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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K6 |
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管理番号 | 1211326 |
審判番号 | 不服2009-16873 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-11 |
確定日 | 2010-01-15 |
意匠に係る物品 | 熱交換器用フィン |
事件の表示 | 意願2007- 28790「熱交換器用フィン」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成19年10月19日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「熱交換器用フィン」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報に記載された意匠登録第1185417号(意匠に係る物品「冷暖房機用放熱板」)のA-A’拡大端面支持線の周辺部の意匠であって,その形態は,当該公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.請求人の主張 これに対して請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 本願意匠と引用意匠とは物品において一致し,放熱板の全面にわたって円形孔とスリットを敷設した構成において共通点を有しますが,意匠の基本的構成態様において全く異なり,具体的構成態様においても全く異なるものであります。よって,本願意匠と引用意匠とは明らかに非類似の意匠というべきであり,類似と判断された原審認定は当然のことながら取り消されるべきものと思料いたします。 引用意匠の一部を取り出して,これを本願意匠との類否判断の対象とすることは,意匠の類否判断手法の明らかな誤りであり,「A-A’拡大端面指示線の周辺部」と本願意匠が類似するとすることは出来ないというべきであります。 拒絶の査定においては「A-A’拡大端面指示線の周辺部」とスリット部の態様が共通すると認定されておりますが,この認定においても明らかな誤りがあります。 つまり, イ)本願意匠における3本のスリットは中央のスリットを中心として上下対称に配置されておりますが,引用意匠は上下が対称ではなく,下が長く且つ中央部で2分割されています。ロ)本願意匠は上下スリットの中央部に凹陥部があり,中央のスリット幅は狭く,高さは上下の凹陥部の凹の高さと同じです。また,中央に凹陥部を有する上下のスリットは中央のスリットに比べて上下方向の幅が広く且つ大きく目立つために,全体として凹凸感が顕著であることも引用意匠とは大きく相違します。 上記のとおりスリット部の構成からしても「A-A’拡大端面指示線の周辺部」と類似するとの認定自体誤りであるというべきです。このことからしても本願意匠が「A-A’拡大端面指示線の周辺部」と類似するということは出来ません。 4.当審の判断 そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,熱交換器の放熱板であるから意匠に係る物品が一致する。 次に,形態について,本願意匠は,左右に連続する熱交換器用フィンであり,引用意匠はブーメラン型の熱交換器用フィンの一部であるから,形状が一致しない。たとえ,引用意匠の一部,所謂部分引例であるとしても形状は一致しないし,仮に両意匠の実質的創作ポイントが一致するとしても形状が異なるので一致するとはいえない。さらに,具体的な一致点と相違点についても総合的に検討すると,一致点については,すなわち,円形孔部と3本の横長矩形状スリットからなる形態を1単位とし,これを長手方向に連続させた列と,これとは半単位ずれた状態の列を並列させた態様は,この意匠の属する分野においては,極めて普通に行われている手法による形態であって,この点には格別な特徴がないので,両意匠が類似する根拠になり得るものではない。 一方,相違点について,特に,本願意匠における3本のスリットが中央のスリットを中心として上下対称に配置されている点,上下スリットの中央部に凹陥部がある点,中央のスリット幅は狭く,高さは上下の凹陥部の凹の高さと同じである点,中央に凹陥部を有する上下のスリットが中央のスリットに比べて上下方向の幅が広い点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらが類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,外形状が一致しないものであり,また,両意匠の具体的な一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。 5.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-01-04 |
出願番号 | 意願2007-28790(D2007-28790) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 太田 茂雄 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 樋田 敏恵 |
登録日 | 2010-02-19 |
登録番号 | 意匠登録第1383005号(D1383005) |
代理人 | 櫻木 信義 |