• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B9
管理番号 1209837 
審判番号 不服2009-7606
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-09 
確定日 2009-12-08 
意匠に係る物品 紐止め具 
事件の表示 意願2007- 18298「紐止め具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は、平成19年7月6日に意匠登録出願されたものであって、意匠に係る物品が「紐止め具」であり、その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において、拒絶の理由として引用された意匠は、特許庁発行の意匠公報掲載の意匠登録第1240749号「紐止め具」の意匠であって、その形態は同意匠公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、いずれも「紐止め具」に係るものであるから、意匠に係る物品が一致し、形態については主として、以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)全体は、上面視略楕円形の筒状部を雌体とし、その上面開口部に押し下げ自在に挿入した雄体を左右対称状に構成している点、(B)雄体は、頂部に正面視上方へ弧状の楕円形板状の押し下げ部を形成し、挿入軸部の前後に貫通する貫通孔を設けて底部に螺旋状のバネを取り付けている点、(C)雌体は、上端の前後両方を押し下げ部と略同様の弧状とし、前後両面の上方中央に同形同大の貫通孔を設けている点において共通する。
(2)差異点
(a)雄体の態様について、本願意匠は、押し下げ部の左右両端が、挿入軸部よりやや長く突出していて、挿入軸部の貫通孔が、略横長楕円形状であるのに対し、引用意匠は、押し下げ部の左右両端の突出が僅かであり、挿入軸部の貫通孔が、略隅丸横長矩形状である点、(b)雌体の筒状部の態様について、本願意匠は、やや横長であって左右の長さを上下全長にわたり同幅とし、底面が平らであるのに対し、引用意匠は、やや縦長であって、下方略3分の2の左右両端を凸条に突出し、底面を正面視下方に弧状としている点、(c)雌体の貫通孔について、本願意匠は、略横長楕円形状で、下辺中央に小矩形状の切り欠きを施しているのに対し、引用意匠は、隅丸横長矩形状で、下辺中央に略方円形状の切り欠きを施している点、(d)雌体の縦長の細い貫通孔について、本願意匠は、雌体の上下両端寄りまで形成した略縦長矩形状であるのに対し、引用意匠は、凸条に突出した部分のみに形成した略縦長長円形状である点、(e)本願意匠には、雌体の上辺中央部及び左右の上面に凹部を有しているのに対し、引用意匠は、有していない点において差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに、共通点の態様は、この種の紐止め具の分野において従来から多数見受けられる態様であって、両意匠のみに格別新規な態様ということはできず、それらの点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできないから、両意匠の類否判断を左右するものとはなり得ない。
これに対し、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くもので、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
とりわけ、差異点(a)乃至(c)に係る態様は、雄体及び雌体の形態全体の骨格的な態様に係り、雌体から露出した状態の雄体の態様についての差異、並びに雌体の貫通孔の形状の差異は、看者の注意を強く惹くものもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(d)及び(e)に係る態様は、それのみでは両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、差異点(a)乃至(c)に係る態様と相俟って、類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。

5.むすび
したがって、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-11-26 
出願番号 意願2007-18298(D2007-18298) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B9)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
鍋田 和宣
登録日 2010-01-08 
登録番号 意匠登録第1379309号(D1379309) 
代理人 岡本 昭二 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ