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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1211323 
審判番号 不服2009-18375
総通号数 123 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-09-29 
確定日 2010-01-05 
意匠に係る物品 フロースイッチ 
事件の表示 意願2008- 10015「フロースイッチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は、平成19年4月18日に意匠登録出願されたものであって、意匠に係る物品が「フロースイッチ」であり、その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.引用意匠
原審において、拒絶の理由として引用された意匠は、特許庁意匠課が2004年8月13日に受け入れたSMC株式会社発行のカタログ「新製品情報 SMCシャトル」第2頁に掲載された「デジタルフロースイッチ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC16040414号)であって、その形態は写真版に現わされたとおりのものである(別紙第2参照)。

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、いずれもフロースイッチに係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、形態については主として、以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)全体は、下方中央の略直方体状のボディ部(以下、「中央ボディ部」という)の左右両端に、側面を略八角柱状とした筒部の突出した圧力流体導入ポート部及び圧力流体排出ポート部を取り付け、中央ボディ部と前後左右それぞれ両面を同一面状として略直方体状の操作部を設けている点、(B)操作部の上面は、左方大半部に横長矩形状の表示部を、右端寄りに前後3つの操作ボタンをそれぞれ設けている点、(C)操作部の側面部に入出力コネクター部を設けた点、(D)底面の前後両端に突出して取り付け用の略矩形状のアタッチメントを設けている点において共通する。
(2)差異点
(a)圧力流体導入ポート部及び圧力流体排出ポート部の態様について、本願意匠は、略直方体状のフランジ部を中央ボディ部の天板状部分の下側に設け、互いに外表面を同一面状としているのに対して、引用意匠は、フランジ部が左右に突出している点、(b)略八角柱状の筒部の大きさについて、本願意匠は、略八角柱状の筒部が大きく、高さが全体の約1/2で、横の長さが全体の約1/4であるのに対し、引用意匠は、筒部が小さく、高さが全体の約1/3で、横の長さが全体の約1/12である点、(c)操作部の態様について、本願意匠は、全体が略直方体状で、中央ボディ部との間に略直方体状のインターフェイス部を設けているのに対して、引用意匠は、全体が略角錐台状で、インターフェイス部を設けていない点、(d)操作部上面について、本願意匠は、側面視略台形状に突出したボタンを設けているのに対して、引用意匠は、平面状のボタンを設けている点、(e)入出力コネクター部の位置について、本願意匠は、インターフェイス部の左側面に設けているのに対し、引用意匠は、操作部の右側面に設けている点、(f)アタッチメントの形状と数について、本願意匠は、平面視略隅丸矩形状で両側に2つずつ設けているのに対し、引用意匠は、平面視略長方形状で両側に1つずつ設けている点に差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに、共通点の態様は、この種のフロースイッチの分野において従来から多数見受けられる態様であって、両意匠のみに格別新規な態様ということはできず、それらの点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできないから、両意匠の類否判断を左右するものとはなり得ない。
これに対し、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くもので、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。
とりわけ、差異点(a)及び(b)に係る態様は、フランジ部の態様の差異、略八角柱状の筒部の態様についての差異が、中央ボディ部、圧力流体導入ポート部及び圧力流体排出ポート部の形態全体の骨格的な態様に係り、両意匠の左右の印象を大きく決定付けるものといえ、看者の注意を強く惹くものもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(c)に係る操作部の形状の差異は、両意匠に互いに異なる形態上の特徴を生じているから、両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。差異点(d)乃至(f)に係る態様は、それのみでは両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、差異点(a)乃至(c)に係る態様と相俟って、類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。

5.むすび
したがって、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-12-16 
出願番号 意願2008-10015(D2008-10015) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 原田 雅美小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
鍋田 和宣
登録日 2010-02-19 
登録番号 意匠登録第1382884号(D1382884) 
代理人 千葉 剛宏 
代理人 大内 秀治 
代理人 宮寺 利幸 

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