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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1209836 
審判番号 不服2009-5279
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-03-11 
確定日 2009-12-07 
意匠に係る物品 柵用支柱 
事件の表示 意願2007- 31087「柵用支柱」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は,2007年(平成19年)11月9日に意匠登録出願されたものであって,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「柵用支柱」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載したとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
これに対して,原審において拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という)は,本願意匠の出願前に特許庁が発行した意匠公報所載,意匠登録第1307796号の意匠であって,同公報の記載によれば,意匠に係る物品を「防護柵支持支柱」とし,その形態は同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
そこで,両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,いずれも橋梁等において車両用として設置される防護柵用の支柱に係るものであるから,共通するものと認められる。
(2)形態の共通点
両意匠は,縦長板状の前面フランジ及び縦長板状の後面フランジと,それらの連結板からなる横断面H形鋼状の柱体とし,柱体の下端に後面フランジより後方にやや延伸させた板状のベースプレートに取り付けている点,前面フランジの上端に上段の横ビームを取り付けるための凹弧面状の受け部が前方斜め上向きに形成されている点,後面フランジの幅は,前面フランジの幅より細幅で,かつ,上端から下端まで同一幅に形成されている点,ベースプレートは,後側に小さな切り欠き部を有する略長方形状で,底面に4つの長円形状のボルト孔を設けた点が共通している。
(3)形態の差異点
他方,両意匠には,形態について主に以下の差異がある。
(ア)前面フランジの正面視の態様について,本願意匠は,上端から下端まで同一幅に形成し,上段,中段,下段の3か所に一対の長円状孔部を設けているのに対し,引用意匠は,上端部に略矩形状の別部材を設け,その下部を略縦長台形状に形成し,孔部は設けていない点,(イ)前面フランジの側面視の態様について,本願意匠は,上段,中段,下段の3か所に横ビームを取り付けるための凹弧面状の受け部を設け,受け部の間は垂直面とし,下段受け部の下側に後方傾斜面を設け,その下側を垂直面としているのに対し,引用意匠は,上端部の別部材に上段の横ビームを取り付けるための凹弧面状の受け部を設けたのみで,他に受け部を設けず,別部材の下を長い後方傾斜面,短い前方傾斜面,やや短い後方傾斜面とし,垂直面を設けていない点,(ウ)後面フランジの上端部について,本願意匠は,後面フランジが同幅で傾斜面となっているのに対して,引用意匠は,平面視略台形状の別部材が傾斜面となっている点,(エ)ベースプレートの横幅について,本願意匠は,前面フランジより幅広であるのに対して,引用意匠は,前面フランジ下端と同幅である点。

4.両意匠の類否判断
以上の共通点及び差異点を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討すると,両意匠の前記共通点に係る構成態様は,意匠全体の骨格を成し一定の共通感を醸成するものではあるが,基本的な構成態様を表出しただけであり,また,本願出願前のこの種物品分野の意匠に照らすところ,その共通する構成態様は,両意匠のみの特徴を形成するものとはいえない。
これに対して,前記各差異点,特に,(ア)前面フランジの正面視の態様及び(イ)前面フランジの側面視の態様についての差異は,需要者の目に付き易い部位における顕著な差異であるため,類否判断に与える影響が大きく,両意匠の共通点を凌駕するものであるといえる。これらの差異点と(ウ)及び(エ)についての差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は,看者の注意を強く惹くもので,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するものであるが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。

5.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原審の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,原審の拒絶理由によって,拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-11-16 
出願番号 意願2007-31087(D2007-31087) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 江塚 尚弘 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
橘 崇生
登録日 2010-01-08 
登録番号 意匠登録第1379439号(D1379439) 

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