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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J3
管理番号 1208165 
審判番号 不服2009-10624
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-06-03 
確定日 2009-12-11 
意匠に係る物品 デジタルカメラ 
事件の表示 意願2008- 4632「デジタルカメラ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、平成20年2月28日に意匠登録出願をしたものであって、その意匠は、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品は「デジタルカメラ」であり、その形状は願書及び同図面記載のとおりである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において、拒絶の理由として引用した意匠は、本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠、すなわち、特許庁意匠課が2007年(平成19年)8月31日に受け入れ、その掲載日(公知日)を2007年(平成19年)8月27日と確認したところの、松下電器産業株式会社がインターネットに掲載した、表題を「DMC-FX33 デジタルカメラ LUMIX(ルミックス)Panasonic」とするページ(掲載ページのアドレス http://panasonic.jp/dc/fx33/appearance.html)に掲載された「デジタルカメラ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19040150号)であって、その形態は、同ページの写真図版に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.本願意匠と引用意匠の対比
両意匠を対比すると、意匠に係る物品については共通し、両意匠の形態については、主に以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
両意匠は、(A)本体の筐体を、やや扁平で横長の略直方体形とし、左右両端面をゆるやかな丸面状としている点、(B)筐体正面部について、レンズ鏡胴部及びその外縁に設けた円環枠(以下、「レンズ周辺部」という。)を右端寄り上下略全幅に設け、上端略中央にストロボを設けた点、(C)筐体背面部について、上下両端及び左端に近接して横長矩形状の液晶面及び外枠(以下、「液晶表示部」という。)を筐体から突出させて設け、右端の横長矩形状の余地部の下方に大きな円形状の選択ボタンを、その下側の左右に小円形ボタンを配した点、(D)筐体上面の左端寄りにやや大きな円形状シャッター部を設けた点、(E)レンズ周辺部の態様について、筐体前端面から僅かに突出させ、円環枠の外周を略斜面状に面取りした点、(F)シャッター部の態様について、筐体上面よりも突出し、上面視略二重円状である点、において共通する。
(2)差異点
一方、両意匠は具体的態様において、(a)筐体について、本願意匠は左右側面を水平方向中央部を頂点とする外膨らみ状とし、筐体の略全体を前後に二分する細線状の区割りを設けているのに対し、引用意匠は左右両側面を正面視垂直状とし、筐体前端面及び後端面寄りにそれぞれ区割りを設けている点、(b)円環枠について、本願意匠は、円環枠が幅広で、垂直面と傾斜面とがほぼ同幅であるのに対し、引用意匠は、本願意匠の円環枠よりも細幅で、平坦面の外周をごく幅狭の傾斜面としている点、(c)ストロボの態様について、本願意匠は略横長逆台形状としているのに対し、引用意匠は略横長長円形状としている点、(d)ストラップ取付け部について、本願意匠は筐体前端面の左端略中央部に略倒台形状の縁を形成しているのに対し、引用意匠は筐体前端面に形成していない点、(e)背面操作部の態様について、本願意匠は余地部の略全面を僅かに突出させて形成し、選択ボタンの上側の左右及び右上角部にそれぞれ小円形のボタンを設けているのに対し、引用意匠は、余地部が突出しておらず、右上角部に略短円筒形のダイヤルを設けている点、(f)筐体上面について、本願意匠は上面の周縁にそって周縁と略相似形の略横長六角形状に区割りを形成し、上面を僅かに凸面状としているのに対し、引用意匠は上面の前後両端に近接して帯板状の部材を取付け、その上面の左右両端寄りまで長円形状の面取りを施している点、に差異がある。

4.類否判断
そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、両意匠は筐体、レンズ周辺部及び背面部の態様、ストロボの位置に共通する点が見られ、これらの共通点が相俟って生じている視覚的効果は、両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものではあるが、いずれも未だ概略的態様についての共通点に止まり、両意匠の類否判断を決定付けるものということはできず、シャッターの形状についても、意匠全体からすると限られた部分についての共通点であるから、これらの共通点を以て、両意匠の類否判断を左右するものとは言えない。
一方、差異点(a)筐体における差異に加え、差異点(b)円環枠における差異は、目立つ部位における差異であるから、類否判断に影響を与えるものである。
さらに、差異点(c)及び(d)のとおり、本願意匠において、引用意匠には見られない台形状の態様をストロボ及びストラップ取付け部に用いた点は、差異点(f)上面に周縁と略相似形の略横長六角形状の区割りを形成した点とも相俟って、引用意匠とは別異の多角形を多用した特徴を表出していることから、これらの差異点は、類否判断に影響を与えるものである。
また、両意匠は差異点(e)のとおり、背面部においても突出態様や操作部の具体的態様が異なっていることから、両意匠の差異点は意匠全体に及んでおり、それらをまとめて意匠全体として観察した場合には、差異点が共通点を上回るものと言うべきである。
以上のとおり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品について共通しているが、両意匠の形態を対比すると、共通点よりも差異点の方が両意匠の類否判断に支配的な影響を与えているから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。

5 結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-11-26 
出願番号 意願2008-4632(D2008-4632) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 綿貫 浩一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
鍋田 和宣
登録日 2009-12-25 
登録番号 意匠登録第1378852号(D1378852) 
代理人 小野 友彰 
代理人 笹川 拓 
代理人 羽切 正治 
代理人 仲村 圭代 

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