ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1 |
---|---|
管理番号 | 1211333 |
審判番号 | 不服2009-16957 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-11 |
確定日 | 2010-02-01 |
意匠に係る物品 | 一組の自動車用フロアマットセット |
事件の表示 | 意願2008- 24523「一組の自動車用フロアマットセット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成20年9月25日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「一組の自動車用フロアマットセット」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁発行の意匠公報記載,意匠登録第1202418号(意匠に係る物品,一組の自動車用フロアマットセット)の意匠であって,その形態は,当該公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.請求人の主張 これに対して,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 本願意匠と引用意匠とは意匠全体の構成態様において,両意匠の運転席用マットの上辺,および右辺と,助手席用マットの上辺,および左辺による差異を見出せる。 先ず,本願意匠は中央通路用マットの左辺,および右辺に合せて,運転席用マットと助手席用マットの上部が各々外側へ傾いて配置された構成である。こうした構成から,本願意匠は運転席用マットの上辺,および右辺と,助手席用マットの上辺,および左辺とが傾斜して成る。これに対し,引用意匠は中央マットの左辺,および右辺に合せて,運転席用マットと助手席用マットの上部が各々略平行に配置された構成である。こうした構成から,引用意匠は運転席用マットの上辺,および助手席用マットの上辺が略水平に成り,また,運転席用マットの右辺,および助手席用マットの左辺が略垂直に成る。 上記のことから,両意匠は,運転席用マットの上辺,および右辺と,助手席用マットの上辺,および左辺とにおいて,傾斜して成るか否かの差異を有し,これにより需要者は形態の差異を明確に捉えることができる。 また,本願意匠は運転席用マット右辺と,助手席用マット左辺とが,セカンドシート用マット右辺,及び左辺よりも外側へ突出した形態であるため,需要者に対し意匠全体として変化に富む印象を与える。これに対し,引用意匠は運転席用マット右辺と,助手席用マット左辺とが,セカンドシート用マット左辺,および右辺と,およそ揃う形態であるため,需要者に対し意匠全体として纏まりがある印象を与える。こうしたことからも,両意匠は,需要者に対し互いに全く異なる美感を与えるものであるといえるので,非類似である。 また,この他にも本願意匠と引用意匠とは個々のフロアマットの形状において,明確な差異を見出せる。例えば,運転席用マットにおいては切り欠き部の有無,助手席用マットにおいては傾斜辺の端部から折れ曲り形成される角部の有無,セカンドシート用マットにおいては左辺の突出片にある切り欠き部の有無が挙げられる。従って,本願意匠と引用意匠とを構成する個々のフロアマット間においても,本願意匠は要部となり得る特徴を有しており,引用意匠とは需要者に全く異なる美感を与えるので,両意匠は非類似である。 4.当審の判断 そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,ともに一組の自動車用フロアマットセットであるから意匠に係る物品が一致する。 次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点すなわち,全体が運転席用マット,助手席用マット,セカンドシート用マットおよびこれらを連結する中央通路用マットからなり,概ね「出」字状形状を呈する点については,この意匠の属する分野においては,極めて普通にみられる形態であって,この点が一致するからといって,両意匠が類似するといえるほど格別な特徴とはいえない。 一方,相違点については,すなわち,運転席用マットの上辺および右辺と,助手席用マットの上辺および左辺が傾斜しているか否か,運転席用マット右辺の切り欠き部の有無,中央通路用マットが平面的であるか否か,また,中央通路用マット前半部後端角部の切欠き部の有無,セカンドシート用マット左辺の突出片にある切り欠き部の有無などの点は,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらが類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が意匠全体の基調に与える影響は大きく,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。 5.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2010-01-19 |
出願番号 | 意願2008-24523(D2008-24523) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C1)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 早川 治子 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2010-02-12 |
登録番号 | 意匠登録第1382316号(D1382316) |
代理人 | 牛木 護 |