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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1206619 
審判番号 不服2009-4406
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-02 
確定日 2009-10-21 
意匠に係る物品 風呂用リモートコントローラ 
事件の表示 意願2008- 10271「風呂用リモートコントローラ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成20年4月22日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「風呂用リモートコントローラ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
これに対して,原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報記載,意匠登録第1321832号(意匠に係る物品,給湯器用リモートコントローラー)の意匠であって,その形態は,当該意匠公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
請求人は,審判を請求し,おおむね次のとおりの主張をした。
本願意匠に係る風呂用リモートコントローラは,その筐体が正面視横長の矩形状に形成されている。この筐体の左右両側部は,正面から側面にかけて緩やかにカーブした曲面状に形成されて構成されている。
筐体の正面視右側には,筐体上縁よりやや下寄りの位置から,筐体の下縁やや上寄りの位置に至る範囲に4個のスイッチが縦一列に配列されている。
この4個のスイッチは,横長の矩形状に形成されている。また,その右端部分が,筐体上面および下面の前端部両隅のRに一致した曲面形状を有しており,これにより,リモートコントローラの筐体とスイッチ部分が略面一になるように形成されている。
また,スイッチ部分の左側上半部には,筐体内部のスピーカーからの音をユーザに伝達するための複数の孔部と,温度,運転モード,湯張り量,時刻等を表示するための横長矩形状の表示部が,左側から順に設けられており,スイッチ部分の左方下半部には,蓋体が下端の軸周りに開閉自在に設けられている。
上記本願意匠に対し,引用文献1に記載の意匠(以下,引用意匠という。)は,給湯用リモートコントローラーに係る意匠であり,本願意匠と物品同一の意匠であることが認められる。
また,引用意匠の形態について説明すると,引用意匠に係る給湯用リモートコントローラーは,全体として正面視横長の矩形状に形成され,正面視四隅に丸みを設けて構成されているものと認められる。
引用意匠の右側部の上端から下端に至る範囲には3つのスイッチが縦に並べて配列されてスイッチ部分が形成されていることが認められる。これらスイッチは正面視略区形状に形成され,右側面図,平面図右下部,底面図右上部に表れるように,肉薄の平板形状を有するものと認められる。
また,スイッチ部分の左方上半部には,表示部分と,この表示部分の両側部のボタン類,スピーカー用孔部等が設けられていることが認められ,スイッチ部分左方下半部には蓋体が設けられていることが認められる。
以上のことから,本願意匠と,引用意匠とは,需要者の視覚を通じて引き起こさせる美感が全く異なるものであり,本願意匠は,引用意匠と類似するものではないというべきである。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,意匠に係る物品が共通する。
次に,形態について,共通点と差異点について総合的に検討すると,両意匠ともリモートコントローラーの右側部に,複数のスイッチを縦に並べてなるスイッチ部分を有する点,及び,スイッチ部分の左方上半部に表示部が,下半部に蓋体が設けられている,という共通点については,この意匠の属する分野においては,ありふれたものであって,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるほどの格別な特徴とは言えない。
一方,差異点については,正面形状において,本願意匠は,角張った横長長方形としているのに対し,引用意匠は,角の丸い横長長方形としている点,本願意匠は,左右両側部が,正面から左右両側面にかけて緩やかにカーブする曲面形状に形成しているのに対し,引用意匠は,正面と側面との角度を直角としている点,本願意匠は,各々のスイッチを筐体の右両側部のカーブに合わせたRを有する曲面状に形成し筐体と面一にしているのに対し,引用意匠は,各々のスイッチを肉薄の平板形状としている点,で相違し,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,わずかな相違とは言えないものであり,これらの類否判断に及ぼす影響は大きいと言うことができる。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,その形態については,両意匠の共通点及び差異点の視覚的効果を総合的に判断すると,両意匠は類似しないものと言わざるを得ない。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-09-30 
出願番号 意願2008-10271(D2008-10271) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 久木 真子木村 智加 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2009-11-06 
登録番号 意匠登録第1375180号(D1375180) 

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