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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1208156 
審判番号 不服2009-12644
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-07-13 
確定日 2009-11-26 
意匠に係る物品 センサー付き壁じか付け灯 
事件の表示 意願2008- 13743「センサー付き壁じか付け灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 本願は、平成20年5月30日の意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を、「センサー付き壁じか付け灯」とし、その形状を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
これに対し、原審において、拒絶の理由を通知し、すなわち、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、日本国特許庁が平成16年年7月26日に発行した意匠公報記載の意匠登録第1212773号(意匠に係る物品、階段通路用誘導灯)の意匠(以下、「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同法同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができない旨、拒絶の理由を通知したものであり、その後、出願人の意見書の提出を受け、本願について拒絶の査定をした。
そこで、本願意匠と引用意匠の類否を判断すると、両意匠は、形状について、主な共通点として、横長略四角柱状の筐体部の前面側を覆って透光性を有する薄板カバー(以下、「透光カバー」という。)を取り付け、その透光カバーを、正面視横長長方形状で、側面視前方に膨らむ円弧状とし、さらに、筐体部の左右両側から外方向へ細棒状の支持アームを水平状に突出させ、そのまま正面視透孔カバーの左右両側から延び、その先端に略円柱状の人感センサーを設けた基本的な態様が共通する。しかし、この共通点である湾曲面状の透光カバーの態様は、両意匠に係る物品の前面の広い範囲を占めて、特徴的な態様と成り得なくもないが、本願意匠出願前にこの種壁じか付け灯の分野において極ありふれた態様(例えば、意匠登録第925935号公報、意匠登録第1049060号公報、意匠登録第1092173号公報、意匠登録第1096616号公報等参照。)であって、他に特段の相違点がない場合に限って、特徴的な態様と成り得るものである。そして、この種壁じか付け灯は、主に階段通路などにおいて誘導灯や非常灯として使用されるものであって、当然人を検知する範囲に接近して観察することになり、単にこの透光カバーの態様だけでなく、透光カバーの取付け態様などの具体的な態様にも需要者の注意が惹くものである。
そうしてみると、両意匠の具体的な態様の主な相違点として、透光カバーの取付け態様について、(A)透光カバーを、本願意匠は、側面視、固定ボルトの水平位置を中心として、下側の長さが上側より長くして上下方向に非対称としたのに対して、引用意匠は、上下側の長さが同じで上下方向に対称とし、(B)透光カバーの筐体への接続金具を、本願意匠は、筐体部の左右両端から前方に突出する細棒体としたのに対して、引用意匠は、筐体部の左右両端の前方中央部の突出部の裏側に取り付けられた板状体とした点の相違は、人が移動して側面方向からも十分視認できるものであり、本願意匠は、透光カバーと筐体部とが細棒体で接続して、透光カバーが筐体部から離れて独立し、かつ、上下方向に非対称として、透光カバーの重心が下側に偏り、筐体部の上側も露わになって、各部材の寄せ集めの不安定な印象を与えるのに対して、引用意匠は、上下方向に対称として、筐体部と透光カバーとを板状体で接続して一体状となって、かつ、透光カバーが筐体の下側と同様に上側まで殆ど覆い隠して、一塊の均衡のとれた印象を与えるものであるから、透光カバーの取付け態様の相違点(A)及び(B)は、両意匠が与える印象の相違を強調するものである。
さらに、人感センサーの具体的な態様の相違点として、(C)人感センサーを、本願意匠は、支持アームの軸心方向と直角方向に水平状に設け、その前面にセンサーヘッド部を形成したのに対して、引用意匠は、支持アームの同軸方向に設け、その周側面の前面側に受信窓部を形成し、(D)人感センサーの位置を、本願意匠は、支持アームが正面視透光カバーの左右両側の上端寄りから突出させ、その支持アームの正面視透光カバーから透光カバー縦幅の約1/2離れた位置に人感センサーを設けたのに対して、引用意匠は、支持アームの正面視透光カバーの左右両側の中央から僅かに突出した位置に人感センサーを設けた点の相違は、ともに人感センサー自体の形状が、大概略円柱状として共通するとしても、その具体的な態様は全く異なり、かつ、人感センサーの位置も、本願意匠は支持アームも透光カバーの左右両側の上端寄りで、透光カバーからも離れて独立して、引用意匠とは異なるものであり、透光カバーより突出する人感センサーを、一律支持アームに設けられた略円柱状と捉えることはできるものではない。
そして、透光カバーの取付け状態の具体的な態様の相違点(A)(B)及び人感センサーの具体的な態様の相違点(C)(D)を総合して、本願意匠は、相違点(A)(B)の透光カバーの取付け状態における寄せ集めの不安定な印象に加えて、相違点(D)の人感センサーの位置において、支持アームが正面視透光カバーの左右両側の上端寄りで、人感センサーが正面視透光カバーからも離れて独立することから、相違点(A)(B)及び相違点(D)が相乗してさらに寄せ集めの不安定さを増長することになり、一方で、引用意匠は、相違点(D)における人感センサーの位置が、支持アームが正面視透光カバーの左右両側の中央で、人感センサーが僅かに突出しただけの位置であるから、相違点(A)(B)における一塊の均衡のとれた印象は変わらず、加えて、相違点(C)の人感センサー自体の具体的な態様も明らかに異なるものである以上、既に共通点を凌ぐこととなって、これら相違点の相俟って奏する視覚的な効果は、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものと言うべきである。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致するとしても、形状において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。
以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-11-13 
出願番号 意願2008-13743(D2008-13743) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 佑二 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 市村 節子
杉山 太一
登録日 2009-12-11 
登録番号 意匠登録第1377704号(D1377704) 
代理人 熊谷 昌俊 

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