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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5 |
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管理番号 | 1211321 |
審判番号 | 不服2009-13622 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-30 |
確定日 | 2010-01-08 |
意匠に係る物品 | 短靴 |
事件の表示 | 意願2008- 6951「短靴」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,2008年(平成20年)3月20日に意匠登録出願されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「短靴」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 これに対して,原審において拒絶の理由として引用した意匠(以下「引用意匠」という)は,本願の出願前である2007年1月10日に独立行政法人工業所有権情報・研修館が受け入れた,ミズノ株式会社発行のカタログ,「2007 SPRING & SUMMER collection SUPERSTAR MIZUNO」の第67頁所載の,右側上から二段目の短靴の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC18058347号)であって,その形態は同頁に写真版で現されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 そこで,両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,いずれも短靴に係るものであるから,一致するものと認められる。 (2)形態の共通点 短靴の甲皮の前面側中央に,内側に舌革を有する開口部分を設けた点,開口部分の両脇に保護片(以下,「前甲皮保護片」という。)を設けて緊締部とし,緊締部の脇にファスナーを設けた点,爪先側に略凸字形状の保護片(以下,「爪先側保護片」という。)を設け,それに連続して踵部に至る甲皮側面部に下部片(以下,「側甲皮下部片」という。)を設けた点,踵部に保護片(以下,「踵保護片」という。)を設けた点,靴底をゴム底状とした点が共通している。 (3)形態の差異点 他方,両意匠には,形態について,主に以下の差異がある。 (ア)前甲皮保護片について,本願意匠は,爪先側が左右に拡がって設けられているのに対して,引用意匠は,爪先側が先細りになっている点,(イ)爪先側保護片について,本願意匠は,前甲皮保護片の開口部付近まで略凸字形状の先端部が掛かり,先端部が略矩形状であるのに対して,引用意匠は,先端部のみが,前甲皮保護片の下方に掛かり,先端部が略しいの実状に尖っている点,(ウ)甲皮側面部について,本願意匠は,全体が同材質で,側甲皮下部片の踵側が踵保護片の中央付近までであるのに対して,引用意匠は,爪先側保護片,前甲皮保護片,側甲皮下部片,踵保護片で囲まれた部分の材質が異なり,側甲皮下部片の踵側が踵保護片上方寄りまで下向きの円弧状に形成されている点,(エ)前甲皮保護片から側甲皮下部片にかけて,本願意匠は,略台形状のたすき状片を設けているのに対して,引用意匠は,たすき状片を設けず,斜状にステッチを施している点,(オ)踵保護片について,本願意匠は,頂部を左右に拡げた略キノコ形状に形成しているのに対して,引用意匠は,明らかではないが,上部が幅広で下部に向かって細くなっている点,(カ)靴底について,本願意匠は,全体が同一面状で円弧状の線模様が施してあるのに対して,引用意匠は,土踏まずと踵部中央は大きく凹ませ,爪先側と踵部にブロック模様を施した部材を設けている点。 4.両意匠の類否判断 以上の共通点及び差異点を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討すると,両意匠の前記共通点に係る構成態様は,意匠全体の骨格を成し一定の共通感を醸成するものではあるが,基本的な構成態様を表出しただけであり,また,本願出願前のこの種物品分野の意匠に照らすところ,その共通する構成態様は,両意匠のみの特徴を形成するものとはいえず,これをもって,類否判断に及ぼす影響力が大きいということはできない。 これに対して,前記各差異点,特に,(ア)前甲皮保護片の態様,(イ)爪先側保護片の態様,及び(ウ)甲皮側面部の態様についての差異は,需要者の目に付き易い部位における顕著な差異点であるため,類否判断に与える影響が大きく,両意匠の共通点を凌駕するものであるといえる。これらの差異点と(エ)乃至(カ)についての差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は,看者の注意を強く惹くもので,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するものであるが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。 5.むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原審の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,原審の拒絶理由によって,拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-12-14 |
出願番号 | 意願2008-6951(D2008-6951) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 橘 崇生 |
登録日 | 2010-02-05 |
登録番号 | 意匠登録第1381860号(D1381860) |