-11-13 
登録番号 意匠登録第1375697号(D1375697) 
代理人 中尾 真一 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ