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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3
管理番号 1208149 
審判番号 不服2009-6519
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-26 
確定日 2009-11-10 
意匠に係る物品 電気洗濯機 
事件の表示 意願2008- 10726「電気洗濯機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成20年4月25日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「電気洗濯機」とし,意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものであり,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
これに対して,原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁特許情報課が2007年5月24日に受け入れた米国特許商標公報2007年4月24日07W17号,洗濯機(登録番号USD541491S)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH19305961号)におけるこの意匠登録出願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(操作部周囲の略三日月状の輪郭部全体及びその内側の左側の略扇形の面部分の意匠)であって,その形態は,当該公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.請求人の主張
請求人は,上記拒絶査定に対して審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。
両意匠は物品「電気洗濯機」の態様に関するもので,意匠に係る物品は同一であります。また,その態様は,(1)本願意匠の意匠登録を受けようとする部分と引 用意匠の相当する部分は,操作表示部周辺の「スペース」部である点。(2)本願意匠と引用意匠の形態が,平面視で略三日月形状である点で共通するものであります。 しかしながら,本願意匠は,使用者の「見やすさ,使いやすさ」を実現するために「使用者が扱う部分である操作表示部及び洗剤投入部を一くくり」として「正面上方から天面前方」にかけて,「斜め前上方に大きく凸状で膨出した面の形態」を「意匠登録を受けようとする部分」とするものであり,その用途は,「洗剤の収納」と操作表示部及び洗剤投入部の「見やすさ,使いやすさ」にあります。一方,引用意匠は,洗剤投入部を含まない洗濯機の操作表示部のみを天面部前方に配置しているのみであります。以上より,本願意匠と引用意匠の用途(洗剤の収納の有無や「見やすさ,使いやすさ」)は全く相違するものであります。
また,本願意匠は,使用者の「見やすさ,使いやすさ」を実現するために操作表示部および洗剤投入部を一くくりとして「正面上方から天面前方」にかけた位置配置であるため,使用者が低い位置から洗濯機の動作状態の確認や操作が容易であります。一方,引用意匠は,操作表示部が洗濯機の天面前方に配置されているため,使用者は高い位置のみから洗濯機の動作状態の確認や操作を行うことが必要となります。以上より,本願意匠と引用意匠の「位置」は,全く異なるものであります。
さらに,本願意匠は,使用者の「見やすさ,使いやすさ」を実現するために「正面上方から天面前方」にかけた位置における,「斜め前上方に大きく凸状で膨出した面の形態」を「意匠登録を受けようとする部分」としております。一方,引用意匠は,両側面図から明らかなように,前方に向けて傾斜しながら僅かに上方へ凸状に膨出しているのみであります。以上より,本願意匠と引用意匠の形態が,全く異なることは明らかであります。
したがって,本願意匠の審査は,両意匠の意匠登録を受けようとする部分の「用途」,「位置」,および「形態」の観点からの比較を無視した意匠審査基準にそぐわない審査結果であり,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録することができないものであるとした原査定には理由がなく,本願意匠は登録されるべきものであると考えます。

4.当審の判断
そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,意匠登録を受けようとする部分とこれに相当する部分の位置,大きさ,範囲が一致する。
次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点について,すなわち,両意匠ともに電気洗濯機上面部手前の操作部周辺が平面視略三日月形状である点は,この意匠の属する分野においては,極めて普通に行われている手法による形態であって,電気洗濯機の部分について意匠登録を受けようとする本願意匠にあっては,操作部周辺の外縁形状が一致することが,類似判断上大きな影響を及ぼすこととなるほど格別な特徴とはいえない。
一方,相違点について,すなわち,本願意匠において,左端部の略扇型部が洗剤投入口の一部を構成することにより,この略扇型部の平面視右側の鉛直線に沿って開閉可能であり,かつ,この略扇型部の曲線部の稜線を右端部まで延伸させて平面視略三日月形状に形成しているので,引用意匠とは略三日月形状部の構成が異なる点,略三日月状部分が引用意匠より大きく斜め上方に凸状に膨出している点,また,略三日月状部分が正面上方から天面前方にかけて引用意匠より傾斜して形成されている点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらの類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。
以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体に与える影響は大きいものであり,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。
5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2009-10-28 
出願番号 意願2008-10726(D2008-10726) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 斉藤 孝恵 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2009-12-18 
登録番号 意匠登録第1378259号(D1378259) 
代理人 永野 大介 
代理人 内藤 浩樹 
代理人 岩橋 文雄 

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